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日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。
2024/03/07
日赤和歌山医療センターの放射線診断科には、現在、診断専門医7名と専門医を目指す医師4名の計11名が在籍し、CTやMRI、核医学検査などの医療用画像を使った診断や、画像を利用した治療を行っています。
2022年4月にはPET-CT装置を導入し、PET検査とCT検査を組み合わせたPET-CT検査と呼ばれる、がんの進行状態や再発・転移の有無などに対して、より深い診断ができるようになりました。
放射線診断科部副部長の尾谷 知亮先生に、PET-CT検査が必要なケースや、保険適用となる場合について、話を聞きました。
PET-CT検査の費用は高額といわれますが、保険が適用されても自己負担額は少なくありません。もし、症状のない人が「がんではないか不安だから」と検査を受ける場合は、健康保険は使えないため、各医療施設が設定した検査料金で受けることになります。だいたい10万円前後です。
健康保険が適用される場合は自己負担額が3割(所得等によっては1割、2割の場合も)と減りますが、要件が明確に決まっています。どんな場合に保険が適用されるか、保険が効くのかどうかを説明します。
がん(悪性腫瘍)の治療前・再発診断
がんの場合でも、すべてが保険適用ではなく、条件が2つに分けられています。
まず、がんが判明しているか、主治医が「おそらく、がんがあるだろう」と予測している状態で、治療前に全身を検索して診断したい場合です。画像診断でがんの場所を確定させたり、転移がないかどうか探したりするために行われる検査で、保険適用となります。
もう1つ保険適用となる場合は、がん治療が一旦終わっている状態で、腫瘍マーカーの値が上がってきたり、がんに伴う症状が出てきたり、「おそらく再発してきただろう」と考えられる場合です。まず、CTやMRIなどの検査で画像診断するのですが、その検査で見つからなかったときに、PET-CT検査が保険適用となります。
悪性リンパ腫の効果判定も保険適用
血液のがんと言われる悪性リンパ腫だけは、治療が始まった後にその治療がうまくいっているかどうかの治療効果判定に、PET-CT検査を保険適用で受けることができます。
早期胃がんは保険適用外
早期の胃がんは転移している可能性が非常に低く、PET-CT検査をしても新たに判明する情報はないだろうと示されていることから、早期胃がんの場合のPET-CT検査は保険適用外となっています。
そのほか、保険適用となる場合
悪性腫瘍(がん)以外にも、条件つきで保険適用が認められているケースが、いくつかあります。
・脳のてんかん
・心臓のサルコイドーシス
・虚血性心疾患
・大血管炎
虚血性心疾患は、聞き慣れた病名でいうと心筋梗塞です。大血管炎は、大きな血管に炎症が起こる病気です。
これらの病気で他の検査で診断ができない場合などに、PET-CT検査を保険適用で受けることができます。PET-CT検査の必要性がある場合、担当されている医師から説明があります。
さて、次回でPET-CT検査の解説については最終回です。PET-CT検査を用いた健康診断や、当医療センターで受けられるPET-CTドックをご紹介します。
尾谷 知亮(おたに ともあき)
日本医学放射線学会放射線診断専門医、日本核医学会核医学専門医、日本インターベンショナルラジオロジー学会IVR専門医。
趣味は将棋です。将棋は9×9マスの小さな盤面で行われますが、指し手の組み合わせは星の数ほどあり、盤面では果てしない世界が広がっています。その中から「これぞ」という一手を選択することが醍醐味だと思っています。
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