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海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。
2023/01/21
日本赤十字社が行う「国内災害への救護活動」や「海外の被災者に対する国際活動」の中には、心理社会的支援と呼ばれる活動があります。
国内救護では「こころのケア」と呼び、医療救護や救援物資の備蓄・配分などと並ぶ救護業務の1つです(日本赤十字社救護規則)。国際活動では「PSS(Psychosocial Support:サイコソーシャルサポート)」と呼ばれ、被災者が必要とする支援につなげるための手段として、継続的な展開が期待されています。
こころのケア/PSSの基本的な手法に、サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)があります。PFAは心理的応急処置と訳し、国内救護では「こころの救急法」と名付けています。
PFAは、みる(LOOK)・きく(LISTEN)・つなぐ(LINK)という3つのLを基本に、次のことを目的として実践しています。
● 苦しんでいる人の気持ちを和らげ、安心させ、落ち着けるように手助けする
● ニーズや心配事の確認を行う
● さらなる危害からその人を守る
● 心理的な支援を提供する
● 食料、水、毛布、当面の滞在場所など差し迫った基本的ニーズを満たすように手助けする
● その人が情報、サービス、社会的支援を得られるように手助けする
研修を受けた日赤職員やボランティアが、被災地・避難所の様子や被災者の姿・言動・反応をしっかり見て、被災者の言葉に耳を傾け、被災者の苦悩やストレスを受け止めて、必要な情報を提供したり、支援につなげています。
活動名に心理やこころという言葉がありますが、活動内容は心理的な支援に限りません。被災者の心理的な苦痛が、衣食住の基本的なニーズが満たされていないことによるものであれば、安全な避難所や水、食料、毛布などの物資の支援で、心の負担を和らげられる場合もあります。
過去に日赤救護班では、避難所のトイレが清潔であることが被災者の不安軽減につながるという判断から、こころのケア活動の1つとしてトイレ掃除に取り組んだこともありました。
また、こころのケア/PSS活動の対象は、すべての被災者とすべての支援者です。被災地では、被災者が支援者の役割を担って、お互いに助け合いながら生活することも多く、また、外部から訪れた救援者が被災者にも支援が必要になることもあります。
被災時のストレス反応は、異常な出来事に対して起こる正常の反応とされ、危機的状況に対して、様々な時に様々な形で出てきます。すべての人が心理社会的支援を必要とするわけではなく、自分で対処できる人もいます。
日ごろ、自分にとってストレス原因となる事柄(ストレッサー)や起こりやすい反応、また、その対処法について意識されることはあるでしょうか?
自分のストレッサーを認識し、対処方法をいくつか持っておくと、災害などで普段とは異なる環境に身を置かざるを得ないときに、自分を守る一助になるかもしれません。
日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部
「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!