『終末期だけでない緩和ケア!』当医療センターで行っている早期からの緩和ケアについて、様々な職種の関わりをご紹介します。

家族ががんになったとき

2026/03/11

緩和ケアを知ると、入院中でも、病気を抱えながらの生活においても、痛みやつらさが和らいだ状態で過ごしていただけるはず・・・。当医療センターで行われている緩和ケアをご紹介する、こちらの連載。

今回は、患者さんとご家族の不安に寄り添う「がん相談支援センター」について、ご紹介します。

 

ご家族ががんになったとき、がん患者さん本人だけでなく、その家族にもさまざまな負担がかかるといわれています。それは、「患者さんとともに、今後の方針を決定づける際のこころの葛藤」「患者さんの代わりに、意思決定するこころの負担」「患者さんに代わる家族の役割の追加」などが出てくるからです。

 

また、患者さんをケアする中で、「どうしたらいいのか分からない」「負担に感じる自分は、薄情なのか」「支援していくのは難しい」などと悩んだときは、「がん相談支援センター」の利用を検討してみてください。

 

がん相談支援センターの待合

 

「がん相談支援センター」は、がんと診断された患者さんとご家族が、開室時間ならいつでも、看護師や社会福祉士に相談できるところです。相談は無料で、当医療センターで治療を受けていなくても、来室したり、電話で相談できます。スタッフは、国立がん研究センター認定がん専門相談員の認定を受けており、がん診療のさまざまな場面に対し、相談支援しています。

 

そして、患者さん本人だけでなく、ご家族も相談支援の対象となっているのは、ご家族の身体・こころ・暮らしに影響が出てくるからです。

 

心理的な影響としては、患者さんと同様に、ご家族も深い悲しみや無念の感情を抱いたり、家族ががんであることを受け入れられなかったり、今後の生活に不安を感じたり、訪れるかもしれない「死」に怯えたり、感情が大きく動いて疲れたりする場合が考えられます。最近の研究で、患者さんと同じくらい、もしくはそれ以上の負担があり、ご家族の1~4割に抑うつを認めるとの報告もあるくらいです。

 

 

生活面でも、仕事・学校・家事など自分自身の生活・役割を維持しながら、介護者という新たな役割が生じ、ときに、患者さんの役割を代行することもあり、「負担が増えた」「忙しくなった」と感じる人が多いです。

 

心理的にも生活面でも負荷が増した結果、だるい・疲れやすい・集中できないなどを慢性的に感じるようになったり、眠れなかったり、怒りっぽくなったり、冷汗をかいたり、患者さんの生活を優先させて持病を悪化させる人もいます。

 

そのようなご家族への具体的な支援として、まずは情報提供をしています。

 

 

医師や看護師からの説明を受けても、記憶が薄れてしまったり、情報が偏ったりしていると、治療継続の負担が大きくなります。正しい情報を理解すると、治療法を選択しやすくなったり、入院・介護・在宅医療などの手続きが分かったり、行政など病院以外の支援を受けやすくなったりします。

 

そして、ご家族も不安、落ち込みがあり、患者さんと同じようにつらさを抱えていることを理解し合い、お互いに支え合う関係性が築けるように支援しています。

 

また、ご家族が自分自身も大切にできるように、支援しています。

「家族ががんであること」を認めたくない気持ちや、気持ちが混乱するのは、ごく自然なことだと知っていただき、ご家族自身が気持ちや身体をいたわり、生活を大切にすることは、患者さんの支えになることをお話ししています。患者さんだけでなく、ご家族を支える仕組みがあることを知ると、ホッと安心される人が多いように思います。

 

 

がん治療中は、驚き・混乱・不安・落ち込みが生じる「診断期」、治療が始まり、ご家族との時間が減ったり、家族内の役割交替や経済的不安などが出てくる「療養期」、転院・退院・介護など見通しの不安定さ、就労などの具体的な対応をしなければならない「治療継続期」、看取りについて考えたり、人生を振り返る「終末期(ターミナル期)」など、時間の経過によって、ご家族の悩み・不安も変化しますから、1度だけでなく何度でも、どの時期でもお越しください。

 

次回は、ご家族のケア、休息の必要性について、ご紹介します。

 

 

詳しくは、こちら(がん相談支援センター)

 

石丸 昌美(いしまる まみ)

看護係長。

好きなことは、ドライブ。パンも大好きなので、「美味しい」と聞いたパン屋さんを目指して、車を走らせることも…。

詳しくはこちら

日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

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