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『終末期だけでない緩和ケア!」当医療センターで行っている早期からの緩和ケアについて、様々な職種の関わりをご紹介します。
2025/04/09
緩和ケアを知ると、入院治療中でも、病気を抱えながらの生活においても、痛みやつらさが和らいだ状態で過ごしていただけるはず・・・。当医療センターで行われている緩和ケアをご紹介する、こちらの連載。
今回は、一般病棟でがん治療中に受けられる「緩和ケア」について、ご紹介します。
一般病棟では、緩和ケアチームががんの患者さんを中心に、多くの患者さんのケアに当たっています。緩和ケアチームには、身体担当医師、精神担当医師、看護師、薬剤師、臨床心理士、社会福祉士、管理栄養士、理学療法士、作業療法士と、さまざまな専門スタッフがいます。
病棟スタッフから「この患者さんには、より専門的な緩和ケアが必要かも?」と連絡を受けると、患者さんのところに訪室し「何かがんの治療で身体の痛みやつらさがないか」「がんを治療するために、困っていることはないか」「ご家族に不安や悩みを持っている人がいないか」などお話を伺いながら、症状を緩和したり、悩みや不安にともに向き合い、解決したり、小さくしたりするお手伝いをしています。
お話することが苦手で、主治医に痛みなどつらい症状を伝えきれなかったり、初めての入院や治療でとまどったり、治療費用や仕事との両立に悩んだり、家族や仕事先にどう伝えたらよいのか悩んだり…闘病でのつらさだけでなく生活に関する悩みも抱えている人も少なくありません。
がん患者さんの多くは、がんによる、または、がんの治療による「痛み」「息苦しさ」「食思不振」「だるさ」「不眠」「不安」を抱えています。
当医療センターでは、がんで入院される患者さん全員に、それぞれ症状により生活しづらい経験がないか確認しています。これらのつらさは、患者さん自身もがん治療が初めての場合、気づいていないことが多く、訴えにくいものです。
ですので、看護師から声をかけて、緩和ケアチームが役立ちそうとなったら、こちらから出向いて関わっています。
身体症状の緩和はもちろんのこと、治療と日常生活(仕事など)との両立の方法を具体的に一緒に考え提案したり、できるだけ過ごしたい場所で過ごせるように環境調整するお手伝いをしています。
関わらせていただいた際に、「身体が楽になった」「気持ちの整理がついた」「なんだか頑張れそうな気がする」とおっしゃってくださる患者さんも多いです。また、ご家族も大切な人が病気になり、さまざまなつらさを抱えるようになるため、ケアを受けるべき対象とされています。
緩和ケアは、『診断期からの緩和ケア』と言われているくらい、常に傍にあるケア、受けるべきケアと言っても過言ではありません。
お話することが苦手だったり、面識のない人に来られることに抵抗がある・・・と感じる人もいるかもしれません。病棟スタッフに緩和ケアチームとの面談について提案されたら、まずは、気軽に「ちょっとだけ、会ってみようかな」というくらいの気持ちで、緩和ケアを受けてみませんか?
身体にも心にも負担が少なくなるよう、治療が継続できるよう、一緒に考えていきます。
次回は、緩和ケア病棟での入院についてご紹介します。
松尾 恵子(まつお けいこ)
緩和ケア認定看護師
好きなことは、ゆっくりコーヒーを飲むこと。そんな時間が好きです。