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海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。
2024/05/18
日本赤十字社(以下、日赤)の国際医療救援活動のなかには、緊急対応ユニット(Emergency Response Unit、以下ERU)があります。ERUは国際赤十字・赤新月社連盟の災害対応ツールの1つで、緊急事態・大規模災害発生時に備え、いつでも出動可能な専門家(人材)と、速やかに医療や給水衛生活動などが開始できる資機材をセットにしたチームのことです。
日赤は現在、2種類のERUを保有しています。
① 診療所ERU(Emergency Clinic)
3万人程度を対象に、緊急時の予防・治療・地域保健などの医療サービスを提供。経過観察用ベッドや携帯式レントゲンを備え、小規模手術にも対応します。そのほかに、母子保健やこころのケア活動、被災した現地医療体制のサポートなどを行います。資機材を展開後1ヵ月間は、テントや浄水設備、発電機などを駆使して、自己完結型のチームとして活動できます。
② 病院ERU(Emergency Hospital)
対象地域人口25万人に対し、救命・四肢外傷による後遺症を最小限にするための外科的対応(入院を伴う手術や処置、産科対応など)に加え、入院加療が必要な内科疾患の対応等を含む総合医療を提供します。24時間の患者受け入れを行うとともに、重症患者さんを治療するための手術室や集中治療室(ICU)、入院病棟、分娩室等を完備。入院患者さんへ食事を提供するためのキッチンやランドリーも備えています。
診療所ERUは、2017年にバングラデシュへ出動し、当医療センターからは職員(医師、助産師、看護師、薬剤師、臨床検査技師)延11名を派遣しました。2024年4月現在、病院ERUの出動はまだありませんが、日赤職員を他国の赤十字社が展開する病院ERUへ派遣したことがあり、当医療センターからも薬剤師を派遣しました。詳しくは、下記の記事をご覧ください。
ハイチ地震の緊急救援に参加して(2022年1月15日公開)
また、ERU資機材は、国内災害でも活用しています。令和6年能登半島地震では、断水が続く被災地で、診療所ERU資機材の一部を用いて給水衛生支援を行いました。
近年、日赤ERUの出動は減少傾向にあります。被災国での安全管理や使用言語が派遣に際して壁となることもありますが、各国の災害対応能力が向上していることも背景の1つといえます。
災害対応能力向上により、日赤ERUの出動機会が減少するのは喜ばしいことですが、気候変動などで激甚災害が世界中で増加している今、迅速な対応のために、資機材のメンテナンス、要員の訓練・スキルアップを行い、緊急派遣に備えています。
日本赤十字社の職員として、国際要員になるための研修体系について興味がある方は、下記のサイトもご参照ください。
日本赤十字社ウェブサイト(https://www.jrc.or.jp/)
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日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部
「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!