病院では医師、看護師、助産師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、診療放射線技師、臨床工学技士などいろいろな専門職が集まり、日々の治療を支えています。患者さんの身体も心もケアできるようにと、日々努めている仲間たちを紹介します。

理学療法士インタビュー 〜 自由な環境でスキルアップを目指す 〜

2023/03/08

日赤和歌山医療センターのリハビリテーション科には、理学療法士のほか作業療法士や言語聴覚士が所属し、土曜・日曜も患者さんの社会復帰に向けて援助を行っています。

 

2006年に入職した理学療法士の高根良輔さんは、2022年に日本スポーツ協会認定アスレチックトレーナーの資格を取得。急性期病院でリハビリテーション(以下、リハビリ)に携わると同時に、競泳チームのトレーナーとしてアスリートをサポートする活動もしています。仕事とトレーナーとしての活動を両立させながら、充実した日々を送る高根さんに、仕事内容や働き方、スキルアップできる環境や経験について話を聞きました。

 

 

仕事内容や勤務体制を教えてください

当医療センターでは、基本的に入院している患者さんに対してリハビリを行っています。入院患者さんごとに一人の理学療法士が担当するので、それぞれの患者さんにどのようなリハビリを行うのか、理学療法士一人ひとりが考えて治療計画を立てています。チームで相談したり、先輩にアドバイスをもらうことも多いですが、まずは担当者が計画立案を任せてもらえるので、責任感はありますが、やりがいを感じます。

 

事例検討会の様子

 

早出・遅出などはなく、毎日同じ勤務時間帯で働いています。時間の使い方は自由度が高く、患者さんに実施したリハビリ内容を電子カルテに入力するのも、細切れにする人もいれば、まとめてする人もいます。

 

2015年から、整形外科の手術直後の患者さんには週末も休まずリハビリを行っているので、月に1〜2日、土・日の勤務が回ってきます。もちろん代休はありますし、都合が悪い日があれば、スタッフ同士で交替したりしています。18名の理学療法士がお互いにカバーし合う雰囲気があるので、連休や夏休みなども比較的取りやすい環境です。

 

 

急性期病院のリハビリの特徴はどのような点でしょうか。

整形外科や脳神経外科、循環器内科など、診療科を問わず多くの患者さんに関わり、年齢も子どもから高齢者まで幅広いところです。患者さんによって状態が異なり、リハビリの目標もそれぞれに違いがあるので、丁寧に身体の様子やバイタルサインを見たり、安全面に配慮しながら積極的にコミュニケーションを取ったりと、広く気を配りながら行う必要があります。

 

リハビリテーション室で患者さんを施術中

 

近年はリハビリも細分化され、心臓リハビリ、がんのリハビリなど、さらに専門的になってきています。同じ病院に所属しながら、様々な疾患をもつ患者さんのリハビリを経験し、さらにスキルアップのために自分自身が興味のある特定の分野を掘り下げる選択ができるのは、幅広い診療を行う病院で働くメリットだと感じています。

 

また、他職種と連携して患者さんを診られるのも大きいですね。同じ患者さんに対してでも医師、看護師、理学療法士と各自の視点が違います。「こんなふうに診ているんだな」と気づくことで、より良いリハビリにつなげられます。各職種の知識の深さや観察力に刺激を受けることもありますね。

 

 

知識の習得が大変そうですが、新人教育や研修は充実していますか?

今は教育システムが確立しているので、新人が同じようにスキルを身につけながら成長できます。教育担当が付き、進度は一人ひとりに合わせています。理学療法士は技術だけでなく、患者さんとのコミュニケーションスキルも必要になります。最初は、教育担当の先輩についてのOJTから行うので、数多くの実例を見て学べます。

 

専門性を高めるためのスキルアップは自分なりのタイミングで始められます。資格取得も無理のない範囲で、自分の時間や家族の状況なども考えながら進めています。

 

終業後、後輩に片麻痺患者さんのリハビリ方法を指導する高根さん

 

それぞれで自分が進みたい道を選べるのですか。

基本的には自分の意思で決められます。希望を伝えて、先輩から勉強方法などを教えてもらう形です。今はほとんどの人が就職して2〜3年目には、何かしらの資格を取っています。急性期病院はたくさんの患者さんに出会うので、自分が進みたい方向が見つけやすいですね。

 

ただ、資格取得については、全員がスペシャリストになる必要はないと思っています。マルチに活動している人、どんな患者さんにも対応できるという人材になるのも素晴らしいのではないでしょうか。どの選択をするかも個人の意志が尊重されるので、自分に合った道を見つけて進んでもらえたらと思います。

 

 

高根さんはスポーツのトレーナー資格を取得されていますが、選んだ理由を教えてください。

個人的な活動なのですが、和歌山県の競泳チームでの活動も資格取得に影響しています。実を言うと、私が取得した日本スポーツ協会認定アスレチックトレーナーは学校で学び直しをするか、競技団体から推薦を受けるかしなければ取得できません。これまで7年間、競泳チームに関わってきた実績を認められ、和歌山県体育協会から推薦をいただけたことが大きなきっかけになりました。

 

普段、整形外科の患者さんを中心にリハビリを担当することが多いのですが、その中にはスポーツによる外傷で手術を受けられる患者さんもいます。資格取得の勉強をする中で、彼らの競技生活や気持ちに寄り添ったリハビリ計画を立てるのに役立つ内容もありました。資格を取得したことで、さらに彼らに合ったリハビリが提供できるようになっていれば良いと思います。

 

 

競泳チームに関わるようになったきっかけや、活動内容は?

リハビリの勉強会で出会った理学療法士が、ある高校の競泳チームにトレーナーとして関わっていて、私も競泳をやっていた経験があるので「チームに入れてください」とお願いしたことから始まりました。まず、高校の部活のサポートをするようになり、2013年からは、2015年に開催された『紀の国わかやま国体』に出場する選手の育成に関わりました。国体が終わってからも、長期合宿やインターハイ、国体など全国区の大会に同行しています。

 

選手に施術している様子

 

スポーツの現場で求められるのは、通常業務で培ったコミュニケーションスキルに加え、その競技に関する知識、特化した動きなどを理解していることはもちろん、外傷や障害予防のためにストレッチや運動を教える能力まで幅広いです。競技パフォーマンスを上げる目的のほか、選手自身も正しい知識を持つことで選手生命を長く保てるようになります。ですから、小学生の選手などにも、幼少期から自分の身体に興味を持てるような指導をしています。

 

 

対外的な活動をしてよかったと感じたことは?

病院の中では出会えないトップ選手や育成に携わっているスタッフ、トレーナーなど、高い目標に向かってチャレンジする人と触れ合ったときには、違った刺激がもらえて視野も広がったので、活動を続けていてよかったと思っています。

 

 

理学療法士として手応えを感じるときはどんなときですか?

ありきたりですが、患者さんや選手から「ありがとう」と言われたときです。病院でもスポーツの現場でも、違いはありません。感謝の気持ちを伝えていただけただけで、感無量ですね。さらに知識をつけて、技術を磨き、頑張って仕事をしていこうという励みになります。

 

 

最後に、日赤で働きたいと思っている人にメッセージをお願いします。

診療分野の幅も広く、救急なども積極的に受け入れている病院なので、どんな患者さんがいつ来るかわからずハードな面もありますが、やりがいを持って、自分に合った方法でスキルアップしていける職場です。休みも比較的融通が利いてオンオフもつけやすく、福利厚生も充実しています。やる気のある人、チャレンジしていきたい人、大きな病院で幅広くリハビリをしたいと思っている人、福利厚生の手厚い職場を探している人、いろいろな人と一緒に協力し合いながら働きたいと思っています。まずは、病院見学に来ることから検討してみてください。

 

高根 良輔 (たかね りょうすけ)

2006年就職、理学療法士。認定理学療法士(運動器)、日本スポーツ協会認定アスレチックトレーナー資格保有者、がんのリハビリテーション研修修了者、和歌山地域糖尿病療養指導士、日本DMAT隊員。

数年前からはじめたサーフィンにハマっています。まだまだ下手ですが、職場のサーフィンをしている仲間と自然に触れながら楽しんでいます。

詳しくはこちら

日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

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