最新の情報などHotなニュースから気持ちが和らぐほっとする話題まで日赤和歌山からお届けします。
海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。
2024/01/20
2023年2月6日午前4時17分(日本時間10時17分)、トルコ南東部のシリア国境付近を震源とする、マグニチュード7.8の地震が発生しました。
その後、マグニチュード7.5の大きな揺れを含む30,000回を超える余震が観測され、度重なる揺れにより、50万棟以上の建物が崩壊しました。多くの住民が瓦礫の下敷きになり、この地震の影響で亡くなられた方は、トルコとシリアで合わせて約60,000人と言われています。
初めてこの地震のニュースを目にしたとき、「え? 中東地域で地震?」という驚きを隠せませんでした。そして、時間を経るごとに増えていく死者数に、「一体どうなってしまうのだろう…」と恐怖を覚えたことを、今でも鮮明に覚えています。
1995年、あの阪神淡路大震災が起こった年の冬、当時、高校生だった私は、家族とともに神戸にいました。まさか、自分の住んでいる地域であのようなことが起こるとは!
今回の派遣では、「たとえ元々の環境が大きく異なっていても、人間の感情は洋の東西を問わないんだなぁ…」ということを強く感じました。
私が、阪神淡路大震災で感じた思いを彼らも同じように持っていました。
そして、もはや言葉は必要ありませんでした。
私は今回、フィンランド赤十字社の緊急医療救援チームの一員として、シリア北部に位置するラタキアを中心に巡回診療の支援を行ってきました。
巡回診療とは、「医療者が車両で地域に出向き、空きスペースなどで一時的に診療所を開設すること」です。患者さんが病院に出向くのではなく、医療者自らが患者さんのもとへ行けるのが、この巡回診療の大きなメリットです。
実は、シリアでは、以前からこの巡回診療が行われていましたが、今回の震災を経験して、「今後の災害に対応できるように、新たな巡回診療チームを作りたい!」ということで、我々が「シリア赤新月社の新設した巡回診療チーム」を支えることになりました。
医療物資全般の調達・供給・管理を行う「メディカルロジスティクス」として活動しましたが、振り返れば、医薬品をはじめとする物品の入手困難、災害医療の経験がない現地メンバーたち、シリア赤新月社の慣習と、困難の多い2ヵ月半でしたが、周囲に支えられて何とか活動を終え、帰国の途に着くことができました。
中東情勢が緊迫している今、多くの一般市民が犠牲となり、また、避難先での過酷な生活環境で必死に命を繋いでいます。
一刻も早く、この状況が快方に向かうことを願ってやみません。
日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部
「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!