『終末期だけでない緩和ケア!』当医療センターで行っている早期からの緩和ケアについて、様々な職種の関わりをご紹介します。

「がん治療」「緩和ケア」で使うくすり

2025/06/11

緩和ケアを知ると、入院中でも、病気を抱えながらの生活においても、痛みやつらさが和らいだ状態で過ごしていただけるはず・・・。当医療センターで行われている緩和ケアをご紹介する、こちらの連載。

今回は、がん治療・緩和ケアで薬剤師が果たす役割について、ご紹介します。

緩和ケアで「くすり」と聞くと、痛み止めや医療用麻薬を想像されるかもしれませんが、抗がん剤治療中に副作用の症状を緩和することも緩和ケアにあたります。

 

薬物療法センター

 

抗がん剤治療では、副作用(有害事象)が出ると多くの方がイメージされていると思います。そのため、抗がん剤治療をはじめる際に、副作用によって仕事や家庭で自分の役割が果たせない、普段の生活が一変するのでは?と、不安になる人がたくさんおられます。

 

抗がん剤とひとくくりに言いますが、作用の仕方はいろいろな種類があります。抗がん剤の種類により、出てくる副作用もさまざまで、治療に使う抗がん剤に合わせた副作用対策をすることが大切です。

 

 

代表的な副作用としては、倦怠感・疲れやすくなる、味の感じ方が変わる、頭髪・体毛が薄くなる、吐き気や嘔吐・食欲不振、皮膚や爪の変化、手先や足先のしびれや感覚の鈍さ、下痢や便秘になる、寝付きにくくなる、免疫力が落ちて感染症にかかりやすくなる・・・などがあり、薬によって出てくる副作用も異なりますし、人によって症状の強さもさまざまです。

 

多くの方が副作用としてイメージする吐き気で考えると、使用できる吐き気止めの薬は複数あり、組み合わせや量を調節することが可能です。薬剤師は、抗がん剤治療をはじめる前に、予定されている抗がん剤治療に対して吐き気止めの薬が適切か確認をし、症状が出てくれば、吐き気止めの薬を調節する方がよいのか医師と一緒に考えています。

 

また、薬だけでなく食事を工夫することで食べやすくなることもあり、くすり以外で症状を緩和する方法を提案することもあります。緩和ケアチームでは吐き気まで至らない食思不振や味覚障害に多職種でかかわり、治療を継続するための体力維持に欠かせない体重維持に取り組むこともあります。

 

 

このように、医師や看護師だけでなく、薬剤師も抗がん剤治療が継続できるように症状緩和のサポートをしています。

治療による副作用をゼロにすることは難しいかもしれませんが、副作用をできるだけ軽くするために、緩和ケアを活用してみては、いかがでしょう?

 

また、痛みによって眠れないことや、したいことができないのは、とてもつらいことです。そこで、うまく痛み止めの薬を活用していくことも重要だと考えています。

 

痛み止めの薬には医療用麻薬も含まれますが、薬物乱用が問題となる一般的にイメージする麻薬・大麻などの薬物とは異なり、医師の指示に従い医療用麻薬を正しく使えば、依存を心配する必要はありません。医療用麻薬を使用するのは、人生の最期だということでもありません。痛みをコントロールしながら治療を継続するために、医療用麻薬を使用している人は少なくありません。

 

吐き気止めと同じように、医療用麻薬を含めて痛み止めの薬にもたくさんの種類があります。そして、種類によって、よく効く痛みがあったりもします。痛みについて患者さんから話を聞き、その痛みに合った「くすり」を主治医の先生に提案したり、一緒に相談しながら考えていくことも、大きな役割です。

 

 

『普段の生活が送れるように』

 

今ある症状をスタッフに相談してみてください。

外来・病棟のスタッフから、わたしたち緩和ケアチームにつながっていきます。

 

 

次回は、「緩和ケア」で行われる疼痛緩和について、ご紹介します。

 

 

木村 朋未(きむら ともみ) 

日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師。

好きなことは、パンを焼くことと。生地の手触りに癒され、発酵で大きくなる姿にパワーをもらい、焼き上がりの匂いにテンションが上がります。

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日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

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