生まれる、成長する、学ぶ、悩む、暮らす、産む、寄り添う、過ごす、老いる…。 どんなときも 自分らしく、そして 健康に生活するために、産婦人科医から 身体のこと、体調のこと、病気のこと、予防や対策などをお伝えします。

緊急避妊薬

2025/06/24

思春期から老年期まで全ての女性へ向けて、産婦人科医で女性ヘルスケア専門医の山西恵医師に、女性特有のからだの不調や病気のことを伺います。

毎日の生活をもっと元気に、豊かに! 一緒に学んでいきましょう。

 

避妊は、望まない妊娠を防ぐための手段です。前回の記事「避妊(必要性と方法)では体や生活を守り、子どもが欲しい時に安心して妊娠・出産できるよう正しい避妊方法を知ることが大切とのお話をしました。

 

今回の記事は「もし、避妊に失敗してしまった時は」をテーマに、緊急避妊薬(アフターピル)の使用についてお伝えしていきます。

 

緊急避妊(アフターピル)とは

前回、避妊法についてお話しましたが、避妊していたはずなのにコンドームが破れたり外れてしまったり、うっかりピルを飲み忘れてしまったり・・・、他にも、避妊なしの性行為や性暴力被害など、思いがけない形で性行為が行われてしまうことがあります。

 

緊急避妊(アフターピル)とは、そんな「もしも」のときに“性交後に”使用する、妊娠を防ぐための方法や薬剤のことです。

薬をのむことで、排卵を遅らせたり、子宮内の環境を妊娠しにくい状態にしたりすることで、妊娠を防ぎます。事前に準備していなかった人にも使えるのが特徴です。

 

 

現在、日本で一般的に使われているのは、レボノルゲストレルという成分を含んだ錠剤です。性交後72時間以内に内服すると高確率で妊娠を防ぐことができます。ただし、時間が経つほど効果が下がるため、早めの対応が大切です。

他にも、性交後に子宮に小さい避妊器具を挿入することにより緊急避妊する方法もあります。

 

避妊率は、どのくらい?

レボノルゲストレル内服による避妊率は、9割前後(性交後から内服までの時間によります)とされていて、100%ではありません。

 

また、内服後の性交により妊娠することもあるので、次の月経が確認できるまでは、確実な避妊方法を選択する必要があります。レボノルゲストレル内服後は、7日以内に出血が起こる場合があります。その後の月経は、早まったり遅れたりすることがありますが、その月経が予定より7日以上遅れる場合は、妊娠の可能性があります。

 

「月経と思っていたけど、いつもとは違う」や「お腹が痛い」などの症状がある場合は、妊娠の確認のため、医療機関を受診するようにしましょう。

 

 

レボノルゲストレル内服による緊急避妊を繰り返すと、不正出血などの副作用の可能性が高まるだけでなく、経口避妊薬の継続投与に比べ妊娠率が高くなると言われており、注意が必要です。

 

自分の体を守るためにも、継続した事前の避妊計画が大切です。

もし、レボノルゲストレルを内服しても避妊できなかった場合、そして、妊娠を継続する気持ちがある場合に、赤ちゃんへの影響が心配になることもあると思います。レボノルゲストレル内服によって、赤ちゃんに影響は与えないと言われていますので、心配はいりません。

 

気軽な使用を懸念する声も?

「若い子が気軽に使ってしまうのでは?」という声もありますが、実際は逆です。

望まない妊娠を防ぐため、性暴力の被害にあったときに、助けになる選択肢があることが、むしろ命と心を守ることにつながります。

薬を使うこと自体に罪悪感を持つ必要はありません。自分の体と人生を大切にするための、大切な手段です。

 

 

緊急避妊薬の今後は?

最近では、日本でも、指定された薬局で医師の処方なしに手に入れることができる試みが始まっています。ただし、海外に比べて価格が高かったり、地方では取り扱っている場所が少ないなど、まだまだ課題が多くあります。

 

20246月に、製薬会社がレボノルゲストレルを薬局で購入できる市販薬として承認申請をしたこともあり、今後の動向に注目が集まっています。

 

日本では、性教育の拡充も含め、課題が多いとされていますが、女性が安心して自分の体を守る選択ができる社会を目指すことが、これからのテーマです。

 

 

さて、次回は子宮内黄体ホルモン放出システム「ミレーナ®」についてお話しします。

避妊や過多月経の治療に使われます。ミレーナに関心のある人は、ぜひ、次の記事もご覧ください。

 

 

山西 (やまにし めぐみ)

日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医。

学生時代はバレーボールを楽しみましたが、現在は育児と肩の痛みで鑑賞専門です。健康管理の大切さを身に沁みて実感しているため、いつかバレーボールを思い切りプレーできる日を夢見て、体力づくりをしていきたいです。

悩める患者さんやご家族のご希望に寄り添った診療を心がけています。すこやかな日常が送れるようサポートしていきたいと考えています。気軽にご相談ください。

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