小児科医は、子どもが生まれてから、あるいはお母さんのおなかにいるときから子どもと関わり、その後も病気の有無に関わらず「成育」として子どもの成長に関わり続けます。疾患としても神経・心臓・血液・腫瘍・内分泌・アレルギー・新生児疾患など様々な病気を診療します。最近は、子育ての不安を強く抱く母親や、子育てが難しい保護者、虐待など子どもを取り巻く環境は複雑で難しくなってきています。当医療センターの小児科では、病気の診療だけでなく、子どもたち、そして保護者の皆さんが健康で、子どもを取り巻く環境が少しでも良くなることを心がけて診療を行っています。
当医療センターは、明治38年に日本赤十字社和歌山支部病院として発足し、和歌山県で最も伝統のある病院です。また、小児科は、和歌山県で最初に開設(1920年)された病院小児科として、小児医療の中核的役割を担っています。県内初のNICUを有し、未熟児・新生児医療、急性疾患の治療ならびに慢性疾患の継続的医療を通して成育医療を実践しています。院内小・中学校も県下で最初に設置され、これまで数多くの入院児童・生徒が闘病生活を続けながら学んできました。
子どもは、家族のそして地域の宝です。子どもたちの笑顔はみんなに元気を与えてくれます。私たちは子どもたちが健やかに育つことを目指して診療を行います。
当科の目標は、
● 子どもに優しい環境を提供します
● 高度な小児医療を提供します
● 小児救急医療の充実を図ります
● 子育て支援に努めます
● 災害対策に取り組みます
以上の5つを柱に診療を行っています。
役職 | 部長 |
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卒業年 | 1995(平成7)年 |
専門分野 | 内分泌、代謝 |
資格 | 医学博士 日本小児科学会小児科専門医 公認会計士 近畿小児内分泌研究会世話人 |
役職 | 副部長 |
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卒業年 | 1996(平成8)年 |
専門分野 | 新生児、循環器 |
資格 | 日本小児科学会小児科専門医 日本周産期新生児医学会新生児部門暫定指導医 日本周産期新生児医学会NCPR 専門コースインストラクター |
役職 | 副部長 |
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卒業年 | 1998(平成10)年 |
専門分野 | 新生児 |
資格 | 日本小児科学会小児科専門医・指導医 日本周産期・新生児医学会周産期専門医 日本周産期新生児医学会NCPR 専門コースインストラクター |
役職 | 副部長 |
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卒業年 | 2001(平成13)年 |
専門分野 | アレルギー |
資格 | 京都大学医学博士 日本小児科学会小児科専門医・指導医 |
役職 | 副部長 |
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卒業年 | 2003(平成15)年 |
専門分野 | 免疫アレルギー、膠原病 |
資格 | 京都大学医学博士 日本小児科学会小児科専門医・指導医 日本リウマチ学会リウマチ専門医・指導医 日本アレルギー学会アレルギー専門医・指導医(小児科) 日本感染症学会感染症専門医 インフェクションコントロールドクター(ICD) 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医 日本臨床免疫学会免疫療法認定医 日本小児感染症学会小児感染症認定医 近畿小児リウマチ・膠原病研究会(世話人) |
役職 | 副部長 |
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卒業年 | 2005(平成17)年 |
専門分野 | 血液、悪性腫瘍 |
資格 | 日本小児科学会小児科専門医・指導医 日本血液学会血液専門医 |
役職 | 副部長 |
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卒業年 | 2007(平成19)年 |
専門分野 | 新生児 |
資格 | 日本小児科学会小児科専門医・指導医 日本周産期・新生児医学会周産期専門医 |
役職 | 医師 |
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卒業年 | 2014(平成26)年 |
専門分野 | |
資格 | 日本小児科学会小児科専門医 |
役職 | 医師 |
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卒業年 | 2018(平成30)年 |
専門分野 | |
資格 |
役職 | 医師 |
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卒業年 | 2020(令和2)年 |
専門分野 | |
資格 |
役職 | 医師 |
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卒業年 | 2021(令和3)年 |
専門分野 | |
資格 |
役職 | 嘱託 |
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卒業年 | 1982(昭和57)年 |
専門分野 | 感染、免疫、アレルギー、膠原病 |
資格 | 医学博士 日本小児アレルギー学会評議員
日本小児科学会小児科専門医・指導医日本小児科学会代議員 日本アレルギー学会アレルギー専門医 |
役職 | 嘱託 |
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卒業年 | 2001(平成13)年 |
専門分野 | 腎臓・神経 |
資格 | 日本小児科学会小児科専門医・指導医 トリプルPレベル3 ファシリテーター トリプルPステッピングストーンズ ファシリテーター |
役職 | 嘱託 |
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卒業年 | 2002(平成14)年 |
専門分野 | 神経 |
資格 | 日本小児科学会小児科専門医・指導医 日本小児神経学会小児神経専門医 |
役職 | 嘱託 |
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卒業年 | 2005(平成17)年 |
専門分野 | 内分泌、代謝 |
資格 | 日本小児科学会小児科専門医 |
場所 |
本館3階 |
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受付時間 |
新患:8時〜11時30分まで |
区分 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
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ABCD (午前) |
儘田 | 深尾 | 原 | 儘田 | 坂部 |
杉峰 | 坂部 | 横山宏 | 杉峰 | 前田 |
(2023年4月1日~)
※区分
(A:紹介予約 B:当日初診 C:予約再診 D:当日再診)
※都合により変更する場合もありますのでご了承ください。
※赤字の名前は女性医師です。
専門外来 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
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アレルギー外来 | 吉田 (午前・午後) |
- | 杉峰 (午後) |
- | - |
未熟児外来 (午後) |
原 | - | - | 額田 | 池田 |
血液悪性 腫瘍外来 (午後) |
- | 深尾 | - | - | - |
神経外来 (午後) |
- |
横山淳 |
- | - | - |
発達外来 (午後) |
- | - | 井上 藥王 |
深尾 | - |
心臓外来 (午後) |
- | 原 | 原 | 原 | - |
免疫・ アレルギー外来 (午後) |
- |
横山宏 |
- | - | - |
1ヵ月健診 (午後) |
- | - | - | - | 担当医 |
内分泌・
代謝外来
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- | - | - | 儘田 古宮(不定期) |
- |
予防接種 | ★1 池田 |
(2023年4月1日~)
※予約制
※都合により変更する場合もありますのでご了承ください。
※赤字の名前は女性医師です。
★1:当医療センターでフォロー中の患者さんのみ
令和元年度の外来延患者数は、年間13,203人(内、救急患者数 1,560人)、年間新入院患者数は1,035人でした。
令和3年度は新型コロナ感染症の影響で、外来延患者数は年間11,254人(内、救急患者数 1,158人)、年間新入院患者数は771人でした。
当医療センターは、和歌山県アレルギー診療拠点病院として小児アレルギー診療の中心的役割を担っています。アレルギー外来の診療は、アトピー性皮膚炎約10%、気管支喘息約30%、食物アレルギー約60%です。
気管支喘息に対する薬物療法として、軽症持続型以上の症例では、ほぼ全例が抗ロイコトリエン薬内服治療を行い、約40%に吸入ステロイド薬治療を行っています。
最近増加している食物アレルギーについては、食物負荷試験を外来あるいは入院で行います。摂取可能量を決め、その後、家庭と外来で継続的に摂取を続けます。そして、最終的に摂取できるようになる場合も多くみられます。
アナフィラキシーを起こす可能性のある重症な食物アレルギー児に対し、緊急対応としてエピネフリン自己注射を約130人に処方し、救急対応はERで行っています。
当医療センター小児科は、県内では唯一日本リウマチ学会認定専門医である小児科医がいる病院で、2017年9月小児リウマチ中核病院に認定されました。
小児ではまれな疾患である膠原病の内、若年性特発性関節炎は19人(内、7人は全身型)で、8人に生物学的製剤を使用し、良好なコントロールを得ています。
その他の膠原病としては、全身性エリテマトーデスが10人、混合性結合組織病が1人、サルコイドーシスが1人、シェーグレン症候群が1人、抗リン脂質抗体症候群が2人、視神経脊髄炎関連疾患6人、限局性強皮症2人などの疾患の診療を行っています。
また、最近は内科から家族性地中海熱疑い症例の確定診断や分類不能型免疫不全症症例への確定診断、並びに免疫グロブリン補充療法を依頼されることもあります。よくわからない症状・症例でお困りの方は遠慮されずご相談ください。
県下の川崎病症例の約半数を診療しています。最近の5年間では166人に対して治療を行いました。
ガンマグロブリン大量療法を主にした治療を行い、心エコーなどで長期的経過観察を実施しています。ガンマグロブリン不応である難治症例には、ステロイド治療、生物学的製剤であるレミケードによる治療などを行い、さらに血漿交換療法も行う場合もあります。
当医療センターは、県下で初めて小児の在宅人工呼吸療法を実施しました。現在は、さまざまな疾患による慢性呼吸不全を抱える4人に対して在宅人工呼吸療法を継続しています。
令和3年度、当医療センターNICUに入院された新生児は143人で、そのうち1,500g未満の極低出生体重児は7人、1,000g未満の超低出生体重児は8人でした。死亡退院はありませんでした。
気管内挿管での呼吸器を使用したのは37例で、一酸化窒素吸入療法やNO療法や脳低温療法による積極的な救命も行っています。
また、常勤の小児外科医が1名在籍し、先天疾患に対する外科的な対応も可能です。
※当医療センターでの出産には、退院前に、小児科医・小児外科医による診療、聴力検査の他、難病等の有無を調べる新生児マススクリーニング検査に加えて、県内で唯一、オプショナルスクリーニング検査も行っています。
日本小児がん研究グループ(JCCG)の一員として、白血病、リンパ腫などの血液腫瘍、および脳腫瘍や神経芽腫などの固形腫瘍について、標準的な治療プロトコールに従った治療を行っています。固形腫瘍に対しては、小児科医と小児外科医が協力して、適切な時期に生検や腫瘍摘出を行うことが可能です。
最近3年間の新規治療例は、急性白血病6例、リンパ腫2例、脳腫瘍1例、神経芽腫2例、その他の固形腫瘍4例などです。
造血幹細胞移植が必要な症例に対しては、血液内科と協力したり、京都大学医学部附属病院などに転院したりして造血細胞移植を施行しています。また、当科ではこれまで6人に対して、自家末梢血幹細胞移植を施行しました。
その他、血友病などの非腫瘍性疾患についても標準的な治療を行っています。
発育異常外来に登録されている患者さん2,600人のうち、低身長症が約半数を占めます。
内分泌・代謝外来では、体重増加不良を含む低身長症がもっとも多く、その他には思春期発育の異常、甲状腺の疾患、肥満、糖尿病、骨系統疾患、副腎疾患、代謝疾患などがあります。
当医療センターでは、成長ホルモン治療を行っており、対象患者さんは成長ホルモン分泌不全性低身長、ターナー症候群、プラダ—ウィリー症候群、軟骨無形成症などです。成長ホルモン分泌負荷試験は入院検査だけでなく外来検査も可能です。儘田(男性医師)と古宮(女性医師)が担当しています。
京都大学小児科からの非常勤医師が外来診療を行っています。現在、約250人のてんかん症例を加療中です。年間約300人に脳波検査を行っています。ビデオモニタリングシステムの導入により、発作時脳波の検索が可能です。
ネフローゼ症候群、IgA腎症などの疾患の治療を行っています。
先天性心疾患、不整脈、学校心臓健診、川崎病フォローなどを行っています。胎児期、新生児期に診断された先天性心疾患に関して、近隣の専門医療機関と連携を取り、必要に応じて紹介しています。
近年、増加している虐待に対する対応を積極的に行っています。また、子育てに困難を抱える家庭に対して発達相談、育児支援などを行うことで、虐待を未然に防ぐ取り組みを行っています。また、小児専門の臨床心理士によるカウンセリングや発達検査を行っています。
小児科病棟では、院内保育士が常勤し、入院して不安のある子どもたちに、少しでも不安を少なくし、楽しめる環境づくりをしています。
平成24年5月に、ソロプチミスト和歌山さんから40周年記念として、動物たちをモチーフに木製のモニュメントをいただきました。とても立派で温かみのあるモニュメントです。何匹の動物たちがお迎えしているのでしょうか?数えてください。
子どもたちが、遊んだりくつろいだりする場所としてプレイルームを設けています。遊具やビデオで楽しんでください。
プレイルームから出ると、そこには空中庭園が広がります。和歌山城から和歌浦まで一望できる東向きの空中庭園です。
12月にはイルミネーションが皆さんをお迎えします。
病棟では、節分、こどもの日、七夕祭り、夏祭り、クリスマス会など皆様に楽しんでいただこうと催し物を開いています。一緒に楽しんでください。
※ 現在、新型コロナウイルス感染症に配慮して、実施方法を工夫しています。
外来は、診察の待ち時間に遊べる、プレイルームを設けています。また授乳室などお母さんにも優しい小児科外来を目指しています。
1次から3次救急を行い、夜間・休日では平成19年に開設された和歌山北部小児救急医療ネットワーク “すこやかキッズ”における2次3次救急医療を担当し、和歌山の小児救急医療に携わっています。
平日は午後5時30分から午後8時まで、土曜日は午前10時から午後6時まで救急外来(ER)で時間外診療を行っています。連絡をしていただき、受診くださいますようお願いします。
診療所からのご紹介は、上記以外でも可能な限り対応していますので、ご連絡ください。
育児をとおして子どもは喜びや感動を与えてくれます。しかしそこに至るまでに労力がいることも事実です。当科では疾患や障害に対する診療の中で、疾患や障害をもった子どもを育てている家族を支援し、ともに悩み、ともに喜ぶ医療を目指しています。また、疾患や障害はなくても育児に悩み奮闘される家庭のサポートにも力を入れています。これらの活動は、医療機関だけでなく地域での連携が重要であり、他の医療機関・保健福祉施設・教育施設などと連携をしながら支援を行っています。
また、若い小児科医師に対して、さまざまな育児環境において適切な支援ができるように研修を行っています。
平成22年8月から、保健所、他の医療機関、児童相談所、県難病センター、教育機関、民間団体など子どもに関わる人たちと連携を深めようと、子育て支援を考える会を開催しています。平成28年2月までに25回開催し、平成28年6月からは「ノベルテの会」と改称し活動を継続しております。
いつ来るかもしれない大災害に対し、当科では備えを心がけています。
当科ではたくさんの基礎疾患を持つ子どもが通院されています。大災害時には来院できずに薬がなくなったり、電源などのライフラインが止まってしまうことも起こり、生命を脅かす事態が起こることも予想されます。
その時に備え、普段からの備えとして、お薬を多めに処方しておくことや、非常電源などの準備を説明し、一緒に取り組んでいます。もちろん、どのような災害が起こるかもしれませんし、すべて準備できるものではないかもしれませんが、やはりできることから始め、そして心の準備をしていくことが大切です。一緒に考えて備えましょう。