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循環器内科


当科について

ご案内

場所

本館3F

受付時間

新患:8時〜11時30分まで
再来:8時〜11時30分まで

特色

循環器疾患全般にわたり、最新の診療を提供できるよう心がけています。年間入院患者1,600例のうち、動脈硬化性血管疾患、不整脈関連疾患、心不全関連疾患、それぞれが3分の1ずつを占めています。
動脈硬化性血管疾患は、当科ではカテーテルを用いた血管内治療を得意としています。また、危険度の低い血管病には薬物療法を、重篤な血管病には心臓血管外科と連携し手術を選ぶなど、個々の患者さんにとって適切な治療法を選択いたします。また、血管病の二次予防に、心臓リハビリテーションを積極的に行っています。
不整脈関連疾患は、専門医である花澤医師が赴任して、カテーテルアブレーションの件数が飛躍的に伸びています。特に心房細動は今後も増加が予測される疾患であり、質の高い最先端の医療提供を目指しています。
心不全関連疾患は、基礎心疾患(冠動脈・弁膜・不整脈)に対して適切な介入を行い、薬物療法+リハビリテーションで安定した病態を維持します。心不全は、完治する病態ではないため、地域の先生方と連携しながら、代償状態の維持を目標とした診療を継続します。
救急患者が多いのも大きな特徴です。救急科と連携し、年間800-900例の緊急性の高い患者が救急外来から入院しています。
学術活動は、重要であるが科学的に明らかとなっていない臨床領域に関して、学術活動を通じて適切な診療を追求しています。(参考文献一覧1)
また、京都大学循環器科関連施設として臨床研究にも積極的に参加しています。(参考文献一覧2)
 

患者さんへ

安全で最新の診療を提供できますよう、心がけております。胸が苦しい、動機がする、息が苦しい、足が腫れるなどが、心臓病を示す兆候です。これらの症状に対して、急性期病院として、適切に評価して必要な治療を行います。急性期の病態が落ち着いて、慢性の病態が安定したあとは、地域の先生方に診療の分担をお願いしています。もちろん、必要な時には随時当センターで診療を行い、病院と診療所の二人主治医制で患者さんを支えています。
循環器疾患は急な病態の変化もめずらしくありません。その際には、救急科と連携して24時間365日の対応を行っております。急な症状の変化時にも安心して受診ください。

データベース事業の参加について

当センターでは、心血管疾患に対するカテーテル治療をおこなった患者さんの治療記録を、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)施行の症例登録システムに登録する事業に協力しています。

地域の先生方へ

循環器疾患というのは、急性期を過ぎても、一部を除けばほとんどの疾患は永続的な管理が必要となります。動脈硬化疾患は、血行再建が完了しても内科的二次予防は再発予防に必須です。また、心不全は根治する病態ではなく継続的な管理が必要です。当センターでは、厚生労働省の指導で、病院完結型診療から、地域完結型診療への転換を進めています。急性期の病態が落ち着いて、慢性の病態が安定したと判断される患者さんは、地域の先生方に診療の分担をお願いしています。
現在、心不全診療につきまして、地域の先生方とのネットワークを準備中です。また、診療ガイドラインを基にした、地域の先生方と共有できる病態別の循環器疾患標準診療プロトコルも準備中です。今後、患者さんにも安心して継続的な診療が受けていただけるよう、よりよい形で地域の病院・診療所の先生方との連携を目指しています。

参考文献

1. Oi M, Toyofuku M, Matsumura Y, Motohashi Y, Takahashi K, Kawase Y, Ko E, Tanaka M, Kitada M, Yuzuki Y, Tamura T, Tanaka N, Kimura T. Utility of nicorandil for the measurement of coronary fractional flow reserve. Cardiovasc Interv Ther. 2014;29:24-30

2. Kotani Y, Toyofuku M, Tamura T, Shimada K, Matsuura Y, Tawa H, Uchikawa M, Higashi S, Fujimoto J, Yagita K, Sato F, Atagi Y, Hamasaki T, Tsujimoto T, Chishiro T. Validation of the diagnostic utility of d-dimer measurement in patients with acute aortic syndrome. Eur Heart J Acute Cardiovasc Care. 2017;6:223-231

3. Tanaka M, Kanae S, Maki-Oi M, Motohashi Y, Takahashi K, Euihong K, Hanazawa K, Toyofuku M, Kitada M, Yuzuki Y, Tamura T. Comparison of the influence of right atrial septal pacing and appendage pacing on an atrial function and atrial fibrillation in the clinical situation. J Atr Fibrillation. 2016;9:1435

4. Toyofuku M, Kimura T, Morimoto T, Hayashi Y, Shiode N, Nishikawa H, Nakao K, Shirota K, Kawai K, Hiasa Y, Kadota K, Nozaki Y, Isshiki T, Sone T, Mitsudo K. Comparison of 5-year outcomes in patients with and without unprotected left main coronary artery disease after treatment with sirolimus-eluting stents: Insights from the j-cypher registry. JACC Cardiovasc Interv. 2013;6:654-663

5. Goto K, Nakai K, Shizuta S, Morimoto T, Shiomi H, Natsuaki M, Yahata M, Ota C, Ono K, Makiyama T, Nakagawa Y, Furukawa Y, Kadota K, Takatsu Y, Tamura T, Takizawa A, Inada T, Doi O, Nohara R, Matsuda M, Takeda T, Kato M, Shirotani M, Eizawa H, Ishii K, Lee JD, Takahashi M, Horie M, Miki S, Aoyama T, Suwa S, Hamasaki S, Ogawa H, Mitsudo K, Nobuyoshi M, Kita T, Kimura T. Anticoagulant and antiplatelet therapy in patients with atrial fibrillation undergoing percutaneous coronary intervention. Am J Cardiol. 2014;114:70-78

6. Ko E, Natsuaki M, Toyofuku M, Morimoto T, Matsumura Y, Oi M, Motohashi Y, Takahashi K, Kawase Y, Tanaka M, Kitada M, Yuzuki Y, Tamura T, Inoue K, Mitsudo K, Kimura T. Sirolimus-eluting stent implantation for ostial right coronary artery lesions: Five-year outcomes from the j-cypher registry. Cardiovasc Interv Ther. 2014;29:200-208

7. Natsuaki M, Morimoto T, Furukawa Y, Nakagawa Y, Kadota K, Yamaji K, Ando K, Shizuta S, Shiomi H, Tada T, Tazaki J, Kato Y, Hayano M, Abe M, Tamura T, Shirotani M, Miki S, Matsuda M, Takahashi M, Ishii K, Tanaka M, Aoyama T, Doi O, Hattori R, Kato M, Suwa S, Takizawa A, Takatsu Y, Shinoda E, Eizawa H, Takeda T, Lee JD, Inoko M, Ogawa H, Hamasaki S, Horie M, Nohara R, Kambara H, Fujiwara H, Mitsudo K, Nobuyoshi M, Kita T, Kimura T. Late adverse events after implantation of sirolimus-eluting stent and bare-metal stent: Long-term (5-7 years) follow-up of the coronary revascularization demonstrating outcome study-kyoto registry cohort-2. Circ Cardiovasc Interv. 2014;7:168-179

8. Taniguchi T, Morimoto T, Shiomi H, Ando K, Kanamori N, Murata K, Kitai T, Kawase Y, Izumi C, Miyake M, Mitsuoka H, Kato M, Hirano Y, Matsuda S, Nagao K, Inada T, Murakami T, Takeuchi Y, Yamane K, Toyofuku M, Ishii M, Minamino-Muta E, Kato T, Inoko M, Ikeda T, Komasa A, Ishii K, Hotta K, Higashitani N, Kato Y, Inuzuka Y, Maeda C, Jinnai T, Morikami Y, Sakata R, Kimura T. Initial surgical versus conservative strategies in patients with asymptomatic severe aortic stenosis. J Am Coll Cardiol. 2015;66:2827-2838

9. Watanabe H, Morimoto T, Natsuaki M, Furukawa Y, Nakagawa Y, Kadota K, Yamaji K, Ando K, Shizuta S, Shiomi H, Tada T, Tazaki J, Kato Y, Hayano M, Abe M, Tamura T, Shirotani M, Miki S, Matsuda M, Takahashi M, Ishii K, Tanaka M, Aoyama T, Doi O, Hattori R, Kato M, Suwa S, Takizawa A, Takatsu Y, Shinoda E, Eizawa H, Takeda T, Lee JD, Inoko M, Ogawa H, Hamasaki S, Horie M, Nohara R, Kambara H, Fujiwara H, Mitsudo K, Nobuyoshi M, Kita T, Kastrati A, Kimura T. Antiplatelet therapy discontinuation and the risk of serious cardiovascular events after coronary stenting: Observations from the credo-kyoto registry cohort-2. PLoS One. 2015;10:e0124314

10. Kaitani K, Kondo H, Hanazawa K, Onishi N, Hayama Y, Tsujimura A, Kuroda M, Nishimura S, Yoshikawa Y, Takahashi Y, Amano M, Imamura S, Tamaki Y, Enomoto S, Miyake M, Tamura T, Motooka M, Izumi C, Nakagawa Y. Relationship between diastolic ventricular dysfunction and subclinical sleep-disordered breathing in atrial fibrillation ablation candidates. Heart Vessels. 2016;31:1140-1147

11. Natsuaki M, Morimoto T, Furukawa Y, Nakagawa Y, Kadota K, Ando K, Shiomi H, Toyota T, Watanabe H, Ono K, Shizuta S, Tamura T, Inoko M, Inada T, Shirotani M, Matsuda M, Aoyama T, Onodera T, Suwa S, Takeda T, Inoue K, Kimura T. Short versus prolonged dual antiplatelet therapy duration after bare-metal stent implantation: 2-month landmark analysis from the credo-kyoto registry cohort-2. Cardiovasc Interv Ther. 2016

12. Ohya M, Kadota K, Toyofuku M, Morimoto T, Higami H, Fuku Y, Yamaji K, Muranishi H, Yamaji Y, Nishida K, Furukawa D, Tada T, Ko E, Ando K, Sakamoto H, Tamura T, Kawai K, Kimura T. Long-term outcomes after stent implantation for left main coronary artery (from the multicenter assessing optimal percutaneous coronary intervention for left main coronary artery stenting registry). Am J Cardiol. 2017;119:355-364

13. Taniguchi T, Morimoto T, Shiomi H, Ando K, Kanamori N, Murata K, Kitai T, Kawase Y, Izumi C, Miyake M, Mitsuoka H, Kato M, Hirano Y, Matsuda S, Inada T, Nagao K, Murakami T, Takeuchi Y, Yamane K, Toyofuku M, Ishii M, Minamino-Muta E, Kato T, Inoko M, Ikeda T, Komasa A, Ishii K, Hotta K, Higashitani N, Kato Y, Inuzuka Y, Maeda C, Jinnai T, Morikami Y, Saito N, Minatoya K, Kimura T. High- versus low-gradient severe aortic stenosis: Demographics, clinical outcomes, and effects of the initial aortic valve replacement strategy on long-term prognosis. Circ Cardiovasc Interv. 2017;10

14. Toyofuku M, Taniguchi T, Morimoto T, Yamaji K, Furukawa Y, Takahashi K, Tamura T, Shiomi H, Ando K, Kanamori N, Murata K, Kitai T, Kawase Y, Izumi C, Miyake M, Mitsuoka H, Kato M, Hirano Y, Matsuda S, Inada T, Murakami T, Takeuchi Y, Yamane K, Ishii M, Minamino-Muta E, Kato T, Inoko M, Ikeda T, Komasa A, Ishii K, Hotta K, Higashitani N, Kato Y, Inuzuka Y, Maeda C, Jinnai T, Morikami Y, Saito N, Minatoya K, Kimura T. Sex differences in severe aortic stenosis- clinical presentation and mortality. Circ J. 2017


スタッフ紹介

医師

田村 崇 (たむら たかし)

役職 部長
卒業年 昭和63年
専門分野 循環器全般
冠動脈インターベンション
資格 京都大学医学部臨床教授
日本内科学会認定内科医
日本循環器病学会循環器専門医

北田 雅彦 (きただ まさひこ)

役職 副部長
卒業年 昭和63年
専門分野 循環器全般、ペースメーカー
心エコー、心臓カテーテル
資格 日本内科学会認定内科医
日本循環器病学会循環器専門医
ICD/CRT研修修了証取得者

豊福 守 (とよふく まもる)

役職 副部長
卒業年 平成3年
専門分野 循環器全般
資格 日本内科学会総合内科専門医
日本循環器病学会循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会心血管インターベンション専門医
日本心臓リハビリテーション学会心臓リハビリテーション指導士

花澤 康司 (はなざわ こうじ)

役職 副部長
卒業年 平成16年
専門分野 循環器全般、不整脈
資格 日本内科学会認定内科医
日本循環器病学会循環器専門医
日本不整脈心電学会不整脈専門医
ICD/CRT研修修了証取得者

渡邊 大基 (わたなべ ひろき)

役職 副部長
卒業年 平成16年
専門分野 循環器全般
資格 日本内科学会認定内科医
日本心血管インターベンション治療学会認定医

本橋 恭代 (もとはし やすよ)

役職 医師
卒業年 平成20年
専門分野 循環器全般
資格 日本内科学会総合内科認定医
日本循環器病学会循環器専門医

辰島 正二郎 (たつしま しょうじろう)

役職 医師
卒業年 平成22年
専門分野 虚血性心疾患
大動脈疾患
末梢動脈疾患
資格 腹部大動脈ステントグラフト施行医 

稲田 訓子 (いなだ のりこ)

役職 医師
卒業年 平成24年
専門分野 循環器全般
資格 日本内科学認定内科医

伊勢田 高寛 (いせだ たかひろ)

役職 医師
卒業年 平成25年
専門分野 循環器内科一般
不整脈
資格 日本内科学会認定内科医

木村 友哉 (きむら ともや)

役職 医師
卒業年 平成29年
専門分野 循環器全般
資格  

柴森 裕一郎 (しばもり ゆういちろう)

役職 医師
卒業年 平成29年
専門分野 循環器全般
資格  

岡村 英夫 (おかむら ひでお)

役職 嘱託
卒業年 平成10年
専門分野  
資格 日本内科学会認定内科医
日本循環器病学会循環器専門医
日本不整脈心電学会不整脈専門医
ICD/CRT研修修了証取得者

疾患・治療

循環器内科は下記のような病気の診療を行っています。
当センターでは、特に救急医療に力を入れているため、高度救命救急センターを受診される可能性が高い循環器疾患である急性心筋梗塞、不安定狭心症、急性心不全、大動脈解離、肺血栓塞栓症、不整脈などの重症心血管疾患を24時間受入れできるよう体制整備し、治療に当たっています。
また、心臓血管外科との連携を十分にとって協力し合い、重症の虚血性心疾患、弁膜症、大血管疾患、末梢血管疾患の患者さんの治療に当たっています。
わが国では、生活習慣の欧米化により肥満・高脂血症・糖尿病など代謝性疾患が大幅に増加しており、人口の高齢化とともに循環器疾患増加の原因となっています。虚血性心疾患だけでなく、大動脈・末梢動脈疾患、脳、腎臓疾患も増加しています。
このような動脈硬化による疾患は、心臓だけでなく多臓器にわたるため循環器内科単独での治療は困難で、心臓血管外科、脳神経外科、糖尿病・内分泌内科、腎臓内科、救急科、集中治療科等多数の診療科との連携が必要であり、また、急性期病院として地域の開業医の先生方との病診連携が不可欠です。関係の先生方との連携を密にとり、治療方針を患者さんおよび家族の方と十分に話し合い、個々の患者さんに最適な治療を行うよう努めています。

心臓の病気として
1. 虚血性心疾患
2. 不整脈
3. 心不全
4. 心臓弁膜症
5. 心筋症、心筋炎
6. 肺高血圧症 など
血管の病気として
1. 大動脈瘤、大動脈解離
2. 末梢動脈疾患
3. 肺血栓塞栓症
4. 下肢静脈瘤 など
全身の病気として
1. 高血圧
2. 高脂血症 など

虚血性心疾患

動脈硬化や血栓のために冠動脈(心臓の筋肉を栄養している動脈)の流れが妨げられるため、心臓の筋肉に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、狭心症状(胸痛、胸部圧迫感、背部痛、左肩の痛みなど)が生じる病気です。
高齢化、食事の欧米化による糖尿病、高脂血症、高血圧などの代謝疾患の増加とともに増加傾向にあります。
疾患の種類としては狭心症、不安定狭心症、急性心筋梗塞などがあります。

狭心症は、激しい運動や強いストレスがかかった時に冠動脈の狭窄のため一時的に狭心症状が生じますが、安静にしたり、ニトログリセリンを舌下したりすれば、大部分は15分以内に症状が消失するため、心臓の筋肉への障害はほとんどありません。

急性心筋梗塞は、突然冠動脈が血栓のため閉塞する病気で、閉塞した冠動脈が還流している心臓の筋肉に酸素や栄養が行き渡らなくなるため、心臓の筋肉が壊死を起こします。症状は激しい胸痛、胸部圧迫感、冷汗、嘔気、嘔吐、左肩痛みなどがあり、安静やニトログリセリン舌下でも症状はあまり改善せず、持続時間は15分以上と長時間持続するため、救急車にて救命救急センターへ搬送されることもよくあります。
また、合併症として不整脈、心破裂、心不全を引き起こし命にかかわる病気です。そのため、できるかぎり心臓の筋肉への障害を減らすために、血栓で閉塞した冠動脈の血流を回復させる治療である再灌流療法(心臓カテーテル検査、ステント治療など)を緊急で行います。

不安定狭心症は、急性心筋梗塞に移行しやすい狭心症で、軽い労作時でも、あるいは安静にしていても狭心症状が持続するため、高度救命救急センターを受診され緊急で再灌流療法を行うことがよくあります。

虚血性心疾患の検査としては、心臓一般の検査(心電図、心エコー、胸部X線、血液検査)のほかに運動負荷心電図、心筋シンチ、冠動脈CT、心臓カテーテル検査などがあります。治療としては、薬物療法、ステント治療、ロータブレーター治療などがあり、また、重症例では心臓血管外科が行う冠動脈バイパス術があります。

不整脈とは

心臓は規則正しく拍動し、全身に血液を送り出すポンプの役割をしています。
このポンプは電気刺激で動いていて、この電気刺激の経路に異常が生じると、心臓全体に電気刺激がうまく伝わらずに心臓の動き(心拍)が乱れることを不整脈と呼んでいます。

不整脈の症状として、心拍が速くなると強い動悸や胸部不快感、胸痛などが出現する時があります。また、逆に心拍が遅くなると疲労感やめまい、ひどい時には意識を失うこともあります。

不整脈にはいろいろな種類がありますが、心拍が遅いものを徐脈性不整脈と呼びます。この徐脈性不整脈の主な原因は、電気刺激の機能そのものが低下したためであり、人工的に心臓への電気刺激を補う心臓ペースメーカーの植え込みが必要となることがあります。

また、心拍が速いものを頻脈性不整脈と呼びます。この不整脈の主な原因は(1)電気刺激の経路に余分な電気刺激を発生する部位ができたり、(2)正常の伝導路とは別の伝導路が存在することで、そこで電気刺激が渦を巻いたりすることで心拍が速くなります。近年、この頻脈性不整脈の治療が目覚ましい進歩を遂げています。

徐脈性不整脈の治療

徐脈性不整脈では、心臓の打つ回数(心拍)が少なくなるため、日常生活中に息切れや倦怠感を感じることがあります。このような自覚症状がない場合は経過観察できますが、脈拍が少なくなっている原因によってはペースメーカーが必要になることがあります。

皮下植込み型ペースメーカー

ペースメーカーとは、電池とコンピューターが内蔵された金属製の本体と電線(リード)からなります。リードは患者さんの状態に応じて1本ないし2本使用します。このリードを心臓の中の右上の部屋(右心房)と右下の部屋(右心室)にそれぞれ留置してペースメーカーの本体に繋ぎます。ペースメーカー本体の留置場所は、通常左胸の鎖骨下付近に数cm切開し、皮下にポケットを作成します。そのポケットの中に本体を収納します。ペースメーカーは心臓に留置されたリードを用いて心臓の動きを感知し、もし、適切に動いていない場合は電気刺激を伝えます。ペースメーカー本体の重さはおおよそ20g程度で、電池の寿命はペースメーカーの作動率にもよりますが、おおよそ5〜10年程度です(電池が改良されていますので10年以上もつものもあります)。電池寿命がくれば交換が必要です。

リードレスペースメーカー

2017年9月より使用が可能になったペースメーカーです。従来のリードを用いて、皮下に植え込むペースメーカーと異なり、直接心臓に植え込みます。直接心臓に植え込むため、リードが必要ない(リードレス)のでリードの破損や脱落などがありません。また、皮下にポケットを作成する必要もないため、ポケット作成に関係した感染症も起こりませんし、外から見ても全くペースメーカーが挿入されているかどうかもわかりませんので美容上の利点もあります。
ただ、心室にしか植え込めないこと、ペースメーカーの電池寿命がきても取り出せないため追加の挿入しかできないなどの課題もあります。

特殊なペースメーカー

植込み型除細動機能付きペースメーカー(ICD)

心臓の機能が低下したり、心臓の筋肉にトラブルがあったりした場合に心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)が起こることがあります。これらの不整脈は致死性不整脈と呼ばれ、できるだけ速く治療を行わないと生命に危険が及ぼします。
治療は電気的除細動(電気ショック)しかありません。この不整脈が起こったら、いち早く感知し電気ショックを行うペースメーカー(ICD)が開発されました。ICDはペースメーカーの機能と電気ショックの両方の機能を持ったものですので基本はペースメーカーと同じ、金属製の本体とリードからなります。リードは電気ショックを出すことのできる特殊なリードを使用します。また、ペースメーカーの本体は電気ショックを出すために大型の電池とコンデンサーが必要になるため通常のペースメーカーと比較してかなり大きいです。


S-ICD

通常のペースメーカーのリードと比較してICDのリードは太く、破損(折れたり、切れたり)しやすいものでした。リードが破損した場合は、心臓の中に留置された期間が長いと心臓とリードが癒着するため簡単には取り出せず、追加で留置するしかありません。追加でリードの留置を繰り返すと心臓の負担も大きく、心臓機能の低下する可能性があります。そこで心臓にリードを直接留置せず、心臓の周囲の皮下にリードを留置して電気ショックが行える除細動器(S-ICD)が開発されました。このS−ICDは、心臓の周囲の胸骨にそってリードを挿入し、本体は胸部の左側(心臓の高さぐらいの位置)に挿入します。皮下にリードを挿入しているため、もし、リードが破損しても取り出すことは簡単です。ただし、リードは心臓内に留置されていないため、ペースメーカーとしての機能はありません。

心臓再同期療法

心筋梗塞後や心筋症など心臓の筋肉にトラブルが起こった場合、心臓のポンプとしての機能が低下してしまいます。心臓のポンプ機能が低下する原因の1つに、心臓の筋肉の収縮するタイミングがばらばらになって効率的に動けなくなっている状態があります。ペースメーカーからの電気刺激を使って、バラバラになった心臓の動きをもう一度整えようとする治療法があり心臓再同期療法(CRT)と呼びます。心臓再同期療法を行う場合は、通常、心室に1本のリードを右心室に挿入しますが、もう1本を冠静脈洞という心臓の血管を通して左心室側に挿入します。この2本のリードから電気刺激を行うことでバラバラになった心臓の動きを再度整えます。

頻脈性不整脈の治療

以前の頻脈性不整脈の治療は、胸を開けて直接心臓の不整脈の原因となる部分に治療を行っていました。これは患者さんにとても大きな負担がかかる大変な治療でした。また、薬による治療もありますが、これは薬によって不整脈を起こりにくくするだけで、根本的に不整脈を治療することはできません。そのため、お薬を継続的に内服してもらう必要がありますが、長期間の内服は副作用の問題も懸念されます。つまり、以前は頻脈性不整脈の患者さんは、薬の副作用を気にしながら薬で様子をみるか、思い切って心臓外科手術を受けるかという選択を迫られていました。

そこで登場したのがカテーテルを使って治療する技術です(カテーテルアブレーション:カテーテル心筋焼灼術)。この治療法は、カテーテルと呼ばれる直径2mm程度の管を心臓内に挿入して、不整脈の原因となる電気回路の部分を探しだし、その回路を遮断する治療法です。つまり、カテーテルという道具を用いて電気で動いている心臓の電気工事を行うのです。この治療がうまく行けば不整脈は治る可能性があり、内服薬の中止または減量できることもあります。つまり、薬物治療は不整脈の症状を緩和することを目的とした治療法ですが、カテーテルアブレーションは不整脈の根治を目指す治療法です。

頻脈性不整脈の種類

・発作性上室性頻拍(房室結節回帰性頻拍、房室回帰性頻拍、心房頻拍、上室性期外収縮)
・心房粗動
・心房細動
・心室頻拍/心室性期外収縮
・心室細動

心室細動以外は、カテーテルアブレーションで治療対象となる主な不整脈です。
この中で一番患者さんが多い不整脈は心房細動です。

心房細動

心房内で電気刺激が嵐のようにあちこちで起こり、まるで心房が痙攣したように細かく動く(細動)不整脈です。心房が不規則に興奮するため心房内に血の塊(血栓)ができやすく、この血栓が血流に乗って流れ、他の臓器で詰まってしまう(塞栓症:例 脳梗塞など)ことがある怖い不整脈です。この不整脈が起こってしまう原因は、高血圧や糖尿病の他に年齢も関わっています。未曾有の高齢社会を迎える現代で、心房細動の患者さんが年々増加していくことが大きな問題となってきています。脳梗塞や心不全を引き起こす怖い不整脈ですが、長年なかなか治すことが困難な不整脈でした。しかし、近年技術の進歩とともに治すことのできる不整脈の1つとなってきました。

この不整脈が起こる原因は、心臓に繋がっている血管(主に左心房とつながっている肺静脈)と心臓との繋ぎ目からたくさん電気刺激が心臓内に入ってくることで起こります。つまり、この電気刺激が心臓内に入ってこないようにすること(電気的隔離術)で治療を行います。うまく遮断できれば、心房細動が起こらなくなります。電気刺激を遮断する方法としては、一般的には高周波を用いて焼灼する方法と、液化亜酸化窒素ガスを用いたバルーンで冷却をする方法などがあります。

当センターでのカテーテルアブレーションの治療実績

当センターでの取り組み

カテーテルでの治療は不整脈の原因となる部分を明らかにし、その部位を確実に遮断することが必要になります。そのため、当センターでは、カテーテルで取得した不整脈の情報とカテーテルの正確な位置情報をコンピューター上に表示することができる最新のカテーテルのナビゲーションシステムを用いて、より安全でより確実に治療ができるよう努めています。 

頻脈性不整脈は、突然始まる動悸から死に至らしめるものまで様々存在します。このカテーテルアブレーションの登場により、不整脈の種類によっては根治させることができます。また、最新のカテーテルのナビゲーションシステムを使用することで、より安全性や確実性の高い治療を行えるようになってきました。一人でも多くの患者さんが不整脈の苦しみから解放されるように努力していきたいと考えています。

なお、頻脈性不整脈は、様子をみていいもの、薬を使用した方がいいもの、カテーテルで根治が望めるものなど様々です。お心当たりの方はご相談ください。


人材募集のお知らせ

当センター循環器内科は、下記学会の専門研修施設です。

  • ・日本内科学会 教育病院
  • ・日本循環器学会 循環器専門医研修施設
  • ・日本心血管インターベンション治療学会 研修施設
  • ・日本不整脈心電図学会 認定不整脈専門医研修施設

当センター循環器内科で取得可能な資格は、以下の通りです。

  • ・日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
  • ・日本循環器学会 循環器専門医
  • ・日本心血管インターベンション治療学会 心血管カテーテル治療専門医
  • ・日本不整脈心電学会 不整脈専門医
  • ・日本心臓リハビリテーション学会心臓リハビリテーション指導士

当科は、虚血、不整脈、心不全に総合的かつ専門的い対応できる医師を養成します。虚血性心疾患においては冠動脈病変へのステント治療や、ロータブレーター治療を、不整脈/(心不全)にはカテーテルアブレーション、ペースメーカー、植込み型除細動器、両心室ペーシング(CRTD)などを用いた専門治療を行っております。当科では、後期研修もしくは若手の先生方を募集しています。ご興味の先生は、ぜひご連絡ください。(後期研修について)

また、後期研修とは別に、下記のコースも開設しています。ご興味の方は、人事課までお問合せください。

   [問い合わせ先]
〒640ー8558 和歌山市小松原通四丁目20番地
日本赤十字社和歌山医療センター 人事課
Tel. 073-422-4171㈹
Fax. 073-426-1168

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循環器専門医取得を目指すコース 1-3年

対象:認定内科医(総合内科専門医)取得もしくは取得予定者で、循環器専門医を目指す方。また、専門医取得後で、循環器領域のスキルアップをご希望の方。
研修の概要:和歌山県は、心疾患死亡率が全国3位、急性心筋梗塞死亡率も近畿圏で最も高いなど、循環器診療体制の整備は急務といえます。当科では専門性の高い循環器科医を育成することで地域への貢献を目指します。年間1,800例の豊富な症例から、循環器救急疾患、虚血性心血管疾患、不整脈疾患、心不全関連疾患について、バランスよく診療経験し、循環器診療の専門性取得を目指していただきます。希望者には学術活動も積極的に参加いただきます。

心血管カテーテル治療もしくは専門医取得を目指すコース 2-3年

対象:循環器診療のサブスペシャリティとして、心血管カテーテル治療専門医を目指す方。
研修の概要:和歌山地区は人口100万弱を有し、年間 約2,000-3,000 例程度の心臓カテーテル治療が必要と見込まれます。必要とされるカテーテル治療医は、30名、指導医は10名程度、ですが、現在、当地区で日本心血管治療インターベンション治療学会に登録されている認定医は15名、専門医は3名と不足しています。将来の当地区の循環器心血管治療インターベンション治療を担う人材育成することで、地域への貢献を目指します。研修期間内に、専門医または指導医の下、主術者として200例以上(日本心血管治療インターベンション治療学会認定医申請に必要とされる症例数。専門医を目指す方は300例)の治療経験を積んでいただき、独立した術者となることを目指していただきます。希望者には学術活動も積極的に参加いただきます。