病院では医師、看護師、助産師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、診療放射線技師、臨床工学技士などいろいろな専門職が集まり、日々の治療を支えています。患者さんの身体も心もケアできるようにと、日々努めている仲間たちを紹介します。

看護師インタビュー 〜特定行為研修受講で専門知識を持つ人材に〜

2021/12/23

日赤和歌山医療センターに入職して10年、看護師歴は24年目を迎えた川俣美智子さん。

2015年10月から開始された「特定行為に係る看護師の研修制度」を受講中です。

 

1年間の受講を経た後には、現場で医師診療の補助(特定行為)が行えるようになります。働きながらe-ラーニングで学習し、課題の発表もこなしているという川俣さんに、その内容や研修期間中の仕事・家庭生活のバランスなどについて話を聞きました。

 

 

現在の仕事内容は?

血液内科と糖尿病内科・内分泌内科の患者さんが多い内科系病棟に勤務しています。変則2交代制で夜勤もあります。全体的に高齢の患者さんが多く、治療に関する業務の他、退院後もスムーズに療養していただけるように、服薬方法や食事の摂り方、運動などを薬剤師・管理栄養士・理学療法士などと連携しながら、お話しすることも多いです。

 

 

今年から看護師の特定行為研修を受講されていますが、受講のきっかけや受けた感想を教えてください。

先に特定行為研修を受けた同僚がいるのですが、受講後はすごく知識が増えて患者さんに合わせた対処を行っているのを見て、自分もやってみたいなと感じていました。そんな折に「よかったら、一緒にどうですか」と特定行為研修の受講を勧められる機会があり、その場で「やってみたい」と即答しました。特定行為研修を生かした活動をするのに一人では大変そうでしたし、二人なら患者さんのためにできることが増えるかもと考えました。

 

 

病棟スタッフステーションで看護師長と相談する川俣看護師

 

 

研修は、4月からと10月からスタートする半年サイクルで開講しています。当医療センターも指定研修機関になっており、院内で週1回の課題レポート発表などの演習があります。同時期に、他に3人が研修を受講しています。研修には、担当の看護副部長や関連診療科の医師、各領域の専門看護師・認定看護師、経験豊富な看護師長など多くの職員が来て直接指導してくれます。研修を終えた看護師も内容によっては参加することがあり、継続して勉強していかなければいけないと感じます。演習に加えて、e-ラーニングによる自己研修もあります。スタートから半年間は共通科目、その後は選択した区分の専門的な内容の学習へと続きます。

 

e-ラーニングでは、病理学や病態生理学なども多く、頭のてっぺんから足のつま先まで身体について学び直す機会を得ました。症状や状態から患者さんの病態を推察する講義があったのですが、持っている知識をフル稼働させて、より専門的な視点から処置や処方を提案するグループワークは興味深くもあり、難しかったです。看護的な視点である「看る」と、医療的な視点からの「診る」について考えることが多かったですね。

 

 

学習で知識が深まるにつれ、今まで疑問に思っていたことが理解できるようになり、とてもやりがいがあります。演習があるときは、勤務も融通してもらえていますし、ハリのある日々を送れています。ただ、研修を受けていることを周囲に伝えても想像以上に知られておらず、少し驚きました。もっとたくさんの方にこの研修を受けてもらいたいので、「こういう内容だよ」と詳しく伝えるようにしています。

 

 

受講が終わるとどのような業務ができるようになりますか?

私が受けているのは「血糖コントロールに係る薬剤投与関連」区分なので、血糖コントロールが必要な入院患者さんにタイムリーなインスリンの投与量調整や、医師への提案などが行えるようになります。まだまだ勉強中なので、実際の業務では手探り状態ですが、糖尿病は治るものではなく、日常生活の中で気をつけていかなければならないことが多い病気です。入院中は身近にいる看護師だからこそ、患者さんとの関わりの中で気づきが多かったり、患者さんも質問がしやすかったり、細かなサポートがしやすいので、専門的な知識を生かしたケアができればと思っています。

 

 

糖尿病教室で説明しているところ

 

 

私に受講を勧めてくれた同僚は、知識を生かして患者さんにアドバイスしたり相談を受けたりする「糖尿病教室」のリニューアルに中心的な役割を担ってくれていました。どのスタッフも教室を開けるように環境を作ってくれたり、患者さんが質問しやすい雰囲気を作ったりなど、さまざまな改善をしてくれています。このように研修を修了した看護師がいると、看護の質が全体的に上がることを実感しています。私も研修を通して皆に頼りにしてもらい、相乗効果を引き出せるような看護師になっていきたいです。

 

 

家庭で学習する時間も多いため、家族の協力や理解が必須だと思います。

反対などありませんでしたか?

家族は、夫と娘の3人です。普段から夜勤もあって、不規則な生活や母親の不在について理解があるので、特に問題はありませんでした。隣には義理の母も住んでいて、日勤でも遅い日は食事の用意などを手伝ってくれます。皆が負担のないようにコミュニケーションをとりながら、仕事と勉強、家のことのバランスを取っていければと思っています。

 

 

勉強はリビングでしていて、娘と並んで一緒に勉強することも。今は新型コロナウイルスの感染予防のため外出がなかなかできないので、家で一生懸命打ち込めることがあってよかったな…とも思っています。

 

 

日赤に入職する前は、デイサービス(通所介護)施設に勤務されていたとのこと。育児をしながらも、病院へ転職された理由は何だったのでしょう?

新卒のときは病院で勤務していましたが、子どもが小さい期間はパート勤務に…と、家から近いデイサービス施設で約5年間働きました。ただ、デイサービス施設では看護師が一人だけだったので、責任が重いと感じていましたし、やらなければならないことも多岐にわたりました。さまざまな判断を迫られる業務が多い中で、もう一度しっかり勉強をしたいという気持ちが出てきました。自分なりに看護協会主催の研修を受けるなどの勉強もしましたが、やはり医療現場へ戻って、勤務しながら学び直したい気持ちが大きくなり、転職を決意しました。

 

 

病院看護師に復職してみて、いかがでしたか?

最初は、ブランクがあったので体はしんどかったですが、すごく楽しくて、自分がイキイキしてくるのを感じました。スタッフみんなが頑張っていて、それぞれに看護ポリシーを持っているのを感じました。資格を取ったり、キャリアアップを目指している人にもたくさん出会いました。新卒で病院に勤めていたときとは違う世界に見えました。一度離れたことが良かったのかもしれません。

 

今も楽しく働いていますが、それには仲間の力が大きいと思います。お互いに助け合ったり励まし合ったりして、自然と自信もついてきて、気がつけば今日までやってこられていました。私は同僚たちと比べると年齢がずいぶん上ですが、世代間の隔たりもなくフラットに接してくれて、意見を言い合える環境なのでありがたいです。

 

 

最後に、今後はどのような看護を行っていきたいですか?

糖尿病について間違った知識を思い込んでいる患者さんもいるので、正しい情報を伝えていきたいです。インスリン投与量の調整などもかなり複雑化してきていますが、病気の進行を遅らせることができるなど重要な部分なので、自分の知識や経験を増やしながら、患者さんに寄り添ったケアをしていきたいです。

 

医療は日々進歩するので、看護師といっても専門的な知識は改めて勉強することが必要です。知識を得た後も実践しないと身につかないので、研修後には私からスタッフみんなに伝えるなど積極的に共有するようにして、看護の幅を広げられるよう努めたいです。超高齢社会がしばらく継続されるので、家族関係も社会状況も変わってくると思います。高齢者が増えていく中で、今までと同じような体制では、同じ質の看護ができなくなるかもしれません。目の前の仕事をこなしていくだけでなく、新しい役割分担や組織づくりなどにも参画しながら、看護と向き合っていきたいです

 

 

川俣 美智子 (かわまた みちこ)

2011年12月、臨時職員として入職。2014年4月、正規職員に。看護師。

日本糖尿病療養指導士。同種造血細胞移植後フォローアップ研修修了。

 

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日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

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