病院では医師、看護師、助産師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、診療放射線技師、臨床工学技士などいろいろな専門職が集まり、日々の治療を支えています。患者さんの身体も心もケアできるようにと、日々努めている仲間たちを紹介します。

助産師インタビュー 〜自分らしく働きながら、アドバンス助産師を目指したい〜

2023/03/29

日赤和歌山医療センターでは、妊婦健診から通常の経膣分娩、帝王切開手術の他、里帰り出産や妊婦検診は近くのクリニックで受け、出産を当医療センターでというセミオープンシステムの受け入れ、助産師が中心となって分娩のお手伝いやケアをする院内助産のシステムも整えています。院内助産は、自然な分娩をしたいなど、それぞれが希望するバースプランで自分らしいお産ができると評価を得ています。

 

地域周産期母子医療センターとして、24時間体制で周産期医療を提供。NICUも併設しているため、安心して出産に臨んでいただけます。

 

インタビュー当時、23歳の助産師・由良仁希(さとき)さんは、看護学校を卒業後に大学に編入し、助産師の資格を取得。当医療センターに入職して2年目を迎えました。助産師を目指した理由や思い描くキャリアプランについて話を聞きました。

 

 

助産師を目指したきっかけと、就職先に当医療センターを選んだ理由を教えてください。

母が看護師だったことと、私自身が幼少期に小児喘息で病院にお世話になることが多かったこともあり、看護師はとても身近な職業でした。看護師になろうと思い、和歌山県立高等看護学院に進学したのですが、勉強をするうちに生命の誕生や女性のライフサイクルに関わる助産師の仕事に魅力を感じるようになりました。それで、大学の助産師コースに編入しました。

 

 

日赤和歌山を選んだ理由は3つあります。新人教育がしっかりしていること、福利厚生が充実していると学校の先生から薦められたこと、地域のクリニックでは出産が難しい妊婦さんも紹介されてくるので、幅広い学びがあると思ったことです。

 

 

現在の仕事内容を教えてください。

主に、産科病棟で妊娠・出産・産後の妊産褥婦や赤ちゃんの看護や支援をしています。お産は医師、メインで介助する助産師、赤ちゃんを受け取る助産師とチームで行います。現在は、先輩助産師とともに分娩を担当するなど、お産に携わっています。

 

2021年には、帝王切開も含めて660件ほどのお産がありました。助産師は分娩だけに関わるイメージがありますが、当医療センターには他の疾患を治療されていたりするハイリスクな妊婦さんも来られるので、他職種と連携して健康管理なども行っています。産後ケアのための入院や母乳外来もあるので、分娩以外の仕事も幅広くあります。

 

また、所属する助産師が30人ほどいるため、情報共有も大切な仕事です。お産は1つひとつすべて違うので、陣痛の進行や子宮口の開き方、赤ちゃんの様子など細かく電子カルテに記載して共有します。最初は、カルテを書くのも何をどう書いたらいいかと戸惑いましたが、カルテの書き方も新人教育に含まれていて、先輩方に教えていただきながら、練習して身につけました。

 

 

勤務体制はどのようになっていますか?

2交代と3交代の勤務体制のどちらにするかを個人の希望で選べます。2交代は日勤と夜勤に分かれていて、3交代では日勤、準夜勤、深夜勤と8時間毎に勤務時間が区切られています。

 

ただ、お産はいつ来るか分からないため、どうしても忙しくなってしまう日もあるので、待機という役割の人が設定されています。夜勤の時間帯は1名が待機となっていて、人手が足りないときには呼び出しの電話がかかってきます。待機枠には、夜勤をこなせるようになれば新人も含まれ、勤務年数に関係なく回ってきます。

 

休日も曜日は変動しますが規定回数はしっかり取れます。月に1回は土日セットの指定休があり、希望を出して休める日も3日は確保されているので、プライベートの予定を立てることも難しくありません。研修は日勤でシフトを組んで勤務中に出席するシステムで、休日に研修が入ることがないよう配慮されています。

 

 

夜の勤務にはすぐ慣れましたか?

夜勤は、1年目の夏からスタートしたのですが、最初は先輩が勤務する様子を見学するところから始まります。見学を数回した後に独り立ちとなってシフトに入り始めるのですが、日勤と比べると人数が少ないので、今から振り返ると、かなり緊張していたように思います。自分がしなければならないこと、業務の手順は頭に入っているのですが、いざ取りかかろうとしたとき、自信のなさから先輩に確認したくなっても、勤務人数が少なくなるため、質問できないまま取りかかって、思うようにテキパキと動けずに、アタフタしてしまったこともありました。

 

 

体調面でいうと、日勤から帰宅後に仮眠して深夜勤に出るというサイクルに体が慣れず、最初はしんどかったです。今は、朝ごはんをしっかり食べたり、散歩したりと体調を整える工夫ができるようになり、自分の入眠のコツを把握できるようになったので、辛さがなくなりました。

 

 

働き始めて印象的だったことは?

入職すると全体研修を3ヵ月ほど受けます。その後、同じ1年目の看護師といろいろな部署をローテーションでまわる研修がありました。私たちは助産師なので産婦人科以外の看護技術に触れることが少なくなってしまうのですが、研修を通じて、他診療科の患者さんとの触れ合いやたくさんの職員さんと出会えたことで、多様な情報を吸収できました。大きな病院でしかできない貴重な経験ができたと思っています。

 

救護所の医薬品・診療材料を確認する看護師(熊本地震)

 

日赤ならではの災害時の活動、医療救護班に関する研修も興味深かったです。当医療センターでは、助産師も救護班の一員として派遣されることがあります。避難されている人の中には、妊娠中や出産間近だったり、産後すぐ赤ちゃんと避難していたり、生理や更年期で体調が思わしくない人もいるからです。実際に、東日本大震災や熊本地震のときに現地で活動した先輩から、体験談を聞くことができました。病院の中での業務だけだと思っていたので、そんな活動もあるのかと驚いたし、いつでも女性に寄り添える仕事だと再認識しました。

 

 

仕事をする中で心がけていることを教えてください。

日赤和歌山に来られる妊婦さんには合併する疾患を持たれていたり、赤ちゃんに危険があったりする方もいます。現場では緊急でさまざまなことが起きるので、自分が持っている知識だけでは到底足りない場面に出会うことがあります。そのときには、先輩に質問したり振り返りを一緒にしてもらったりして、解決していくようにしています。先輩方も、自分たちも通った道だからと、多忙な中でも時間を取ってくれます。

 

 

入職した理由の1つでもあったのですが、日赤和歌山の助産師は、経験値が豊富な人が多いだけでなく、専門団体から助産ケア能力が評価された「アドバンス助産師」という認証を持っている人がとても多いんです。豊富な知識と高い技術、経験年数も問われる難しい資格なんですが、皆さんが挑戦しようという雰囲気が尊いです。悩んでいると、その分野に関する研修を紹介してくれたり、症例について詳しく説明してくれたり、とても頼もしい先輩方です。

 

 

助産師のやりがいや楽しみは何でしょうか。

まず、お産に携われているだけで毎日が楽しいです。「いいお産」は、人ぞれぞれだと思うのですが、妊婦さんが思い描いてきたお産に少しでも近づけられるよう援助できたときは、何より良かったと思います。また、入院中に、産後の生活や育児についてお話をするのですが、それが家に帰られてから役に立っていたら、さらにうれしいですね。

 

 

患者さんが不安なく育児ができ、精神的にも安心して生活ができるようサポートするのも私たちの役割です。すごく責任重大だと感じることもありますが、「よいお産でした」「育児を頑張ります」「これからが楽しみです」などの言葉をもらえると、頑張ってきて良かったと思います。

 

 

今後のキャリアプランや目標を教えてください。

長く助産師を続けて、いつかはアドバンス助産師の認定を取り、後輩からも患者さんからも頼られる存在になりたいです。毎日のように妊婦さんや赤ちゃんを見ているので、自分も子どもを産んで、その経験を患者さんにお返しできたらとも思います。結婚や出産も、できればいいですね。

 

 

日赤和歌山では育休が3年と、子どもが小学校入学する前の年度末まで時短勤務ができます。先輩方も時短勤務や病院に併設されている保育園、病児保育室などを利用しながら、キャリアを継続しています。病院の保育園は夜間や休日も保育している上、夜勤などのシフトも調整してもらえると聞いているので、私も制度を活用してキャリアを積んでいきたいです。

 

 

では最後に、入職を検討されている方に向けてメッセージをお願いします。

自分で働き方を選べるため、プライベートも充実させられる日赤和歌山は、長く安心して働ける職場だと実感しています。頼り甲斐のある先輩もたくさんいますし、他職種と連携するなど、大規模な病院だからこそできる経験も積めます。ぜひ、一緒に働いてみませんか。

 

由良 仁希(ゆら さとき)

2021年就職、助産師。

友達と美味しいご飯を食べにいくことが、好きです。SNSなどで良さげなお店を見かけたら、すぐに行ってしまいます。休日は、友達と買い物に行ったり、温泉に行ったりと、癒しの時間になっています。

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