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海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。
2023/03/18
保健医療ERU(Emergency Response Unit:緊急対応ユニット)研修(以下、ERU研修)と、国際救援・開発協力要員研修II(以下、IMPACT)に参加してきたので、所感を含めてその内容を紹介します。
これらの研修は、新型コロナウイルス感染症拡大以降、集合型での実施が延期になっていたため、今回が数年ぶりの開催でした。令和4年度のERU研修は2022年11月に熊本にて、IMPACTは2023年1月に湘南にて、それぞれ5日間のカリキュラムで行われました。
ERU研修では、災害時などの有事において、その地域に医療を届ける際に必要なことを、座学だけでなく、実際の現場を想定してグループワークを行います。
被災地で診療を行うためのテントを受講者達で造設し、日本赤十字広島看護大学の看護学生さん達を被災地の患者さんや住民に見立てて、テント型診療所の運営シミュレーションを行いましたが、普段の病院勤務をはじめ、これまでの人生経験の中では体験したことがないシチュエーションだらけで、とても衝撃的でした。
IMPACTでは、赤十字の7つの基本原則である人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性を中核として、人道支援とは何か?からスタートして学び、それを実践するにあたって必要な考えや行為について学びました。
どちらもグループワーク、主にディスカッションを繰り返して学んでいく形式でした。グループメンバーの構成は、職種は事務職や医療職など様々で、国内からは4~5人、海外からは1~2人で、英語を共通言語としてタスクをこなしていきました。
研修以外でも寝食を共に過ごすことが多く、個人行動に慣れている私にとっては不慣れな共同生活の日々でしたが、幸い同室者もグループメンバーも親切で、お互いに助け合おうとする姿勢があり、研修生活を乗り切ることができました。また、熊本では阿蘇山、湘南では富士山を眺めることができて、研修で疲れた際には綺麗な景色を眺めることで心が洗われました。
普段、病院で産婦人科医として働くなかでは、英語を使って様々な観点から議論を繰り返すことや、そもそも人道とは何かというようなことをじっくり考えるタイミングはなかったので、立ち止まって考え直す貴重な機会となりました。
ERU研修に向けて前日入りした際、熊本城を訪れましたが、地震の爪痕は残りつつも、既存の骨組みは大切に保ちながら新たな耐震構造で強化された天守閣が作られていて、美しい城の光景だけでなく、災害からの復興や防災への取り組みが垣間見られて感慨深かったです。
今年2月に発生したトルコ・シリア地震では、多くの命が失われ、医療を必要とする人々がたくさんいます。救命などの緊急支援はもちろんですが、今後の災害に対する備えにつながるような対応を含めた人道支援を心がけたいと思います。
日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部
「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!