海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。

赤十字の復興支援

2019/10/19

死者22万人、被災者2万人。2004年12月に発生したスマトラ島沖地震・津波災害の被害者数です(各国政府などの発表を集計)。

 

この地震では、インドネシアに隣接するインド、スリランカ、タイなども津波の被害を受け、広い地域で多くの人に被害がありました。

 

この未曾有の大災害に各国の赤十字社・赤新月社から支援がおこなわれました。日本赤十字社は2004年から2010年まで、延105人の要員を派遣しました。

 

私は、発災直後にインドネシアに緊急救援で出動し、その半年後と3年後に計1年間スリランカに復興支援で派遣されました。

 

今回は、赤十字の復興支援についてご紹介します。

 

緊急救援は、災害や紛争等で被災した現地医療機関の活動を補い、感染症が広がらないように予防接種を行うなど、最も支援を必要とする被災者を救うことに全力を注ぎます。そして、発災4ヶ月後ごろから復興支援へと引き継がれます。

 

スリランカでの復興支援を例に挙げ、説明します。

 

インドネシア沖で発生した津波被害のため家屋が倒壊したことにより、安全な地域への住宅建設や、赤十字活動を行う必要があり、世界各地からの救助要員が参集し拠点として活動する支部の建設などを行います。

 

スリランカ赤十字社ガンパハ支部

 

支援が入るまでは、現地赤十字の支部長の家の一室を活動の場としていたため、手狭で十分な活動ができませんでした。

 

この建物を拠点として、赤十字救急法の開催やボランティアの育成、救援物資の備蓄倉庫などに使用し、現地赤十字職員の誇りとなっています。

 

また、住宅建設など「箱もの」だけではなく、被災地が災害から立ち直り、以前の生活を取り戻せるように支援し、ソフト面でも援助していき、保健衛生や暮らしを立てていく知識を地域に根付かせるのが私たち赤十字の活動です。

 

住宅の引き渡しの場面

 

津波の被害にあった様々な地域から移住してきた住民同士のため、はじめは交流も少なく、近所の助け合いもない状態でした。現地赤十字職員が協力し、こども会の結成やスポーツ大会の開催などを通じてコミュニティづくりの支援を行いました。

 

他には、家や家族を津波で流された被災者へのこころの傷に寄り添う事業、元は漁師だったが津波のために内陸に住むことを余儀なくされた人たちへ職業訓練を行う事業、現地赤十字の機能強化事業などがありました。

 

服飾関係の工場が多いスリランカで就職しやすいように、職をなくした被災者に裁縫教室を開いている様子

 

復興支援は数年で終了しますが、被災者の生活は続きます。

 

われわれの支援が終わっても、赤十字の活動が継続できる環境を整えること、それも復興支援の大切な活動です。

 

 

    日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部    

 

 

「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!

 

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