海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。

臨床検査技師 in バングラデシュ

2018/11/17

「3秒に1人、子どもが亡くなっている」という国連援助団体のフレーズが、当時小学生だった私の心を動かしました。

 

何一つ不自由なく、平和な生活を送っている自分に比べ、世界には学校に通うこともできない子どもがたくさんいることに、不平等さや違和感を覚えました。それ以来、将来は何らかの形で国際救援活動に関わりたいと思うようになりました。

 

臨床検査技師を養成する大学を卒業した後は、病院で勤務したいけれど、海外でも活動したい・・・。進路に迷っていた矢先、赤十字病院が国内・国際救援活動に力を入れていることを知りました。「これだ!」と思い、迷わず赤十字病院で働くことを決めました。

 

そうは言っても、派遣までにはいくつかの研修を受講し、海外で活動するための知識を修得する必要があります。同じく国際的な活動をめざしている仲間と語学(主に英語)の勉強会に参加することからはじめました。思うように結果がついてこない時もありましたが、苦手な英語を克服するため第一歩と信じて、仲間と助け合いながら乗り越えました。

就職して6年目が終わろうとした2018年3月、避難民救援事業の管理要員(事業管理)として約6週間、バングラデシュへ派遣される機会をいただきました。当センターからの臨床検査技師の派遣は初めてで、私自身にとっても初派遣です。普段、病院では臨床検査技師として患者さんの病気を見つけるため様々な機器を用いて働いていることからも、管理要員として現地で望まれている役割が務まるのか緊張と不安でいっぱいでした。

 

しかし、現地では不安を口にしていられないほど目まぐるしい毎日で、あっという間に時が過ぎていきました。管理要員は、医師や看護師などのチームが円滑に医療活動をできるよう支援します。

その業務内容は、契約、財務、ホテルや現地国内航空券の手配、要員の安全管理、通信機器の管理、広報など、医療行為を除き多岐に渡ります。私は、主に現地スタッフ(避難民)やバングラデシュ赤新月社スタッフへの日当・月給の支払い、巡回診療や物資調達のための車両や運転手さんの管理などを担当しました。

 

バングラデシュの難民キャンプは大きく、50名近い現地スタッフは勤務の合間に日当を受け取りに来るので、支払いは一日がかりになりました。でも、みんなの名前を覚える良い機会で、現地スタッフと色々話もできました。現地は携帯電話の通信環境が悪く、運転手さん数人に翌日の予定を伝えるだけで30分近くを要することもあり、へとへとになりながらも頑張りました。

日本の当たり前が通用しない現場で活動することは決して容易ではありませんが、嬉しいこともありました。困っているときに手伝ってくれたり気遣ってくれたりと、彼らの優しさに触れ、人が人を想う気持ちは世界共通なのだと思いました。

 

世界には、厳しい環境下での生活を余儀なくされている人がたくさんいます。赤十字の活動を通して、その方々の生活が良くなるようにこれからも活動していきたと思います。

 

 

 

 

「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!

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