ストレスを受けると、胃がキリキリ痛んだり、動悸がしたり、血圧が上がって頭が痛くなったりする、などの症状は誰しも経験があることでしょう。このようなストレスによる身体の不調を、「心身症」と呼びます。心療内科では、このような心身症を専門に診療しています。
心療内科では、心と身体の両面から診療を行うため、初診では問診票、心理テストに加えて、自律神経機能検査や臨床心理士による詳細な予診を原則として行っています。このように診療に時間を要するため、初診・再診ともすべて完全予約制としています。そのため、予約せずに来院されても、当日初診はいたしかねますので、ご注意ください。
なお、一般の心療内科は精神科医が標榜していることがほとんどですが、当医療センターでは内科医が行う心療内科です。このため、不眠症、認知症、うつ病、不安神経症、統合失調症、アルコール・薬物依存症、不登校、発達障害、人格障害、悩み事の相談などは当科では診療していませんのでご注意ください。
また、当科は外来診療のみで入院病棟が無いため、摂食障害については診療していません。
役職 | 副部長 |
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卒業年 | 2007(平成19)年 |
専門分野 | 心療内科 |
資格 | 日本心療内科学会心療内科専門医 日本内科学会認定内科医 |
その他 | 日本心身医学会評議員 日本医師会認定産業医 総合内科専門医特任指導医 |
場所 |
本館3階 |
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注意事項 | 初診、再診ともに「完全予約制」です。 診察を希望される方は必ず事前に予約してください。 また、現在、他院の精神科または心療内科に通院されている方は、必ず紹介状が必要となります。 |
予約方法 |
★初 診 |
区分 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
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AC | 今泉 | ★1 今泉 |
- | - | 今泉 |
(2023年5月1日~)
※区分
(A:紹介予約 B:当日初診 C:予約再診 D:当日再診)
★1:Aを除く
※都合により変更する場合もありますのでご了承ください。
※赤字の名前は女性医師です
2021(令和3)年の総患者数は4,472名で、初診患者数は219名でした。
2021(令和3)年4月~9月における初診患者さんの第一主訴による疾患分類は、以下のとおり。
患者数(人) | 割合(%) | |
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痛み 総数 | 18 | 21.4 |
(腹部) | 7 | |
(全身性) | 5 | |
(顔面・口腔・舌) | 3 | |
(四肢) | 1 | |
(頭部) | 1 | |
(胸部) | 1 | |
呼吸苦 | 10 | 11.9 |
抑うつ感 | 8 | 9.5 |
めまい・ふらつき | 6 | 7.1 |
不眠 | 6 | 7.1 |
嘔気 | 5 | 5.9 |
動悸 | 5 | 5.9 |
不安 | 4 | 4.8 |
倦怠感 | 3 | 3.6 |
イライラ | 3 | 3.6 |
喉のつまり感 | 3 | 3.6 |
腹部膨満感 | 3 | 3.6 |
しびれ | 2 | 2.4 |
発熱 | 2 | 2.4 |
耳鳴り・耳閉感 | 2 | 2.4 |
火照り・寒気 | 2 | 2.4 |
多汗 | 1 | 1.2 |
脱力感 | 1 | 1.2 |
合計 | 84 | 100 |
現代社会では、ストレスによって身体に不調を来たす方が多くみられます。当科では、このような「ストレスで生じる身体の不調」を専門として診療しています。ストレスによって体の症状を生じた方、体調が悪いのにいろいろ検査をしても「原因不明」とか「自律神経失調症」と言われた方は、当科の受診をご検討ください。なお、あくまで「身体の症状」がある患者さんを専門としていますので、不眠症、うつ病、認知症、アルコール依存症、不登校、人格障害、単なる悩み事相談などは診療しておりませんので、ご注意ください。また、初診は完全予約制です。受診に際しては、かかりつけ医のある方は、紹介状を書いてもらい、その医療機関より受診予約をお取りください。かかりつけ医のいない方は、お電話にてご予約ください。初診では心理テストや臨床心理士による予診を行いますので、時間に遅れることのないように来院をお願いいたします。
当科では、ストレス性の身体疾患や、検査で器質的異常がみられないのに不調を訴える方を診療対象としています。このような方は「機能性身体症候群(FSS)」と呼ばれます。担当医は内科認定医であり、内科医の立場から患者さんを診察しています。多彩な不定愁訴・各臓器にまたがる症状で、医学的に説明困難で対処に困る患者さんがおられましたらご紹介ください。なお、精神疾患については専門外であり診療していませんので、ご了解ください。もし、心療内科・精神科のどちらに紹介したら良いか迷われた場合は、当科外来にお電話をいただき、ご相談をお願いいたします(外来窓口は心療内科・精神科共通です)
当科で診療することの多い疾患について、当科での治療方法について解説します。
緊張すると胃が痛くなる、あるいはお腹が痛くなって下痢をもよおす、などの胃腸症状があるにもかかわらず、胃カメラや大腸カメラを行っても、炎症も潰瘍もみられないことがあります。これらの症状は、機能性胃腸症といわれ、胃の症状であれば機能性ディスペプシア、腸の症状であれば過敏性腸症候群があります。
突然息が苦しくなる過呼吸症候群、ストレスがかかると咳を生じる心因性咳嗽、酸素飽和度は十分あるのに呼吸苦感を感じる心因性呼吸困難などがあります。
緊張すると血圧が上昇する白衣性高血圧、起立時に血圧低下・気分不良を訴える起立性調節障害などがあります。
原因不明の微熱を生じる心因性発熱、著しい疲労感を訴える慢性疲労症候群、全身の多彩な筋肉痛を生じる線維筋痛症などがあります。
フワフワするような非回転性で、耳鼻科や神経内科でも異常とされない眩暈や、咽に異物感を感じるものの、喉頭ファイバーで異常を認めない咽喉頭異常感症などがあります。
ストレスにより増悪する緊張型頭痛、片頭痛、眼瞼痙攣などがあります。
ストレスがあると増悪する慢性蕁麻疹やアトピー性皮膚炎、原因不明の脱毛症、抜毛症、緊張すると手に汗をかく手掌発汗などがあります。
緊張すると小便が近くなる心因性頻尿、頑固な会陰部痛を訴える慢性前立腺炎、テストステロンは正常、もしくはホルモン補充しても改善しない男性更年期症候群などがあります。
産婦人科でホルモン療法を行っても改善のみられない更年期障害や月経前症候群などがあります。
器質的には全く異常が無いのに疼痛を訴える非定型歯痛や舌痛症、著しい口腔内の乾燥を訴える口腔内乾燥症、治療抵抗性の顎関節症などがあります。
上記に収まらないほど多彩な症状、つまり胃痛、動悸、頭痛、眩暈、しびれ、疼痛などの体の症状と、不安、不眠などの心の症状があり、その割にどの病院を受診しても「異常なし」とされ、薬も効かないような方は「自律神経失調症」と呼ばれることがよくあります。この「自律神経失調症」とは本当に自律神経が機能失調しているわけではなく、他に病名を付けようが無いので、やむを得ずつけられた病名です。
初診では、心理テスト、自律神経機能検査、心理士による予診を行います(例外あり)。これらの結果と医師による問診、身体診察により、症状とストレスの関連(心身相関)を考えます。
当科には、特殊な検査や治療機器はありません。特に慢性疼痛の方などは「特殊な検査を行って、痛みの原因を見つけて特効薬を処方してくれるのでは」と期待される方もありますが、そのようなことはありません。そのかわりに、「痛みと付き合う方法」を指導するとともに、痛みを感じにくくする薬や漢方薬などを処方し、徐々に日常生活を快適に送ることができるように援助します。
このように、当科での治療の目標は、患者さんが心身相関に気づき、より良い考え方や行動様式を身につけ、結果として症状が軽減することです。そして、その補助として抗不安薬や抗うつ薬などの向精神薬、また、漢方薬などを用います。
当医療センター他診療科を受診中の患者さんに対して、院内がんサポートチームの一員として、がんサポート外来を行っています。がんによるさまざまな身体的、精神的苦痛に対して治療を行います。