現在、社会の高齢化に伴って2人に1人ががんと診断される時代です。一方、がん検診等の普及による早期発見、診断や治療技術の進歩に伴い、がんに罹っても長く生きることができる時代になってきました。
そうしたがんをやっつける治療には、大きく3種類の方法があります。①手術療法、②放射線療法、③薬物療法です。
薬物療法は、手術や放射線による治療と比較すると長期間に及ぶことが多いため、以前は入院で治療を行うことが多かったです。しかし、最近は抗がん剤や副作用に対する薬や支持療法の改良により、入院と同じ治療を外来で安全に行えるようになりました。
また、最近話題の免疫療法も外来で行われています。こうして家事や仕事など普段の生活を続けながら、外来で薬物療法を続けることが可能になり、厚生労働省も治療を受けながら安心して働ける職場づくりを支援しています。
がん薬物療法のレジメンを管理し、適正かつ安全にがん薬物療法を実施することを目的に、患者さんのニーズに合わせ関連部署と連携し、最良のがん薬物療法を行います。
薬物療法件数は増加傾向にあり、点滴による治療は年間約12,000件実施しています。薬物療法センターには、くつろいで治療いただけるようテレビなどを備えたベッド12床、リクライニングチェアー8床があり、がん専門薬剤師が常駐しています。
年度 | 外来 |
令和5年度 (2023.4~2024.3) |
9,278 |
令和4年度 (2022.4~2023.3) |
8,994 |
令和3年度 (2021.4~2022.3) |
7,871 |
医師(主治医)は、ユニットのカンファレンスを通して、チームで個々の患者さんの病状に合った治療法を選び、最終的に本人・家族と相談の上、治療法が決定します。初回の薬物療法は入院で行っていることが多く、医師・患者さんとも副作用をある程度把握した上で、外来治療に移行します。
薬物療法当日は、採血検査や診察を通じて、患者さんの体調を確認した上で、投与実施の可否を判断致します。実施確定後も、治療効果の判定、副作用の状況などを確認しながら、治療法を適宜調整していきます。
薬物療法センターの看護師は、患者さんが安全・安楽に治療を受けていただけるよう、点滴管理や、アレルギー出現時の早期対応などを実施しています。また、副作用を軽減するための方法や副作用出現時の対応について説明し、患者さんが安心して通院できるようセルフケア支援にも努めています。診察前の問診では、得た情報を各科外来に提供し、情報共有するとともに、がん相談支援センターなどとも連携を取りながら、患者さんがご自宅で安心して過ごすことができるよう支援しています。
通院治療をより安全に行えるよう取り組んでいます。
具体的には、抗がん薬処方内容の確認や患者さんの検査値の確認などを行ったうえで、使用される薬剤の説明や日常生活における注意点の説明を行っています。また、副作用は使用する薬剤や患者さんによって異なるため、患者さん個人に合わせた副作用対策に積極的に関わっています。
がん専門薬剤師をはじめ、がんに関わる資格を持った薬剤師が対応しています。
通院治療を継続していけるよう患者さんの状態に応じて食事のサポートを行っています。
例えば、味覚の変化、食欲不振、下痢、口内炎、嘔気・嘔吐など、症状に合わせて食べやすい食事の工夫や提案をしています。
がんの専門的な知識がある薬剤師が医師と連携を取りながら、経口抗がん剤の治療効果が発揮できるように薬物治療を支援します。
詳細は、こちらをご覧ください。
がん薬物療法を受ける患者さんの適切な投薬管理のために、保険薬局の方に向けてがん薬物療法レジメンを掲載しています。
ご不明な点がありましたら、薬剤部まで問い合わせください。
TEL:073-422-4171(代)
【注意事項】
患者さん・一般の方への情報提供を目的としたものではありません。
適切な投薬管理の実践以外を目的とした使用や無断転用は禁止します。
投薬量・投薬スケジュール等は、患者さんの状態によって変更される場合があります。
詳細は、こちらをご覧ください。
各診療科で採血などの検査後、主治医が治療可能と判断すれば、当日の抗がん剤投与が決定されます。
薬物療法センター用の紫色のファイルを受け取り、2Fにある「薬物療法センター」受付にお越しください。
受付後、ベッドもしくはリクライニングチェアどちらか選択できます(状況により、ご希望に添えない場合もあります。ご了承ください)。
看護師が体調などを伺った後、治療を開始します。
点滴の準備に時間を要する場合があります。ご了承ください。
点滴開始後、薬剤師から体調や副作用について説明します。管理栄養士から食事についてのお困りごとをお伺いします。
点滴修了後、会計用の黄色いファイルを1階の料金計算センターへお持ちください。精算機でお支払いの後、帰宅となります。
診療科によっては、外来受付で診療内容を確認し、会計用の黄色いファイルをお渡しするところもあります。薬物療法センターの治療の後、他の診療科の受診や検査が追加される場合もあります。
帰宅後に具合が悪くなった場合は、かかられている診療科の外来に連絡していただくか、時間や曜日によっては、救急受診を希望する旨の電話をし受診してください(救急受診時に時間外選定療養費が必要になる場合もあります。時間外選定療養費は、こちら)。