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感染症内科


特色

感染症への対応は、すべての科で避けて通れません

当医療センターは、全例応需をモットーとする高度救命救急センターを有する総合病院ですので、どの診療科においても感染症は避けて通れません。
今まで当医療センターでは、感染症はそれぞれの診療科で対応しており、感染症内科部が設立されても、こうした基本的な対応は変わりません

感染症科はコンサルタント

その上で感染症内科部が担うべき最大の役割の1つは、各科が感染症の診断・治療に難渋する症例について、臓器別・専門分野別の診療科とは違った視点をもって、横断的な立場で、一例ずつきめ細かく相談に応じていく、というコンサルテーションです。


医療関連感染(Healthcare-associated infections;HAI)が問題

以前から「院内感染」という単語が広く用いられていますが、近年、


「医療関連感染(healthcare-associated infection: HAI)」

という用語が使われるようになりました。

 

この背景には、

  • ・高齢者や悪性腫瘍・移植患者などの免疫低下者の増加
  • ・免疫抑制剤・生物学的製剤や様々な生体内デバイスの開発などの侵襲的医療の発達
  • ・在宅医療や長期ケア施設での感染管理の重要性が増したこと

などがあります。

既存の臓器別専門科の診療のみでは対応に難渋する例があり、こうした問題に対応する必要があります。

※HAIの定義 ⇒「医療提供の場に関わらず医療が提供された患者に発生する感染」と定義されている(Siegel, Rhinehart, Jackson & Chiarello,2007)。

渡航に関連した感染症

特殊な分野として、渡航に関連した感染症(輸入感染症、熱帯感染症)があります。誰でも海外に旅行や仕事で行く時代になりましたが、海外には日本と違う感染症がたくさんあります。中には命にかかわるような疾患もあります。渡航前に、どんな感染症が現地で流行しているのかを知り、必要なワクチンを接種したり、予防内服したりすることで自分の身を守ることが大切です。
また、当医療センターは一類・二類感染症を扱う第一種・第二種感染症指定医療機関です。まれではあっても遭遇しうる疾患への準備や対応する必要があります。

情報のネットワークが大切

全臓器にわたる専門各科での難渋例や渡航に関連した特殊疾患に対応するためには、(1)部門横断的対応(チーム医療といいます、各科や細菌検査室などとの連携が必須です)と、(2)インターネッ トなどによる文献検索、(3)他専門医療機関(保健所などの感染症情報センターや他感染症専門施設)との連携、といった情報のネットワークが必須です。これからも、その整備を進めていきます。

感染予防・制御の専門は「ICT」の業務

感染予防・制御に関しては、院長のもとに開かれる院内感染対策委員会と、その実働部隊としての「ICT(Infection control team)」があり、こちらは管理部門(中央部門)の1つです。
感染症科は、ICTとは異なり、実際の診療を行う部門ですが、ICTの活動にも協力しています。

熱がある≠「感染症」

発熱は、感染症だけでなく、悪性腫瘍や膠原病、外傷・術後や血栓症など、いろいろな原因があります。こうした発熱の原因となる問題の解決には、相応の専門科に相談して治療する必要があります。
総合病院の良さを十分に生かして、当医療センター全体の感染症診療のレベルの向上に貢献できればと思います。

細菌検査室と協力し、検査結果解釈に関する診療支援

血液培養の陽性報告、および、臨床的に重要・特殊な細菌検査結果に関し、診療支援の一環として、感染症科から各科先生方に、電話またはカルテ記載をさせていただきます。これは介入といった強制的なものではなく、「微生物検査結果側から、情報を最大限に引き出し、臨床側に有益と思われる事項をフィードバックする」というコンセプトに基づいています。

その上で、各科先生方が一筋縄ではいかないと思われたら、当科へ他科受診をしていただいています。


スタッフ紹介

医師

古宮 伸洋 (こみや のぶひろ)

役職 部長
卒業年 2000(平成12)年
専門分野  感染症診療
資格 日本感染症学会感染症専門医・指導医
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
その他 日本感染症学会評議員
公衆衛生学修士(MPH)
日本渡航医学会評議員
国際渡航医学認定(CTH)
インフェクション コントロール ドクター (ICD)
関連するページ 日赤和歌山情報局Hot"すこやかな毎日のために"
冬の感染症① 風邪とインフルエンザは見極めが難しい(2020115日公開)
冬の感染症② インフルエンザかもと思ったら、どうする?(2020129日公開)
冬の感染症③ インフルエンザワクチンと予防(2020212日公開)
冬の感染症④ ノロウイルスとロタウイルス(2020226日公開)
 

久保 健児 (くぼ けんじ)

役職 副部長
卒業年 2003(平成15)年
専門分野 感染症診療、救急、ICT業務
資格 日本内科学会総合内科専門医
日本感染症学会感染症専門医・指導医
日本救急医学会救急科専門医

小林 謙一郎 (こばやし けんいちろう)

役職 副部長
卒業年 2007(平成19)年
専門分野 感染症診療
資格 日本感染症学会感染症専門医・指導医
日本内科学会認定内科医
日本内科学会総合内科専門医
その他 公衆衛生学修士(MPH)
熱帯医学衛生学位(DTMH)
インフェクションコントロールドクター(ICD)
国際渡航医学認定(CTH)
日本感染症学会評議員

前田 祐里 (まえだ ゆり)

 
役職 医師
卒業年 2018(平成30)年
専門分野 感染症診療・一般内科診療
資格  

外来担当医表

場所 西館1階(1B)
受付時間 新患:8時~11時30分
再来:8時~11時30分
予約方法 ★初診
他の医療機関からの紹介状がある場合→
予約センターにて予約
事前にFAXあるいは郵送で紹介状を予約センターに送ってください。
予約受付時間 平日 9時~19時
      土曜日 9時~13時
          ※ 日・祝日を除く
TEL:0120-936-385
FAX:0120-937-510
区分 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
ABCD 交替制 交替制 交替制 交替制 交替制

(2022年4月1日~)

※区分

(A:紹介予約 B:当日初診 C:予約再診 D:当日再診)
※交替制:久保・古宮・小林 他※都合により変更する場合もありますのでご了承ください。
新患優先

外来担当医表(専門外来)

専門外来 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
トラベルクリニック
(渡航外来)
交替制 交替制 交替制 交替制 交替制

(2023年8月1日~)

※ 予約制
※ 交替制:古宮・小林
※ 都合により変更する場合もありますのでご了承ください。

外来担当医表一覧へ


診療実績

トラベルクリニック 2012(平成24)年開設後の実績

受診者年齢構成

受診者出身地

渡航先

接種ワクチン (73名中 重複あり)

トラベルクリニックを受診した理由 例

年齢 渡航先 受診理由
50代 香港 初めての海外旅行。注意事項を知りたい
30代 ネパール 帯同家族として必要な準備
10代 アメリカ 留学に必要なワクチン接種
60代 インド トレッキングに行くため、高山病の予防薬希望
30代 コンゴ マラリア予防薬希望
20代 セネガル ダンスの勉強に行くが、親が心配している。
60代 ルワンダ 糖尿病治療中。ボランティアに参加したい。
30代 ベトナム ウイルスの研究をするため渡航。必要なワクチン接種。

患者さんへ

感染症専門医は、当県には数えるほどしかいません(日本感染症学会ホームページ参照)。

感染症と一口にいっても、かぜやインフルエンザなど「抗生物質は効かない」が自然に治ることが多い感染症から、心内膜炎や脊椎炎といった専門的な精査・治療を要する感染症までいろいろあります。やっかいなことに発熱の原因は多岐にわたりますので、どこを受診していいかわからなかったり、各科専門医を受診してもなかなか診断がつかない場合があるかと思います。

一般的な感染症は、地域のかかりつけ医や救急外来等で対応できますので、いきなり当科へ受診される方は少ないです。しかし、各科専門医などを受診しても対応に苦慮するような場合や、海外渡航後の発熱等受診先を探しにくい場合で、感染症の可能性がある場合には、当科へ受診してください。もし、既に他の医療機関を受診されているのであれば、必ず紹介状・検査結果等を持参ください。もちろん感染症内科へ受診されても、感染症ではなくリウマチ科や悪性腫瘍など他科の病気のこともあります。必要に応じて各科と連携しながら総合的に診療させていただきます。


地域の先生方へ

大変お世話になっております。また、いつもご紹介をいただきまして誠にありがとうございます。

原因不明の発熱で御紹介いただくことが近年増加しています。原因がわかり次第、フィードバックするよう努めていますが、精査には時間がかかります。連絡が遅い場合で、経過が気になる場合にはいつでもお問い合わせいただければ幸いです。

なお、発熱の精査では、かなり初期の段階で(特には、抗菌薬を投与する必要がある場合には、その前に)血液培養2セット以上を採取することが定石となっています。この検査はプライマリケアの現場では必ずしもできない検査と伺っています。原因不明でご紹介いただく場合には、できるだけ事前の抗菌薬投与をしないで当科受診を勧めていただけますと、よりよい病診連携ができますので、よろしくお願い申し上げます。

抗菌薬を急ぎで投与した方がよさそうな状況(敗血症疑い、細菌性髄膜炎疑い等)だが原因がはっきりしない場合は、感染症内科部ではなく、救急外来へご紹介ください。その方が、培養検体採取後、抗菌薬投与まで迅速に対応できます。


当科の理念

“感染症内科部は、感染症から人々を救うため、黒子となって働きます”

当科の目標

  • ・院内での感染症に対する意識の向上
  • ・医療関連感染拡大の防止
  • ・渡航に関する感染症疾病の予防と治療
  • ・感染症アウトブレイク時の緊急対応支援

当科の活動

  • 院内全科で直面している感染症難渋例の診断・治療のコンサルテーション
  • 抗菌薬の適正使用の促進
  • 研修医・看護師・コメディカルへの教育
  • 輸入感染症(熱帯感染症)、渡航前後の感染症疾患に対する外来診察
  • 1類・2類感染症疾患に対して、他科および他専門医療機関と連携して対応
  • 感染予防・制御に関して、院内ICTの支援・協調
  • 国際的な感染症対策ネットワークの構築・協調

疾患・治療

感染症科のこれまでの相談例

感染症が考えられる状況での、診断・治療に関する相談です。

相談例
  • ・発熱、左肩痛、腰痛で来院し、血液培養2セット採取、尿培養採取、胸部X線検査などfever work-upを行っているが、原因がわからない。どうしたらいいですか?
  • ・化学療法後の発熱に対し第4世代抗菌薬を使用中だが、微熱が続く、どうしたらいいですか?
  • ・血液培養からAcinetobacter lwoffiiが検出されたが、治療をどうしたらいいですか?
  • ・皮膚培養からScedosporium spp.が検出されたが、治療をどうしたらいいですか?
  • ・バンコマイシンの長期投与を考えているが、血中濃度測定と投与方法の調節をどうしたらいいですか?

12月某日にフォローさせていただいている科の内訳です(各科1~3例)


トラベルクリニック(渡航外来)

当外来では国際的な渡航医学の専門資格を有する医師により、ワクチン接種やマラリア予防内服などを含めた渡航に関する医学的なアドバイスを行っています。また、留学などでワクチン接種の証明が必要となる場合には、証明書の発行を行います。

海外へ渡航される方、特に熱帯地域への旅行、登山など冒険的な旅行、出張、留学を予定されている方、あるいは持病を抱えた方などが安心して渡航するためのお手伝いをしたいと考えています。

渡航外来の具体的な内容について

渡航前相談

  • 海外渡航に関連した健康相談や情報提供
  • ワクチン接種
  • マラリア予防内服(メファキン®、マラロン®)処方
  • 高山病予防薬(ダイアモックス®)処方
  • 英文診断書・証明書の作成

渡航後相談

  • 渡航との関連が疑われる発熱、下痢などについては、感染症内科で一般の健康保険を適用した診療を行います。
  • 熱帯病(マラリア、デング熱など)を疑う場合

予約について

外来は、原則として予約制で、月曜日~金曜日の10:00~16:00に行います。
予約およびご質問は下記の連絡先までお電話ください。

連絡先
日本赤十字社和歌山医療センター 感染症内科
TEL 073-422-4171 ㈹

受診料について

渡航前の受診に関しては保険診療適用外であり、自費による自由診療となることを予めご了承ください。
(渡航後に下痢や発熱などで受診された場合は一般の健康保険の適用となります)

相談料: 2,200円(税込)
診断書発行料:5,500円(税込)

渡航外来料金一覧

2020(令和2)年7月1日現在

名 称
料 金
相談料(初診から3ヵ月以内)
2,200円
破傷風ワクチン
6歳未満
4,921円
6歳以上
4,096円
水痘ワクチン
6歳未満
9,658円
6歳以上
8,833円
麻疹ワクチン
6歳未満
7,637円
6歳以上
6,812円
風疹ワクチン
6歳未満
7,637円
6歳以上
6,812円
MR(風疹・麻疹)ワクチン
6歳未満
11,534円
6歳以上
10,709円
ムンプスワクチン
6歳未満
7,637円
6歳以上
6,812円
二種混合ワクチン
(ジフテリア・破傷風)
6歳未満
5,786円
6歳以上
4,961円
三種混合ワクチン
(百日咳・ジフテリア・破傷風)
6歳未満
6,040円
6歳以上
5,215円
四種混合ワクチン
(百日咳・ジフテリア・破傷風・ポリオ)
6歳未満
12,199円
6歳以上
11,374円
A型肝炎ワクチン
6歳未満
9,900円
6歳以上
9,075円
B型肝炎ワクチン
6歳未満
6,609円
6歳以上
10歳未満
5,784円
10歳以上
6,054円
日本脳炎ワクチン
6歳未満
8,146円
6歳以上
7,321円
ポリオワクチン
6歳未満
10,808円
6歳以上
9,983円
子宮頸がんワクチン
1回 18,513円
狂犬病ワクチン
6歳未満
17,509円
6歳以上
16,684円
肺炎球菌ワクチン
6歳未満
12,925円
6歳以上
8,565円
髄膜炎ワクチン 6歳未満 26,426円
6歳以上 25,601円
インフルエンザワクチン
6歳未満
7,843円
6歳以上
7,018円
ヒブワクチン
6歳未満
9,222円
6歳以上 8,397円
ロタワクチン
6歳未満
10,890円
6歳以上
10,065円
BCGワクチン
6歳未満
7,843円


(上記金額には消費税を含む)