海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。

日赤の国際活動で求められる職種

2022/07/16

国際活動で活躍する職種には、どのようなものがあるでしょうか?

 

「国際医療救援活動」という言葉から、医師や看護師が派遣されているのだろうなと想像される方も多いと思います。医師や看護師らが派遣されることはもちろんですが、国際活動の実際の現場で活躍する職種、また、求められる役割は多岐に渡ります。

 

日赤の国際活動のひとつに、緊急対応ユニット(ERU:Emergency Response Unit、以下、ERU)の展開があります。ERUは、大規模な災害等が発生した際に、赤十字迅速な災害救援活動を可能にするためのツールのひとつで、訓練された人員と災害救援に必要な資機材から構成されます。

 

日本赤十字社は2021年に、被災地への航空輸送・緊急展開が可能な野外病院(病院型緊急対応ユニット:病院ERU。以下、病院ERU)を整備しました。

その病院ERUを運営するための組織図がこちらです。

 

 

病院ERUは、日本赤十字社から派遣される国際要員と他国の赤十字社(姉妹社といいます)から派遣される要員、現地スタッフが中心となって運営されます。

医療職ではない専門的分野(電力供給など)については、社外の技術協力を得られるように調整も進めています。

 

病院ERUは、重症患者さんを治療するための手術室や集中治療室(ICU)、入院のための病床、分娩室等も完備しています。大規模災害や長引く紛争などによって、地元の医療施設が被災し機能しなくなった地域で、重傷を負ったり、緊急手術を必要としたりする患者さんへの二次医療の提供を目的としているため、様々な設備や機能を活用するには多くの人手が必要で、その職種も幅広く登用しています。

 

組織図にあるように、看護師は、外来・トリアージ、病棟、手術室と担当が分かれています。また、医師も、内科・小児科、外科、産婦人科、麻酔科の専門医が必要とされています。医療職では他に、助産師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、臨床工学技士(医療機器管理)のポジションがあります。

 

 

事務職は管理要員と呼ばれます。管理要員の業務は、一般的な病院運営における事務業務と同じものも多く、具体的には、人事、会計、設備管理(宿舎、給食、洗濯、清掃など)、総務などがあります。

 

 

要員の構成によっては、診療放射線技師や臨床検査技師などが、管理要員としての任務に就くこともあります。また、給水、衛生、廃棄物処理、電力供給などの業務には、技術要員といわれる要員が派遣されます。

他にも、心理社会的支援(PSS)を担当する要員もいます。

 

派遣回数を重ね、また、普段の勤務経験も重ねてくると、派遣先の病院運営や事業の管理者として、多種多様な部門や組織との交渉、事業の計画・立案や評価、人事調整などを行うこともあります。これまでも、助産師や看護師、診療放射線技師などの医療資格を持つ要員や管理要員が、管理者としての業務を行っています。

 

当医療センターからも、看護師や診療放射線技師、臨床検査技師が、管理者や管理要員として派遣され、活躍してきました。

それぞれの現地での活動の様子は、これまでの記事 南スーダン戦傷外科病院での活動 赤十字の復興支援』『臨床検査技師 in バングラデシュからお読みいただけます。

 

病院事業管理者として活動する看護師(前列左から2人目、パキスタン・ペシャワール)

 

このように、国際活動の現場では、色々な職種が求められます。

 

普段の業務で培われる社会人としての経験も、多様な価値観の中で協働する国際活動では必ず活きてきます。国際活動を目指すにあたって、「畑違い」といわれるような経験はありません。

 

国際要員への登録にご興味のある方は、ぜひ、こちら国際救援・開発協力要員になるにはを覗いてみてください。

 

 

日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部

 

「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!

詳しくはこちら

日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

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