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2020/02/26
いよいよ冬の感染症をテーマにした記事も最後となりました。
ここまでインフルエンザと風邪の話題が中心でしたが、それ以外の冬に流行しやすいウイルスについて、古宮 伸洋 感染症内科部副部長に聞きました。
感染力が非常に強いノロウイルス
ノロウイルス、ロタウイルスといった言葉は、新聞やテレビで聞いたことがある方も多いはずです。どんな病気なのか、その予防法はあるのかなど詳しくお話していきます。
ノロウイルスは非常に感染力が強く、病院でも気をつけている感染症の1つです。食中毒という形で集団発生を起こすことがあるので、冬になると、毎年のように「◯◯合宿所でノロウイルスが集団発生した」などと報道されます。
基本的な症状は、嘔吐と下痢です。下痢を起こす菌はたくさんありますが、ノロウイルスは、その中でも特に嘔吐の症状が強く出ます。他のウイルスと比べると、その嘔吐症状が特徴的です。
感染ルートは、大きく2つあります。1つは、汚染された食べ物を食べて感染するケース。そして、もう1つは、例えば家族にノロウイルスの患者がいて、その便や吐物などに含まれるウイルスが体に付着し、ウイルスが口に運ばれて感染するケースです。看病していると仕方がないかもしれませんが、家庭内で蔓延する可能性があるため、十分気をつけていただきたいです。
ノロウイルスの症状は、個人差がかなりあります。実は、多くの方がノロウイルスへの抵抗力を持っています。そのため、ノロウイルスに感染しても症状が出ない方や軽症の方もいます。
その一方で、抵抗力が弱い方がウイルスにかかると、強い症状が出てしまいます。いちばん困る症状は、やはり嘔吐です。嘔吐が続くと、水分や食事が取れなくなります。そうなると、体力のない方、高齢の方にとっては脱水症状が出たり、持病が重くなってしまったり。脱水によって衰弱することもあり、注意が必要です。
予防については、ノロウイルスにはワクチンがないため、しっかり手洗いをし、近くに患者がいるときは感染に十分に気をつけて生活をしてください。
乳幼児はロタウイルスに注意
ロタウイルスは、基本的には子どもの下痢、胃腸炎を引き起こすウイルスです。大人もロタウイルスにかかって症状が出ることもあるのですが、いちばん問題となるのは乳幼児です。1〜2歳、そのぐらいの年齢でロタウイルスにかかって下痢をすると、長引いたり、激しい症状が出たりすることがあります。この2つのウイルスは、非常に症状が似通っています。ロタウイルスはワクチンが使われるようになりましたので、患者さんの数は、以前に比べてずいぶん減ってきています。
インフルエンザ、ノロウイルス、ロタウイルスと、これらはすべてウイルスが原因の病気です。これらの病気の予防は手洗いすること。咳や鼻水などの症状が出たときにはマスクを付けること。
そして、ワクチンのあるものは、ワクチンを接種すること。これらが病気予防のために重要です。感染したとしても重症化させないように、できることをしっかり行い、元気に冬を乗り切っていきましょう。
4回シリーズでお届けしていた「冬の感染症」は、今回で終わりです。最終回まで、お読みいただき、ありがとうございました。
冬の感染症① 風邪とインフルエンザは見極めが難しい(2020年1月15日公開)
冬の感染症② インフルエンザかもと思ったら、どうする?(2020年1月29日公開)
冬の感染症③ インフルエンザワクチンと予防(2020年2月12日公開)
冬の感染症④ ノロウイルスとロタウイルス(2020年2月26日公開)
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