病院では医師、看護師、助産師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、診療放射線技師、臨床工学技士などいろいろな専門職が集まり、日々の治療を支えています。患者さんの身体も心もケアできるようにと、日々努めている仲間たちを紹介します。

ママさん薬剤師「今できることを精一杯する」

2020/01/24

和歌山で生まれ育った星田紗知さん。大学卒業した2013年、実習先だった日赤和歌山医療センターへ入職しました。「地元で就職した」という星田さんは、ご実家も当センターに近く、ご両親の助けも少し借りながら育休復帰し、今は同じ職場に勤務するご主人と、共働きで子どもを育てています。

 

「育児も仕事も今できることを精一杯するようにしています」と笑顔で話す星田さん。母親と薬剤師を両立している日々の生活やこれからのキャリアプランについて話してくれました。

 

 

入職した2013年からこれまで、どんな仕事をして来られましたか?

新卒で入職して、7年目になりました。

まず最初は調剤課に配属となり、その頃はまだ院内処方を行っていたので、調剤が非常に忙しかったですね。勉強することが多かったので大変でしたし、周りについていくだけで精一杯。ただ目の前のことに向き合いながら、必死で勉強していた日々でした。この時期は勉強会や学会にも行っていましたね。

 

この頃は将来のことも考える余裕がなく、自分の将来設計やキャリアプランなど何もイメージを持てないままでした。働き始めて3年目に院外処方がスタートしたので、そのタイミングで病棟の担当薬剤師になって、やっと少し自分を俯瞰できるようになった気がします。混合病棟の仕事はいろいろな診療科にまたがっているので、すごく知識が増えましたし、患者さんとの触れ合いもあって、病院薬剤師としてのやりがいを感じました。

 

育休から復帰したあとは、また調剤の仕事に戻りました。病棟より患者さんに会える機会は少なくなってしまったのですが、時短勤務もしやすいですし、調剤部門にはすべての診療科から処方せんが来るのでいろいろと学べます。病棟業務を経験した後に戻ったからこそ分かること、見えることがありました。「知らなかったことが、まだまだこんなにあったんだ」とその深さに驚いています。当面はここで勉強して、いろいろなことを吸収したいと思っています。

 

 

病院薬剤師になろうと思ったきっかけは何だったのですか?

日赤和歌山医療センターが実習先だったんです。仕事内容も、そのときは院内処方だったので薬にもたくさん触れられるし、注射や点滴の知識も得られるのが魅力でした。実習時の先輩が素敵だったのもあり、それで、まずは新卒で病院に就職したほうがいいのかなと。実際に病院に就職してよかったと思っています。

 

ご自宅もご実家も病院近くと伺いました。

地元・和歌山でずっと働くことを望まれていたんですか?

大学も自宅から通学していましたし、実習先もここでしたので自然な流れでこちらに就職しました。地元にある病院に就職することは何も抵抗はなかったですね。就職して慣れない土地に住むのは、わたしにはハードルが高いと思いました。実家から通えるほうがいいんじゃないかと。慣れ親しんだ環境なので、仕事に集中できます。

 

和歌山は田舎と言われることもありますが、私にとってはコンパクトで生活しやすい環境がちょうど居心地がよく、大阪や京都、神戸などや、関西空港から全国各地へのアクセスもいいです。今いっしょに働いている同期は7人いるのですが、全員が和歌山出身者です。他府県の大学に進学したけれど、Uターン就職していますね。皆、地元・和歌山を愛しているんだなって思います(笑)。

 

薬剤部に務めるご主人と、育児の分担はされていますか?

子どもは院内の「あすなろ保育園」にお世話になっているので、朝は3人で通勤・通園していて楽しいです。時短勤務は私だけなので、基本的な育児は私が担当しています。

 

夫はがんを専門とする薬剤師を目指していて、認定資格などを取ろうと学会や勉強会に行って、すごく頑張っています。自分自身の薬剤師としてのキャリアアップも大事なのは分かっているのですが、今は、子どもの成長を近くで見ることや夫のサポートもしていきたいので、バランスを考えています。自分の両親も家にいることが多かったので、同じように育てたいと思っているのかもしれません。小学校に入るまでは時短勤務ができるので、それまで時短勤務させてもらいたいと希望しています。

 

子育てと家事をしながら職場に復帰するのは不安ではなかったですか?

保育園にすごく助けられています。なかなか保育園が決まらない、受け入れてもらえないと聞きますが、「あすなろ保育園」はすぐ受け入れてくれました。慣らし保育の期間も短いのに、ノウハウがあるのか子どももすぐに慣れて、仕事の復帰がスムーズでした。親が働くことを第一に考えて、環境を整えてくれているのが何よりですね。それに、裁縫などして特別な物を作ることもありませんでした。たまに研修や会議で迎えに行くのが遅くなっても預かっていてもらえるので、助かります。まさに、働く親とその子どものための保育園です!

 

 

産休と育休で休んだのは約2年です。さすがに2年も休むと、システムや医薬品がアップデートされていて、知らないことが多くて戸惑いました。それに、薬剤部では育休から復帰するという前例も少なかったので、皆が気を使ってくれるのですが、ずっと働いていた人と同じように仕事できると思われていたことが辛かった時期もありました。何より、私自身が何を分からないのかが分からないという状態でした。

 

しばらくして、このまま分からないことを隠していてもダメだと思って、自分から恥ずかしがらずに質問して部署の現状を把握するようにしたり、私の分かっていない状況を分かってもらうようにしました。育休から復帰する人がこれから何人もいるので、私が前例として育休復帰時にフォローアップできる環境を整えていけたらと思います。

 

休んだことで同期の人たちと差を感じることはありますか?

それは、もちろんあります。同期は先に行ってしまっているなと思います。でも、それは休んだのだから当然で、これから追いつくために自分がどうしていくかが大切だと肝に銘じています。ただ、子どもを優先する生活がこれからも続くと思いますし、スキルアップしていく道を歩むのは、今は難しいかもしれないと感じています。まずは、患者さんに迷惑をかけないように、役に立ったと思っていただけるように、与えられた仕事をきちんとすることを心がけて、頑張っていきたいと思います。

 

 

これから後輩となる薬剤師さんに向けてメッセージをお願いします

日赤和歌山医療センターは、産休や育休の制度、院内保育園、病児保育室など働く環境を整った職場なので、女性としてライフステージが変わっても働きやすいです。私も復帰したときは、自分がやるべきこと、覚えることが多いときに子どもの病気と重なったりして、しんどく感じた時期もありましたが、周囲に相談したり、手助けしてもらえるよう巻き込んで乗り切ってきました。

 

自分から声を上げれば、周囲は分かってくれます。何でも一人で抱え込んで無理をしすぎず、自分はどうしたいのかを考えながら、生活と仕事のバランスを取っていってほしいですね。

 

 

星田 紗知(ほしだ さち)

2013年就職。薬剤師。2才の男児を育児中。

モットーは、常に患者さんに笑顔で接し、薬剤師として真摯に向き合い続けること。

 

 

 

 

「和歌山で働く 日赤で働く」では、様々な職種のスタッフの働きぶりを紹介しています。

一覧はこちら

 

 

詳しくはこちら

日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

Share

この記事を気に入ったならシェアしよう!