海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。

国際要員登録研修を終えて

2024/07/20

日本赤十字社(以下、日赤)の国際医療救援に携わるには、国際要員登録研修と呼ばれる様々な研修を修了しなければなりません。

私は、2023年10月8日〜13日の6日間、兵庫県で『保健医療ERU研修』を受講し、2024年2月5日〜9日の5日間、湘南で『国際救援・開発協力要員研修Ⅱ(IMPACT)』に参加したので、ご報告します。

 

Emergency Response Unit(以下、ERU)とは、大規模災害や紛争などによる難民発生などの緊急事態や大規模な災害発生時に備え、いつでも出動可能な専門家と、すぐに医療や給水衛生活動を提供する標準化された資機材をセットにしたチームを指します。

 

展開した病院ERUの資機材と参加者たち

 

ERU研修は、海外7ヵ国の赤十字社から参加者が来ていて、座学やグループワーク、演習を通して、保健医療ERUを運営し、最良の保健医療支援活動を行うために必要な知識や技術を学びました。

 

訓練で展開したERUの病棟

 

実際に病院ERU資機材を展開し、模擬患者の対応やインシデントなどのシミュレーション演習が行われたため、より緊迫感のある状況を体験できました。

印象的だったことは、医療職、管理要員やロジスティクス、現地スタッフや通訳などの様々な職種のスタッフが協働してERU運営を行うことで、『1つのチーム』となっていたと実感できたことでした。

 

ERU セキュリティミーティング

 

IMPACTでは、赤十字の7原則(人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性)に基づき、多文化理解や現地での行動規範などについて、ケーススタディ、グループワーク、ロールプレイを通じて学びを深めました。ここでも海外赤十字から7人が参加し、グループワークを中心に学びました。

 

IMPACTの講義風景

 

ERU研修、IMPACTともに、国際救援要員登録に必要な研修であり、海外からの参加者もいるため、全て英語で実施されます。そのため、ディスカッション等では、状況が理解できず混乱したり、自分の意見をしっかり言語化できず、グループのメンバーに助けられたりすることが多々ありました。お互いを尊重し、助け合えるメンバーに恵まれて、なんとか研修を終了することができました。

 

IMPACT研修 (各国赤十字社を支援する連盟・ICRCの役割と機能の分類)

 

海外からの参加者は、研修期間中でも、早朝から散歩に出かけたり、研修施設での生活の中でも、ユーモアのある言動が印象的でした。研修中、アフガニスタンからの参加者と話す機会がありましたが、家族写真や普段も着用している伝統的衣装などの写真や、突然の家族とのビデオ通話などを交えながらの紹介は、アフガニスタンの印象をガラリと変えた出来事でした。

 

両方の研修を終え、「次は、国際救援の現場で会いましょう」との言葉をいただいたことが、とても心に残っています。世界のどこでも、必要とされる場所に、必要な支援が届けられるよう、自分がその一助となれるよう、今後も、日々、自己研鑽を続けていきたいと思います。

 

 

 

日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部

 

 

「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!

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