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消化管ユニット


コンセプト・特色

コンセプト

消化器内科医、消化管外科医、放射線治療医、腫瘍内科医、肝胆膵外科医等からなるチームで個々の患者さんに合った治療方針を検討し、患者さんの意向を伺いながら最適な治療を提供します。

特色

ユニット内の複数の専門医が患者さんの治療方針について迅速に協議できるシステムを導入しており、治療方針決定後はそれぞれの専門医が最先端の医療技術を持って治療にあたります。

 外来担当医表については、こちらをご覧ください。消化器内科消化器外科放射線治療腫瘍内科
  

対象疾患(上部)

対象疾患(上部)

  • 上部消化管腫瘍
    (食道・胃・十二指腸がん、またはその疑い、他の悪性腫瘍を含む腫瘤性病変)

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治療の特色

内視鏡治療

精度の高い診断・治療を施行するために、上部消化管内視鏡では最高画質・最新の拡大内視鏡装置を使用しています。

転移のない早期がんに対する内視鏡治療ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を早期より導入し、積極的に実施しています。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は、食道や胃、腸を外科的手術で大きく切除することなく内視鏡を用いてがん部の粘膜層を切除します。入院期間が1週間程度であること、体の表面に手術の傷が残らないことが患者さんに喜ばれています。また、外科手術と異なり消化管を切除しないので、従来通りの食生活が保たれる点も大きな特徴です。

外科治療

2018年の当医療センターの胃がんの手術数は近畿第3位で、ほとんどすべての胃がん・食道がんに対して内視鏡手術を行っています。胃がん手術の入院期間は9日間程度です。

最新型ダヴィンチXiを用いたロボット手術も積極的に行っています。胃がんロボット手術のメンターサイト(症例見学指定施設)に認定されており、全国的にも指導的な役割を担っています。当医療センターで開発した胃がんの手術方法(噴門側胃切除術後の食道残胃吻合mSOFY法)が広く普及しています。

薬物療法

週1回、ユニット内の腫瘍内科医、内科医、外科医、放射線治療医などが集まって集学的治療カンファレンスを行っています。患者さんそれぞれに沿った抗がん剤投与計画書(レジメン)の選択や効果判定、有害事象への対応などを協議しています。診療ガイドラインに基づき、最適かつエビデンスレベル(医学的信頼性)の高い治療を提案します。

放射線治療

放射線治療は、食道がんにおいて、ごく早期を除くすべての臨床病期(治療前の検査でわかるがんの広がり具合による分類)において治療法の選択肢となります。
進行度や年齢、内臓の働きが良好かどうかなどで医師側からお勧めする治療も変わります。手術と放射線治療では副作用も違ってくるので、副作用を理由に治療方法を決める患者さんもいます。
食道がんでは、多くの場合、薬物療法と組み合わせて放射線治療を行います。胃がんが進行して胃の中で出血している場合は、症状緩和を目的に放射線照射を行うこともあります。
当医療センターでは、放射線治療治療装置や、それを支えるスタッフもレベルが高く、高精度な放射線治療が可能です。


対象疾患(下部)

対象疾患(下部)

  • 下部消化管腫瘍・腫瘤
    (小腸・大腸のがんまたはがんの疑い、他の悪性腫瘍等を含む腫瘤性病変)

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治療の特色

消化管ユニット(下部)では、電子カルテに新設した台帳機能にすべての大腸がん患者さんの情報を登録し、ユニットメンバー全員で情報共有しています。また、集学的治療が必要な症例や内視鏡治療と外科治療の境界領域のがん症例などは、ICT(情報通信技術)を活用してユニット全体で迅速に検討が行えるシステムを構築しています。検討後、すぐに当該専門医の受診をしていただき、患者さんに詳しく説明してご理解を得たうえで治療を開始します。ユニット内の複数の専門医から説明を受けることも可能です。

内視鏡治療

リンパ節転移の可能性がほとんどなく腫瘍が一括切除できる大きさと部位にある病変は、内視鏡治療の適応です。当医療センターには10名を超える消化器内視鏡学会専門医(うち5名は指導医)が在籍しています。消化管粘膜表面に色素を撒布して着色部位を詳しく観察する色素内視鏡観察、光の波長を変換し消化管の粘膜表面の模様や血管の輪郭・色調を強調する画像強調観察、拡大することで表面構造の違いが観察できる拡大内視鏡観察、内視鏡の先に超音波画像装置が装着された内視鏡超音波検査所見等に基づき、適応とされる場合には、積極的に内視鏡的治療ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を行っています。

外科治療

2018年の当医療センターでの大腸がん手術症例は近畿第5位で、ほとんどすべての大腸がんに対して腹腔鏡下手術を行っています。当医療センターには、現在8名の内視鏡外科学会技術認定医が在籍しており、最近では、毎年、技術認定医試験合格者を輩出しています。また、2018年4月より直腸がんに対するロボット支援下手術が保険収載され、積極的にロボット支援下手術も導入しています。

薬物療法

週1回、集学的治療カンファレンスを行っており、ユニット内の腫瘍内科医、内科医、外科医、放射線治療医などが集まって、症例毎にレジメンの選択や効果判定、有害事象への対応などを協議しています。診療ガイドラインに準拠しながら、患者さんに最適かつエビデンスレベルの高い治療を提案します。

放射線治療

下部消化管で、最も放射線治療が使われるのは、直腸がんです。局所進行直腸がんに対しては、局所再発率の低下、肛門温存率の向上を目的に術前化学放射線療法を行います。高精度治療である強度変調放射線治療を用いることで、従来より副作用は軽減されつつあります。当医療センターでの病理学的完全奏効率(手術により摘出した組織をが病理診断によってがん細胞が完全に消失したことが確かめられた状態)は17%です。