病院では医師、看護師、助産師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、診療放射線技師、臨床工学技士などいろいろな専門職が集まり、日々の治療を支えています。患者さんの身体も心もケアできるようにと、日々努めている仲間たちを紹介します。

社会福祉士インタビュー 〜病気やけがで生じる困りごと解決に向けて〜

2021/08/04

日赤和歌山医療センターでは、医療職以外にもさまざまな職種が働いています。社会福祉士や精神保健福祉士が在籍し、病気やけがによって患者さんやご家族に生じる困りごとの相談をお受けしています。

 

今回お話を聞いたのは、男性社会福祉士の戸石輝さんと、舟戸久二さん。戸石さんは大阪府出身で、四年制大学を卒業後に新卒で入職。舟戸さんは和歌山県出身で、前職の介護施設・生活相談員から30代半ばで転職して当医療センターへ。

 

それぞれに経歴は異なりますが、医療の現場で働く日々に「やりがいを感じている」と話すおふたり。業務内容や、病院内で福祉系職員が働く意義などについて聞きました。

 

まず、所属部署の概要について教えてください。

舟戸:私たちが所属する医療社会事業課には、社会福祉士が7人いて、今のところ女性が4人、男性が3人です。和歌山県出身者が多く、県内出身者は7人中、5人です。

 

 

戸石:私は大阪府出身ですが、大阪府南部出身なので距離的にはかなり和歌山に近いです。ほとんど和歌山だと言ってもいいかもしれません(笑)。1つの病院に社会福祉士が7人いるのは多いと感じられるかもしれませんが、時代の流れで、今後は社会福祉士がもっと必要になるといわれています。そのため、当医療センターでも増員方向で進んでいます。

 

どんな内容の仕事をされていますか?

戸石:病院に勤務する社会福祉士は医療ソーシャルワーカーとも呼ばれます。病気やけがによって患者さんやご家族にさまざまな困りごとが生じた場合に、安心して治療を受けられるよう院外の機関とも連携して解決の援助をします。医療の中でも、急性期病院である当医療センターの社会福祉士の業務は多様で、大きく分けると、①患者さんの入退院支援業務、②外来での療養に関する相談業務、③お金や家族関係に関する社会的な課題への援助などがあります。

 

 

舟戸:業務はさまざまですが、社会福祉士は病院の中で、どの場面においても「橋渡し役」となることが多いです。患者さんやご家族からお話を聞き、相談内容が医療であれば医師や看護師に伝えて一緒に考えます。生活に関する相談なら使える支援制度がないか調べたり、地域で安心して暮らせるよう転院先を探したり、在宅での介護の調整をします。相談内容も幅広いですし、患者さんやご家族の年齢の幅も広いです。柔軟に対応することや信頼してもらうことがとても大切な仕事なので、話し方や提案の仕方などにも気を配っています。

 

一人ひとりの担当業務は決まっているのですか?

戸石:病棟や院内のチームごとに、どの社会福祉士が担当するか決まっています。私自身は、現在ICUや救急などを担当しています。救急の現場では初めてお会いする方が多く、すぐに関わる必要のある人も多いです。救急に来られる患者さんやご家族は、急に直面する生活課題に困惑されることも多く、しっかり寄り添って一緒に考えていくことを心がけています。

 

病棟で看護師とカンファレンスしている様子

 

舟戸:私は、固定の病棟は担当しておらず、他の社会福祉士や退院支援看護師のフォローをしたり、各病棟を回ってカンファレンスに参加して、退院支援の立場で情報共有しています。そうやって集まってきたさまざまな事例に対して、広い視野を持って支援していくのが仕事です。「退院」といっても、医師が退院に際して気になること、看護師が気になることなど、職種によって視点が違います。患者さんが地域での生活に戻るときに、どんな課題に直面するかを総合的に考え、支援の方法を見つけていきます。院内だけでなく地域の皆さんや行政、民間施設などいろいろな立場の方とつながり、患者さんやご家族に安心していただけるよう努力しています。

 

相談内容は幅広いようですが、具体的には?

舟戸:まず、治療費用の心配や、病気やけがにより仕事が続けられないかもしれないという就労への不安など、経済的なものが多いです。そのほか、退院に際して、転院先をどうするかや、治療と自宅での生活をどう両立させるかなどがあります。退院すれば、ご自分の療養と並行して同居家族の介護をしなければならないという方もいますので、どうすれば生活できるか?を考えます。

 

 

戸石:ほかにも、虐待やDV被害に関する業務もあります。院内で委員会を開いて協議したり、私たちが行政と連携して動いたりすることもあります。

 

舟戸:病気やけがは、患者さんとご家族の生活に直結していて、治療だけでなく、治療の後にどうやって生活をするかということも合わせて考えなければ元の生活には戻りません。仕事、家族、地域との間で多くの困りごとが発生しています。しかも、それは複合的に混ざり合うため、私たち専門職がきちんとお話を聞いて、解決の道筋をつくっていくことは重要だと思っています。

 

患者さんやご家族の相談ごとはどこから連絡が来るのですか?

戸石:患者総合支援センターに患者相談窓口がありますので、そこで話される内容によって、私たちが呼ばれます。この窓口は「よろず相談窓口」なので、何でも話していただくことができる場所です。ほかにも、患者さんが外来での診察や病棟で医師や看護師に話したことから、私たちに連絡が来ることもあります。

 

舟戸:「何か困りごとはありませんか?」とこちらから声をかける場合もあります。患者さんやご家族は「困っていることがあるので支援が必要」「こんなことに困っている」と、どこかで声に出してもらえれば私たちにつながります。

 

どんなことに気をつけているんですか?

戸石:患者さんやご家族と同じ目線で、いっしょに考えることを心がけています。私たちが大切にしているのは、一人ひとりが「Well-Being(ウェル・ビーイング)=よい状態」になること。私たちが一緒に生活課題に取り組み、病気やけががあっても安心して生活できるよう寄り添うようにしています。

 

 

舟戸:いろいろなお話を伺うので、事務的な話に終始することなく、リラックスしていただける雰囲気をつくるようにしています。信頼していただき、たくさんお話を伺うことで私たちが支援できることもはっきりしてきます。その信頼関係ができた後に、「こういう制度がありますよ」と提案するようにしています。そういう流れがある方が、患者さんやご家族も現状や提案を受け入れやすくなるようです。

 

支援のためには、人材養成やチームの人間関係が大切ですね。新人教育の体制やチームづくりに関する工夫を教えてください。

戸石:育成の仕組みには、4段階のステップのあるキャリアラダー制を導入しています。本人の希望と業務範囲を合わせて目標を定め、ハシゴを登っていくようにキャリアアップしていく制度です。人によって成長度合いは違いますから、それぞれ目標を設定しています。目指すべき人物像、ロールモデルを明確にすることでモチベーションも保たれます。社会福祉士の育成にキャリアラダー制を導入しているのは珍しく、サポートする体制はしっかりしていると思います。評価は年に2回あり、事例発表をしたり、面談をしてフィードバックをもらったりします。

 

当医療センターの「ソーシャルワーカー キャリアマップ」

 

舟戸:資格取得者として入職するため責任は果たさなければなりませんが、患者さんからの相談ごとは多岐にわたり、専門的な知識も多く必要です。解決できないことはチームで考え、うまくいったことは共有しています。もちろん看護師などの多職種と連携しながら進めることも大事なので、社会福祉士以外の視点を持つ職員とも「どうすれば患者さんのためになるか」を考えていく職場風土があります。

 

 

働く環境・働き続けやすさは、いかがですか?

舟戸:週休2日で、9時〜17時30分の勤務です。休日は子どもと近所の公園で遊ぶなど、ワーク&ライフ バランスを意識して、家庭や自分の時間を持つことができています。

 

戸石:個人的には、今、大学院に通っています。夜に授業がある日は、朝7時30分から午後4時までの早出勤務にしてもらっています。プライベートなことについても柔軟に対応していただけるので感謝しています。産休・育休中の女性職員もいて、男性も手を挙げれば育休を取れる状況だと思います。社会福祉士が複数いるからこそフォローし合って、お互いに働きやすい環境を作ろうとしています。

 

スキルアップもできる環境ですか?

戸石:私のようにプライベートで大学院に通うこともできますし、業務内でも急性期病院ですので多様な生活課題に関わります。相談内容が多種多様なので、自然とスキルアップできるのではないでしょうか? どの課題も、解決しようとすると院内のネットワークや院外との連携が必要で、それらは自分自身の中で経験として積み上がっていきます。

 

 

舟戸:支援に向けて動く中で、いろいろな職種と関わります。院内の医療職はもちろん、院外の機関や民間施設、行政とも連携するので、たくさんの人と出会い、関係性が広がっていきます。人との出会いやつながりには学びがあるので、自分が成長しているなと実感します。

 

どんなときにやりがいを感じますか?

舟戸:やっぱり、患者さんやご家族から「ありがとう」と言っていただいたときですね。困りごとが解決したときや、そのきっかけがつくれたときは本当にうれしいですし、この仕事をしていて良かったと思います。具体的な例を1つ挙げるなら、ハローワークの職員さんと協力して就労支援をして、仕事が決まったとき。うまく支援に関われて良かった、やっていて良かったと思います。

 

戸石:何をどこまですればよいか、明確な正解が見えづらい仕事ではありますが、一助になれた実感があれば、援助もできているということなので、よかったと思います。患者さんと再会して、「うまくいっています」と報告を受けると、何よりうれしいですね。

 

素敵な仕事ですね。福祉職も幅広いですが、どうして社会福祉士として病院に勤務しようと思ったのですか?

舟戸:福祉系大学で学んだ後、介護施設の生活相談員として働いていました。日赤和歌山には34歳のときに入職したのですが、そのきっかけは、ずっと自分が興味を持っていた医療の現場で働いてみたいと思ったからです。介護業界でも利用者さんやご家族のご要望を伺ったり、生活支援することは沢山あるんですが、医療が必要になった利用者さんのことは、病院の社会福祉士にバトンタッチするんです。やはり違うフィールドだと感じることが重なって、一度、病院で医療ソーシャルワーカーとして社会福祉に携わり、もっと知識や経験を増やしたいと一念発起しました。たくさんの医療職や院外とネットワークを築けているので、とても充実しています。

 

 

戸石:学生のころに実習で急性期病院に行き、その病院のソーシャルワーカーにあこがれを抱いたのが病院へ就職するきっかけでした。急性期病院は救急や重篤な患者さんも多く、緊迫感もあります。また、一人ひとりとゆっくり関わる時間が少ないといわれることもあります。けれど、患者さんとご家族は入院の前後で大きく生活が変化することもあり、そのとき直面する課題に対応することは自分自身の成長の刺激になると思ったので、急性期病院で働くことを希望しました。医師や看護師ともいろいろな話ができるようになってきたと感じるので、知識がついてきたのかなと思います。

 

最後に、和歌山で働く楽しさについて教えてください。

戸石:和歌山に来て、県内に観光ができる場所がたくさんあることに驚きました。静かでリラックスできる場所もそれほど遠くまで行かなくともあります。私もパワースポットを巡るなど、和歌山の自然を楽しみながら生活しています。リフレッシュがすぐできる環境はとてもいいと思います。

 

 

舟戸:海も山もあるので、レジャーの種類も多く、アウトドア好きな人にはたまらないと思います。私も、海のレジャーなどに家族といっしょにチャレンジしてみたいなと思っています。自然ならではの魅力に囲まれて仕事をしたい人は、ぜひ和歌山へ。

 

戸石 輝(といし あきら)

社会福祉士、精神保健福祉士、認定社会福祉士(医療分野)、救急認定ソーシャルワーカー。

好きな格言は、「為せば成る」。趣味は、アイスホッケー観戦。大学時代にプレーしていました。

舟戸 久二(ふなと ひさじ)

社会福祉士、ファイナンシャルプランナー2級(相談業務の中で、経済的な問題に少しでもお役に立てればとFP資格を取得)。

チャレンジしたいこと・・・ソロキャンプ。テントなど道具(ギア)選びが楽しみです。

 

 

 

 

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