海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。

パレスチナ赤新月社医療支援事業に参加して

2024/03/16

2022年と2023年2つの国際要員登録研修を修了し、2023年6月からの1ヵ月半、レバノン共和国北部のパレスチナ難民キャンプにある、サファド病院へ派遣され活動してきました。

 

サファド病院は、パレスチナ赤新月社が運営する難民キャンプの中にある病院の1つです。日本赤十字社(以下、日赤)は、2018年から経済や物資だけではなく、技術面の支援も行っています。

 

今回派遣された主な目的は、現地の医師への超音波検査を中心とした画像トレーニングでした。

 

現地医師に超音波画像の見方をレクチャーしている様子(右:筆者)

 

今回は初めての海外派遣、かつ初めてのイスラム圏ということもあり、仕事の進め方や現地スタッフとのコミュニケーション方法に戸惑うこともありました。さらに、患者さんを直接診療するのではなく、自身よりはるかに経験豊富なベテラン医師たちに対し、新たなツールとしての超音波検査の指導をする任務だったので、よりプレッシャーを感じました。

 

言葉の壁もある中、モチベーションを上げてもらうことは難しかったのですが、一緒に回診やER診察をしながら、超音波検査が必要とされるタイミングが少しでもあれば介入していくことで、徐々に超音波検査を使用する機会も増えたように思います。

 

現地医師に超音波検査装置の操作方法をレクチャーしている様子(左:筆者)

 

現地スタッフたちは明るく、気さくに話しかけてくれたので、医学だけでなく、生活習慣や宗教などについても知る機会が多くありました。

 

「自分がやっていることは、果たして役立っているのか・・・?」と落胆することもありましたが、現地スタッフが「わざわざ来てくれたことは、すごくありがたいこと」と感謝の気持ちを声にしてくれたのはとても心強かったです。

 

今回の活動内容は、自分の専門とする産婦人科以外の分野でしたが、医師本来としての救援活動へ、原点回帰できる貴重な経験でした。

 

手術に立ち会っている様子(右端:筆者)

 

現地での活動は様々な困難があり、実際には、思うようにいかないことも多くありました。しかし、日赤や現地スタッフと一緒に目標に向かって試行錯誤をすることで、プロジェクトが形を変えながらも進行し、次の人へバトンを繋いでいく。その一環に自身も携わることができたのは光栄でした。今後も自分ができることを活かしていけたら幸いです。

 

今も、イスラエルとガザ間の武力衝突が続いており、子どもをはじめとする多くの民間人が犠牲となっています。一刻も早く、解決策が見いだされることを祈るばかりです。

 

 

日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部

 

 

「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!

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