『終末期だけでない緩和ケア!』当医療センターで行っている早期からの緩和ケアについて、様々な職種の関わりをご紹介します。

ご家族のケア、休息の必要性

2026/04/08

緩和ケアを知ると、入院中でも、病気を抱えながらの生活においても、痛みやつらさが和らいだ状態で過ごしていただけるはず・・・。当医療センターで行われている緩和ケアをご紹介する、こちらの連載。

 

今回は、ご家族のレスパイト(一時的な休息)について、説明していきます。

 

患者さんが「住み慣れた家で過ごしたい」と願っていても、それを支えるご家族は大変ですし、介護疲れも出てくると思います。

 

 

特に同居されていたり、中心的に支えているご家族は、知らず知らずのうちに疲れがたまってきます。また、昼夜問わず患者さんの介護をされているご家族の場合、心身の疲労から患者さんに当たってしまうという声を伺うこともあります。

 

在宅で療養していくには、患者さんだけでなく、ご家族の体調が整っていることが大切です。「もしも、看病・介護しているご家族が倒れてしまったら・・・」と、心配される人も多いのではないでしょうか?

 

緩和ケア病棟の入院目的の1つに、家族の休息(レスパイト)があります。

 

2週間程度の入院により、ご家族の心身の休息を図ることで、再度ご自宅での療養生活を継続していただけることの手助けになればと考えています。

原則、一度、緩和ケア病棟への入棟経験のある患者さんを対象に有料個室でのレスパイト入院を提案していますが、緩和ケア病棟の入棟基準を満たす患者さんで介護疲れのあるご家族は、主治医・担当医、または、緩和ケア内科までご相談ください。

 

 

次に、入院中のご家族へのケアについてご説明します。

 

残された時間が迫ってきている患者さんのご家族には、1日1日が心身のすり減る体験で、様々な苦悩を抱えると言われています。「私が早くにこうしておけば…」「もっと何かできることはないか」「役に立てることは…」「見てるのがつらい…」「自分が代われるものなら代わりたい…」「傍にいたい・・」「状態を知りたいけど怖いな…」など複雑な思いを抱えています。

 

私たち緩和ケア病棟のスタッフは、患者さんだけでなく、ご家族もケアの対象であると認識しています。そのため、家族構成や家族内の役割・相互関係などを理解し、ご家族の苦悩に寄り添いながら、その家族が持っている力や対処を引き出せるように、お話を伺ったり、ご助言しています。また、その時々に応じて、患者さんに起こっていることや今後起こりうることを説明したり、今の患者さんの状況を正確に知ってもらうためにも、医師から病状説明をしてもらえるよう調整しています。

 

 

患者さんの病状が進行し看取りが近づいた状況では、患者さんに付き添われるご家族のために、家族控室というご家族がくつろげる空間をご用意しています。

 

家族控室は、畳敷きの和風旅館のような造りで、ご家族が心身の休息を取れる場所として利用いただいています。家族控室の利用には申請が必要ですが、好評いただいています。

 

家族控室

 

患者さんの最期の時間に寄り添うご家族にとって、「苦悩の中に少しでも安心を」を目標に、スタッフ一同ご家族に対してもケアを提供しています。

 

 

次回は、緩和ケアに関する医学研究について、ご紹介します。

 

 

桒原 宏貴(くわばら ひろき)

緩和ケア病棟看護師長、がん看護専門看護師。

好きなことは、サウナとキャンプ。サウナで整って、ビールを飲むのが至福の時間です。

緩和ケア病棟では、患者さんやご家族が笑顔を取り戻し、小さなことにも喜びを感じて、「ここに来てよかった」と思っていただける関わりができるよう、日々、努めています。

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日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

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