生まれる、成長する、学ぶ、悩む、暮らす、産む、寄り添う、過ごす、老いる…。 どんなときも 自分らしく、そして 健康に生活するために、産婦人科医から 身体のこと、体調のこと、病気のこと、予防や対策などをお伝えします。

避妊(必要性と方法)

2025/05/27

思春期から老年期まで全ての女性へ向けて、産婦人科医で女性ヘルスケア専門医の山西恵医師に、女性特有のからだの不調や病気のことを伺います。

毎日の生活をもっと元気に、豊かに! 一緒に学んでいきましょう。

 

避妊は、望まない妊娠を防ぐための大切な手段です。

けれど、それだけではありません。正しい知識を持つことは、今の自分の体と生活を守るだけでなく、「子供を産みたい」と思ったときに、安心して妊娠・出産できる未来にもつながります。

 

 

避妊と聞くと、妊娠を「避ける」ことに目が向きがちですが、実はその先にある”妊娠を望むときに妊娠する”ための準備でもあります。

 

妊娠は、性交渉の延長線上にある自然な生理現象です

だからこそ、妊娠のタイミングを自分たちで選ぶことは、自分の人生を主体的に設計することにつながります。

 

また、避妊を考えることは、パートナーへの思いやりや、自分の体への理解を深めるきっかけにもなります。

 

 

避妊をせずに性交渉をした場合、妊娠する可能性は常にあります。

初めての1回でも、数回目でも、タイミングによっては妊娠につながるかも知れません。

予期しない妊娠は、心や体に大きな負担を与えることがあります。将来の妊娠・出産にも影響を与える可能性があるからこそ、今、避妊について考えることが、とても大切なのです。

 

 

避妊方法はいろいろ。自分に合った方法を選びましょう。

 

 

注1:CDC(米国疾病予防管理センター)発表資料から作成
注2:妊娠率(失敗率)とは、1年間でその避妊法を使い続けた場合に妊娠する確率を表しています。

 

 

●子宮内避妊システム(ミレーナ)

子宮内に黄体ホルモンが付加された小さな器具を挿入することで避妊効果を得る方法。避妊効果が長期間持続し、月経量が減ったり、月経痛が和らいだりするなどの治療効果も期待できます。5年で交換が必要です。

医療機関で器具を装着をする際に、痛みや不快感を感じることがあります。装着後、しばらくの間、不正出血を生じたり、軽い腹痛が生じることがあったり、装着した後に器具がずれたり脱落することがあります。

 

●経口避妊薬(ピル)

女性が自ら服用することで避妊効果を得られる方法。飲み忘れや飲み合わせに注意すれば、非常に高い避妊効果があります。また、月経の周期を整えたり、月経痛を軽減したりと、女性の生活をより快適にする利点もあります。

定期的な服用が必要です。

吐き気、頭痛、乳房の張り、不正出血などの軽い副作用がみられることがあり、ごくまれに血栓症が生じることがあります。

 

●男性コンドーム

もっとも身近な避妊方法です。

医療機関を受診せずに購入でき、性感染症の予防にも有効です。

正しく使わないと避妊効果が下がってしまうため、正しい装着方法を知ることが大切です。また、男性の協力が不可欠であるため、女性が自分でコントロールするのが難しい面もあります。

 

 

「デュアルプロテクション(二重の防御)」がおすすめです

妊娠を確実に防ぎたい場合には、2つの方法を組み合わせることが効果的です。

 

 

たとえば、コンドームとピル、または子宮内避妊器具を併用することで、妊娠の可能性をより低く抑えられます。

 

また、コンドームは唯一の性感染症予防法です。

 

コンドームと効果の高い避妊法を組み合わせることで、失敗率は極めて低くなり、性感染症予防にもつながります。

 

妊娠するのは女性の体であることを考えると、女性自身が避妊の主導権を持つことがとても大切です。パートナーと話し合い、自分に合った方法を選びましょう。

 

 

さて、次回は「避妊に失敗してしまったときの緊急避妊薬」についてお届けします。

ぜひ、知識として知っておいてほしいと思っています。

 

 

山西 (やまにし めぐみ)

日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医。

学生時代はバレーボールを楽しみましたが、現在は育児と肩の痛みで鑑賞専門です。健康管理の大切さを身に沁みて実感しているため、いつかバレーボールを思い切りプレーできる日を夢見て、体力づくりをしていきたいです。

悩める患者さんやご家族のご希望に寄り添った診療を心がけています。すこやかな日常が送れるようサポートしていきたいと考えています。気軽にご相談ください。

 

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