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薬物療法


薬物療法とは

現在、社会の高齢化に伴って2人に1人ががんと診断される時代です。一方、がん検診等の普及による早期発見、診断や治療技術の進歩に伴い、がんに罹っても長く生きることができる時代になってきました。

そうしたがんをやっつける治療には、大きく3種類の方法があります。①手術療法、②放射線療法、③薬物療法です。

薬物療法は、手術や放射線による治療と比較すると長期間に及ぶことが多いため、以前は入院で治療を行うことが多かったです。しかし、最近は抗がん剤や副作用に対する薬や支持療法の改良により、入院と同じ治療を外来で安全に行えるようになりました。

また、最近話題の免疫療法も外来で行われています。こうして家事や仕事など普段の生活を続けながら、外来で薬物療法を続けることが可能になり、厚生労働省も治療を受けながら安心して働ける職場づくりを支援しています。



薬物療法センター

がん薬物療法のレジメンを管理し、適正かつ安全にがん薬物療法を実施することを目的に、患者さんのニーズに合わせ関連部署と連携し、最良のがん薬物療法を行います。

薬物療法件数は増加傾向にあり、点滴による治療は年間約12,000件実施しています。薬物療法センターには、くつろいで治療いただけるようテレビなどを備えたベッド12床、リクライニングチェアー8床があり、がん専門薬剤師が常駐しています。


薬物療法におけるチーム医療

医師の役割

医師(主治医)は、ユニットのカンファレンスを通して、チームで個々の患者さんの病状に合った治療法を選び、最終的に本人・家族と相談の上、治療法が決定します。初回の薬物療法は入院で行っていることが多く、医師・患者さんとも副作用をある程度把握した上で、外来治療に移行します。
薬物療法当日は、採血検査や診察を通じて、患者さんの体調を確認した上で、投与実施の可否を判断致します。実施確定後も、治療効果の判定、副作用の状況などを確認しながら、治療法を適宜調整していきます。

看護師の役割

薬物療法センターの看護師は、患者さんが安全・安楽に治療を受けていただけるよう、点滴管理や、アレルギー出現時の早期対応などを実施しています。また、副作用を軽減するための方法や副作用出現時の対応について説明し、患者さんが安心して通院できるようセルフケア支援にも努めています。診察前の問診では、得た情報を各科外来に提供し、情報共有するとともに、がん相談支援センターなどとも連携を取りながら、患者さんがご自宅で安心して過ごすことができるよう支援しています。

薬剤師の役割

通院治療をより安全に行えるよう取り組んでいます。
具体的には、抗がん薬処方内容の確認や患者さんの検査値の確認などを行ったうえで、使用される薬剤の説明や日常生活における注意点の説明を行っています。また、副作用は使用する薬剤や患者さんによって異なるため、患者さん個人に合わせた副作用対策に積極的に関わっています。
がん専門薬剤師をはじめ、がんに関わる資格を持った薬剤師が対応しています。

管理栄養士の役割

通院治療を継続していけるよう患者さんの状態に応じて食事のサポートを行っています。
例えば、味覚の変化、食欲不振、下痢、口内炎、嘔気・嘔吐など、症状に合わせて食べやすい食事の工夫や提案をしています。


薬剤師外来

がんの専門的な知識がある薬剤師が医師と連携を取りながら、経口抗がん剤の治療効果が発揮できるように薬物治療を支援します。

詳細は、こちらをご覧ください。

医師と連携する専門外来(薬剤師外来)


がん薬物療法レジメン

がん薬物療法を受ける患者さんの適切な投薬管理のために、保険薬局の方に向けてがん薬物療法レジメンを掲載しています。
ご不明な点がありましたら、薬剤部まで問い合わせください。
TEL:073-422-4171(代)

【注意事項】
患者さん・一般の方への情報提供を目的としたものではありません。
適切な投薬管理の実践以外を目的とした使用や無断転用は禁止します。
投薬量・投薬スケジュール等は、患者さんの状態によって変更される場合があります。

詳細は、こちらをご覧ください。

薬剤部(保険薬局の方へ)


薬物療法センター流れ

各診療科で採血などの検査後、主治医が治療可能と判断すれば、当日の抗がん剤投与が決定されます。
 

薬物療法センター用の紫色のファイルを受け取り、2Fにある「薬物療法センター」受付にお越しください。
 

受付後、ベッドもしくはリクライニングチェアどちらか選択できます(状況により、ご希望に添えない場合もあります。ご了承ください)。
 

看護師が体調などを伺った後、治療を開始します。

点滴の準備に時間を要する場合があります。ご了承ください。
 

点滴開始後、薬剤師から体調や副作用について説明します。管理栄養士から食事についてのお困りごとをお伺いします。
 

点滴修了後、会計用の黄色いファイルを1階の料金計算センターへお持ちください。精算機でお支払いの後、帰宅となります。

診療科によっては、外来受付で診療内容を確認し、会計用の黄色いファイルをお渡しするところもあります。薬物療法センターの治療の後、他の診療科の受診や検査が追加される場合もあります。

 

Q&A(薬物療法をはじめる前に)

どんな設備がありますか?
リクライニングチェア11台、ベッド6台があり、リラックスした体勢で点滴を受けられます。 トイレは3ヵ所、点滴中に貸し出しできる治療関係の雑誌もあります。ウイッグのサンプルなども自由にご覧いただけるように設置しています。
脱毛の副作用が気になるのですが?
薬剤には、脱毛するもの、しないものがあります。 薬剤については、治療開始時に医師に脱毛についてご相談ください。脱毛する薬剤の場合は、薬物療法センターでもウイッグなどの情報をお伝えしたり、資料をお渡ししています。
感染症が流行している時期でも、付き添いは可能ですか?
感染対策の観点から、病院が付き添いを認めた場合を除いて、薬物療法センター内への付き添いは控えていただいています。薬物療法センターの出入口付近に、待合スペースとしてソファを設置しています。
当日、持参するものはありますか?
リクライニングチェアやベッド1台ずつに、テレビを設置しています。視聴される場合は、イヤホンをご持参ください。南館1階の売店でも販売しています。 水のご提供は行っています。
治療は長時間かかりますか?
受けていただく治療によって、かかる時間は違います。 どのくらい時間を要するかは、外来の診察時に医師や看護師に確認できます。 薬物療法の点滴中は、ゆっくり休まれる方、スマートフォンで動画を観たり、備え付けのテレビを観る方、本をご持参され過ごされる方もいらっしゃいます。
薬物治療中も、お酒は飲んでいいですか?
抗がん剤は肝臓で代謝されるため、なるべく控えてください。飲まれる場合は、たしなむ程度の量にしてください。

Q&A(薬物療法の点滴中は?)

副作用の心配など、相談に乗ってもらえますか?
看護師はもちろん、薬剤師、管理栄養士も薬物療法センターで従事しています。薬や食事の疑問、治療の不安、在宅時の過ごし方、今後の生活についてもご相談ください。
どんな服で行ったらいいですか?
自由な服装でお越しください。特に指定はありませんので、リラックスして点滴を受けていただける服装をおすすめしています。
予約を変更したい時は?
原則として、予約日時はお守りください。万一、変更せざるを得ない場合は、前日までに、各診療科の外来へ連絡してください。当日、予約時間を過ぎた場合も、電話連絡をお願いします。 但し、変更された日程については、ご希望に沿えない場合もあります。予め、ご了承お願いします。
具合が悪くなったとき、どのような対応をしてもらえますか?
点滴を受けられているときは、即時に薬物療法センターの看護師、医師が対応します。
帰宅後に具合が悪くなったら、どうしたら良いですか?

帰宅後に具合が悪くなった場合は、かかられている診療科の外来に連絡していただくか、時間や曜日によっては、救急受診を希望する旨の電話をし受診してください(救急受診時に時間外選定療養費が必要になる場合もあります。時間外選定療養費は、こちら)。

点滴中は、飲食できますか?
薬物療法センター内で、点滴中に食事をいただくことは可能です。その際には、おにぎりやパンなどの軽食をおすすめしています。臭いの強い食べ物、時間のかかる食事はお控えください。飲水に関しては、積極的に摂っていただくことをおすすめしています。
点滴中は、どのくらい自由に移動できますか?
薬物療法センター内の移動は可能です。薬物療法センター内のトイレは、自由にご利用いただいています。 患者さんの安全を確保するため、点滴中は薬物療法センター内でお過ごしください。