Japanese Red Cross Society
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当科で取り扱う疾患は、真珠腫性中耳炎、副鼻腔炎などの炎症性疾患から、口腔・咽頭がんや甲状腺がんなどの腫瘍性疾患まで多岐に及びます。
当科では、主としてそれらの疾患に対する外科的治療を行っています。
頭頸部腫瘍の治療に、経口的ロボット支援手術(TORS)と光免疫療法を開始しています。
詳しくは、「疾患・治療」の『頭頸部腫瘍』をご覧ください。
役職 | 部長 |
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卒業年 | 1998(平成10)年 |
専門分野 | 中耳手術・人工内耳、神経耳科 |
資格 |
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会耳鼻咽喉科専門医・専門研修指導医
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
日本めまい平衡医学会めまい相談医
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その他 | 医学博士 補聴器適合判定医師研修会修了 |
役職 | 副部長 |
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卒業年 | 2004(平成16)年 |
専門分野 | 中耳、補聴器、小児難聴 |
資格 | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会耳鼻咽喉科専門医・専門研修指導医 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医 |
その他 | 補聴器適合判定医師研修会修了 |
役職 | 副部長 |
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卒業年 | 2005(平成17)年 |
専門分野 | 頭頸部癌、甲状腺癌 |
資格 |
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会耳鼻咽喉科専門医・専門研修指導医
日本気管食道科学会気管食道科専門医(咽喉系)
日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医・指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
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その他 | ロボット(da Vinci)手術資格 頭頸部アルミノックス治療講習修了 Best Doctors in JapanTM 2020-2021 |
役職 | 副部長 |
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卒業年 | 2012(平成24)年 |
専門分野 | 鼻・副鼻腔、アレルギー |
資格 | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会耳鼻咽喉科専門医・専門研修指導医 日本アレルギー学会アレルギー専門医 日本気管食道科学会気管食道科専門医(咽喉系) 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本めまい平衡医学会めまい相談医 |
役職 | 医師 |
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卒業年 | 2017(平成29)年 |
専門分野 | 頭頸部腫瘍・甲状腺腫瘍 |
資格 | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会耳鼻咽喉科専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 |
その他 | ロボット(da Vinci)手術資格 |
役職 | 医師 |
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卒業年 | 2019(平成31)年 |
専門分野 | 耳鼻咽喉科一般 |
資格 |
役職 | 医師 |
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卒業年 | 2020(令和2)年 |
専門分野 | 耳鼻咽喉科一般 |
資格 |
役職 | 嘱託 |
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卒業年 | 1984(昭和59)年 |
専門分野 | 中耳手術、人工内耳、神経耳科 |
資格 |
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会耳鼻咽喉科専門医・専門研修指導医
日本気管食道科学会気管食道科専門医(咽喉系)
日本めまい平衡医学会専門会員、めまい相談医
日本耳科学会耳科手術暫定指導医 |
その他 | 医学博士 京都大学医学部臨床教授、非常勤講師 Best Doctors in JapanTM 2012-2019 |
役職 | 嘱託 |
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卒業年 | 1990(平成2)年 |
専門分野 | 副鼻腔手術、アレルギー、シックハウス |
資格 |
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会耳鼻咽喉科専門医・専門研修指導医
日本アレルギー学会指導医
日本鼻科学会鼻科手術暫定指導医 日本喘息学会暫定専門医 |
その他 | 医学博士 関西医科大学非常勤講師 近畿大学医学部非常勤講師 日本医師会認定産業医 |
場所 |
本館3階(3A) |
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受付時間 |
新患:8時〜11時 |
区分
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水曜日
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木曜日
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金曜日 |
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AB
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★1 扇田 |
★1 暁 |
★1 扇田 |
★1★3 安田 |
★1★2★5 辻村 |
★1★4 森田 |
★1★6 安田 |
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BCD
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池田
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辻村
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岡元
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安田 | - | 暁 | - | 寺井 | |
- | - | 森田 | - | - |
(2025年6月1日~)
※区分
(A:紹介予約 B:当日初診 C:予約再診 D:当日再診)
★1:紹介患者さんのみ
★2:頭頸部・甲状腺腫瘍外来
★3:第1・3・5週
★4:第2・4週
★5:第1・2・3・4週
★6:第5週
専門外来
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月曜日
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完全予約制・午後
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副鼻腔・アレルギー外来
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担当医
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小児難聴・補聴器外来
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担当医
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(2024年4月1日~)
※都合により変更する場合もありますのでご了承ください。
件名 | 手術件数 |
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鼓室形成術(アブミ骨手術を含む) | 50件 |
顔面神経減荷術 | 5件 |
内視鏡的鼻副鼻腔手術 | 151件 |
鼻中隔矯正・下鼻甲介手術 | 277件 |
口蓋扁桃摘出術(アデノイド切除を含む) | 280件 |
音声改善手術 | 32件 |
頭頸部悪性腫瘍手術 | 105件 |
頭頸部悪性腫瘍光線力学療法 | 2件 |
甲状腺・副甲状腺手術 | 77件 |
唾液腺(耳下腺・顎下腺)腫瘍手術 | 36件 |
当科では、すべての入院患者の治療内容をカンファレンスで協議したうえで最終決定しています。
手術は、それぞれの分野の担当指導医を中心としたチームで行うことで、一貫した内容で行われるようにしています。
日々の診察は、曜日ごとの当番医制を採用しています。主治医の予定に関わらず、常に朝一番に診察を行うことで、必要な処置、投薬、検査などを迅速に行える体制をとっています。
耳科、鼻科、喉頭(音声)科、頭頸部腫瘍、甲状腺外科の全領域の手術に対応し、地域の耳鼻咽喉科診療における頭頸部外科としての役割を果たしていきたいと考えています。
治療は、各分野の専門医を中心としつつも、全スタッフが協力して行い、より機能性や根治性に優れた複合的アプローチを検討しています。
ご紹介を受けた患者さんに対して、集中的に治療を行い、病状が安定したのちは、再度ご紹介いただいた先生方に継続加療をお願いすることで、密な連携体制を維持していきたいと考えています。
【難聴】
難聴は大きく分けて、内耳の障害による「感音難聴」と、中耳炎などが原因となる「伝音難聴」の2種類があります。
当科では、難聴の原因を明らかにするために、以下のような検査を組み合わせて聴力の精査を行っています。
・標準純音聴力検査
・精密聴力検査(語音聴力検査、閾値上聴力検査、耳鳴検査など)
・他覚的聴力検査(歪成分耳音響放射、聴性脳幹反応、聴性定常反応など)
【急性難聴への対応】
急性感音難聴では、発症早期に治療を開始することで聴力の回復が期待できる場合があります。
当科では病状に応じて、
・外来での内服治療
・入院によるステロイド点滴療法
・高気圧酸素療法
などを組み合わせて治療を行っています。
【補聴器・人工内耳】
加齢などによる聴力低下には補聴器が適応となります。
ただし、補聴器で十分な効果が得られない高度~重度難聴の場合には、人工内耳が適応となることがあります。また、耳硬化症や耳小骨連鎖の離断など、伝音難聴や混合性難聴で手術により聴力の改善が見込める疾患に対しては、積極的に手術治療を行っています。
【中耳炎に対する手術】
慢性中耳炎の手術は、真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術が中心です。病変の進展に応じて、一期的手術(真珠腫除去と同時に耳小骨連鎖の再建)、段階的手術(初回術後8~12ヵ月を目安に、再発の確認と再建を実施)を選択しています。
手術の適応は、側頭骨CTなどの画像診断や耳管機能検査、聴力検査をして、総合的に判断・決定します。
【新生児・乳幼児の聴覚検査と治療】
当医療センターは、新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査機関として、0歳児からの乳幼児の聴力検査にも対応しています。
両側で30dB以上の難聴が確認された場合には、まず、補聴器の装用を行います。補聴器で十分な聴取効果が得られない場合には、人工内耳手術とその後のリハビリを行うことがあります。
【顔面神経麻痺】
末梢性顔面神経麻痺に対しては、まず、ステロイドや抗ウイルス薬による保存的治療を行います。
しかし、重症で、電気生理検査で顔面神経の反応が弱く、治りが悪くなることが予測される場合には、顔面神経減荷術(神経周囲の圧迫を解除する手術)を行うこともあります。
めまい診断に不可欠な赤外線CCDカメラによる自発眼振・頭位・頭位変換眼振検査を行っています。眼振所見の動画記録システムも備え詳細な解析が可能です。
また、前庭眼反射定量検査(振り子様回転椅子検査、vHIT)、固視抑制定量検査により、低侵襲・短時間に末梢前庭機能検査や中枢性めまいのスクリーニングが可能となっています。
さらに、温度刺激検査(エアーカロリック:冷風/温風を外耳道から注入して、半規管機能を測定)や前庭誘発筋電位検査(cVEMP:音響刺激により耳石機能を測定)も揃っています。
これらの末梢前庭機能検査に重心動揺検査・各種聴覚検査・CT/MRI等の画像検査を組み合わせ、耳性めまい(良性発作性頭位めまい症・メニエール病・前庭神経炎等)の診断・詳細な病態評価を短期入院にて行っています。
当科の特徴
① アレルギー専門医が在籍
② 多種の鼻・副鼻腔手術に対応
③ 術後、鼻にガーゼをつめません
当医療センターは2019(令和元)年に和歌山県のアレルギー疾患医療拠点病院に指定されました。当科では、アレルギー性鼻炎や好酸球性鼻副鼻腔炎に対する手術を中心に取り組んでいます。
「アレルギー性鼻炎」は、抗原の除去と回避が基本ですが、改善に乏しい場合は薬物療法が第1選択となります。根本的な治療法としてアレルゲン免疫療法があります。鼻中隔の弯曲など鼻腔形態に異常がある重症例では、手術も行います。手術は、アレルギー自体を治癒するものではありませんが、症状の改善目的に、鼻中隔矯正術、粘膜下下鼻甲介骨切除術、後鼻神経切断術を行っています。
「好酸球性鼻副鼻腔炎」は、鼻茸と粘稠な鼻汁により、高度の鼻閉や嗅覚障害をきたす指定難病です。気管支喘息を合併することが多く、呼吸器内科と協力し治療を行います。当科では、好酸球性鼻副鼻腔炎に対し、内視鏡下鼻・副鼻腔手術(ESS)を積極的に取り組んでいます。術後の再発に対し、抗体治療薬が適応となることがあります。
鼻・副鼻腔手術に関し、2001(平成13)年から内視鏡を導入し、年間160症例(450件)前後の手術を実施しています。顔や口内を切開する従来の術式に比べ、体への負担が少なくすみます。再手術例等では、ナビゲーションシステムを使用します。
かつては手術の最後に、出血等を防ぐため、鼻にガーゼなどをつめていました。術数日後にガーゼを抜去する際に、「激痛」を伴い、中には失神様の発作を起こす患者さんもいました。現在、当科では、基本、鼻にガーゼはつめません。時間とともに溶けていくスポンジ様の素材を採用しており、抜去が不要です。
鼻・副鼻腔悪性腫瘍にも対応しており、腫瘍の組織型等によって、内視鏡下鼻・副鼻腔腫瘍摘出術、内視鏡下経鼻前頭蓋底手術、外切開による腫瘍摘出術を選択しています。
口にいれた食べ物をのみこむことを嚥下(えんげ)といい、食べ物が気管に入ることを誤嚥(ごえん)といいます。嚥下が思うようにいかないことを嚥下障害といいます。たべものが気管の中に入っても、咳をすることで吐き出せれば問題ないのですが、出せないと肺で炎症が起こり、肺炎となります(誤嚥性肺炎)。
今まで何気なくできていた嚥下も、加齢や、脳出血や脳梗塞をわずらった後や、神経や筋肉が衰えていく病気をお持ちの方、口の中やのどのがんの治療をうけた方、などさまざまな理由で飲みこむ力が衰えてきます。
嚥下障害の評価について
原則として入院患者さんを対象に嚥下評価およびリハビリ指導を行っています。主に嚥下内視鏡検査(VE)で評価しますが、症例によっては嚥下造影検査(VF)を追加しています。
嚥下障害の治療について
【リハビリテーション】
嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査で異常なサインがあると判断された場合、言語聴覚士とともに嚥下リハビリを開始します。リハビリ開始後も食形態を変更する場合やリハビリの効果判定として、積極的にVEやVFをおこなっています。
【手術治療】
リハビリでこれ以上の改善が見込めない場合、患者さんおよび家族の理解や希望がある場合に検討されます。手術は、声を出す働きを残しながら行う手術(嚥下機能改善手術)と声を出す働きは失うものの呼吸と食事の通り道を別々にして誤嚥を完全に回避する手術(誤嚥防止手術)の2つのタイプに分けられます。対象となる症例は多くはありませんが、適応があれば実施しています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科では、鎖骨よりも頭側の頭蓋内と眼窩内を除いた領域(頭頸部領域)における腫瘍の治療を行っています。良性疾患および悪性疾患(がん)を取り扱いますが、中でも頭頸部がんと言われる聴器がん、鼻・副鼻腔がん、口腔がん(舌がんなど)、咽頭がん、喉頭がん、唾液腺がん(耳下腺、顎下腺がんなど)、甲状腺がんなどの治療に力を入れています。NBI(特殊な波長を含む光を当てることにより病変を検出しやすくする方法)を用いた電子スコープによる観察、CT・MRI・超音波などの画像診断に加えて、組織生検や超音波ガイド下穿刺吸引細胞診を多数行い、診断精度の向上に努めています。
当科では、頭頸部腫瘍に対する全ての標準的手術に加えて、頭蓋底、顔面深部、眼窩、副咽頭間隙、縦隔といった、難しい部位に進展した腫瘍に対する手術を積極的に行っています。
また、咽喉頭腫瘍に対する低侵襲内視鏡下経口手術、喉頭がんに対する喉頭部分切除など、機能温存手術も得意としています。
2021(令和3)年1月からは、当医療センターにおけるがんセンターの開始に伴い頭頸部ユニットが設立され、その中で放射線治療科、形成外科(再建外科)、口腔外科など関連諸科と連携するチーム医療を行うことで根治性と機能温存の両立を目指しています。
咽頭がんおよび喉頭がんに対する経口的ロボット支援手術(TORS)は2022(令和4)年4月に保険収載され,認定施設に限り、保険診療で行うことができます。
施設認定を得るためには、内視鏡下での経口手術を十分に経験した術者が、決められたトレーニング研修を経て、コンソール術者の認証を得なければなりません。当医療センターは術者認証および施設認定を得ており、和歌山県下で初めて保険診療下での経口的ロボット支援手術を行っています。
【ロボットで行う有効性について】
一般的に、経口的に行う手術全般は通常の頸部外切開を伴う手術と比較して、嚥下や発声といった重要な機能温存に優れている術式です。一方で、限られた視野や操作野で行う必要があるため、手術の難易度は高く、どこの施設でも簡単に行えるわけではありません。
経口的ロボット支援下手術は、手術用ロボットを使用することで、人間には不可能な角度や可動域からの病変へのアプローチを可能にしています。また、手振れ補正もついており、より正確な操作も可能となっています。これにより、より低侵襲で正確な病変の切除が可能となり、機能温存や治療期間の短縮などに寄与できる術式といえます。
【適応】
T2までの咽頭がん・喉頭がん
主には、軟口蓋(上壁)、口蓋扁桃(側壁)、舌根(前壁)にできた中咽頭がんが良い適応です。
リンパ節転移がないことが条件になります(リンパ節転移がある場合には、予めあるいは後日に頸部郭清術を行う必要があります)。
【手術方法】
手術用ロボットを使用します。全身麻酔下で行い、3D内視鏡と2本のロボットアームを用いて、口の中からがんを切除します。術者はコンソールといわれる操縦席に座り、3D画像を見ながら手元のコントローラーでロボットアームを操作します。高解像度の3D内視鏡により、視野の拡大・縮小は自由自在であり、また、ロボットアームも通常の人の手による手術では不可能な角度や方向からの病変へのアプローチが可能であるため、視野・操作野が各段に良く、低侵襲で機能温存に適した手術が可能となります。
術後の創部管理や絶飲食の必要性などは、従来の内視鏡下の経口切除と基本的に同じです。
【注意点】
経口的ロボット支援手術では高度な技術が必要となるため、術前に病変が手術適応となるかを十分に検討する必要があります。
現在のところ、重大なトラブルは報告されていませんが、状況に応じて他の手術方法(従来の内視鏡下手術や頸部外切開による方法)に変更する可能性があります。
また、ロボット手術による特有の合併症も報告はされていませんが、がんに対する手術自体の合併症(出血、気道狭窄、術後感染、嚥下障害、歯牙損傷など)は、ロボット手術でも一定の確率で発生しますので、その際は十分な対応(再手術や気管切開・気管挿管などの気道確保、輸血など)が必要となります。
治療適応についてのご相談は、「頭頸部・甲状腺腫瘍外来」までお問い合わせください。
これまで頭頸部がんの治療は「手術」「放射線治療」「薬物療法」の3つが主な選択肢でしたが、2021(令和3)年1月から新たに「光免疫療法」が保険適用となり、当医療センターでも2024(令和6)年12月から治療を開始しています。
光免疫療法は、がん細胞に結びつく特別な抗がん剤を点滴し、翌日に全身麻酔下でレーザー光を照射することで、がん細胞を破壊する治療です。
副作用として、喉のむくみや周囲の正常組織の壊死、光線過敏症などが報告されています。治療後4週間は直射日光を避けた生活が必要です。
また、この治療は4週間おきに最大4回まで行うことができ、治療の効果を確認しながら複数回の治療を行うことがあります。
光免疫療法の対象は、切除が難しい局所進行または局所再発の頭頸部がんです。ただし、標準治療(手術・放射線治療・薬物療法)が可能な場合には、まず、標準治療が優先されます。
これまでの標準治療で十分な効果が得られなかった患者さんにとって、新たな希望となる治療法です。
治療についてのご相談は、「頭頸部・甲状腺腫瘍外来」までお問い合わせください。
声のかすれなどの音声障害をきたす疾患は様々なものがありますが、当科では喉頭電子スコープ、音響分析、音声機能検査、ストロボスコープなどによる精密検査にて診断を行った上で、それぞれの疾患に応じた治療を行っています。具体的な疾患としては、声帯ポリープ、声帯のう胞、声帯結節、ポリープ様声帯、喉頭がん、声帯麻痺、痙攣性発声障害、機能性発声障害などがあります。
■声帯ポリープ、声帯のう胞、声帯結節
日頃よく声を使う教師、歌手やカラオケ愛好者などに多くみられる疾患です。声の乱用・誤用が背景にありますので、言語聴覚士による音声治療にて適切な声の出し方を練習するとともに、適応があれば全身麻酔下の喉頭微細手術による病変の切除を行います。術後3日間は発声禁止になります。
■ポリープ様声帯
喫煙が背景にあり、まずは禁煙が必要です。その後、全身麻酔下の喉頭微細手術を行います。
■喉頭がん
組織検査を行った上で、手術や放射線治療などを行います。
■声帯麻痺
声帯を動かす神経の麻痺によって、声のかすれや誤嚥を来すようになります。神経麻痺を起こす原因の精査がまず必要ですが、原因不明の麻痺も多数あります。局所麻酔下に、麻痺した声帯の位置を調整する喉頭形成術を行い、症状の改善を図っています。