Japanese Red Cross Society
がんの診断は、がん(悪性腫瘍)の有無、がんの進行度合と範囲を見極めるため、様々な検査を組み合わせて行っています。丁寧な問診と診察により、過去や現在かかっている病気、家族や血縁者の病気歴、喫煙や飲酒などの生活習慣も伺います。
血液検査や画像検査を行うほか、必要に応じて病変の一部を取り出し、顕微鏡で細胞・組織を観察する病理検査を行います。また、治療方針の検討のため、心臓や呼吸、肝臓、腎臓など他の臓器の機能や全身状態を調べる検査も行います。
がんの診断・治療について単一科の医師だけでなく、がん医療に携わる専門職が職種を越えて集まり、患者さんの症状・状態を把握し、治療方針などを検討する場がキャンサーボードです。当医療センターでは臓器別キャンサーボードを定期的に開催しています。
画像診断は、早期発見・診断・治療方針決定・経過観察と様々な治療の場面で重要な役割を担います。
画像診断は低侵襲で、体内の可視化、がんの有無、がんの広がり、転移の診断、治療効果予測・判定と役割の幅が広く、状況に応じて多種多彩な情報を提供しています。
当医療センターでは320列CTや3テスラMRI装置、核医学検査、1-2血管造影等を駆使して、がんの診断や詳細な範囲診断、病期診断にあたっています。
320列CT撮影装置
アンギオ(血管撮影装置)
乳腺バイオプシー
病理診断は、さまざまなユニットから提出される組織や細胞を顕微鏡で観察し、がん診断を確定させる重要な役割を担います。
あらゆる臓器・組織の病変に適切な診断をするために、最新の技術を取り入れ、学術文献も豊富にそろえています。また、質の高い病理標本を作成することで、がんゲノム医療に貢献しています。
内視鏡検査は、食道・胃・大腸などの消化管に異常がないか調べる検査です。がんを疑う病変が見つかった場合は、病変の一部を切り取って良性か悪性(がん)かを診断します。消化管がんの確定診断に、内視鏡は必要不可欠です。
また、内視鏡は病変のわずかな色調や凹凸の変化を捉えられるため、がんの早期発見が行えます。
早期にがんが発見できると、内視鏡的切除で根治することができます。
詳しくは、こちらをご覧ください。
検査結果は、診断・治療方針の決定、予後の推定に重大な影響を及ぼします。精確な結果を提供するために、安全な検査体制を構築すると共に、常に新しい知識や技術の習得に努めています。
超音波検査はがん診断における重要な検査の一つであり、生理検査室では乳腺や腹部、頚部領域をはじめとする様々な部位に対して迅速かつ正確なデータを提供できるように、また、健康管理センターにおいては乳がんや腹部領域のがんを早期発見できるように積極的に知識・技術の向上に努めています。
検体検査室では、化学療法の患者さんが速やかに治療を受けられるように新たな検査体制を構築して、身体の状態を把握するための一般的な血液・生化学・ホルモン検査に加え、腫瘍マーカー検査の迅速な結果報告に努めています。
造血器腫瘍(白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫など)の診断や病型分類に不可欠な骨髄像検査・フローサイトメトリー検査の結果を即日に報告します。フローサイトメトリー検査は、分子標的療法の抗体薬の適応の判断、治療効果の判定などに貢献しています。
また、末梢血幹細胞採取時にはCD34陽性細胞数検査を迅速に報告し、移植療法に貢献します。