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肺ユニット


コンセプト・特色

コンセプト

肺がんは日本の悪性新生物の死因第1位となっています。肺ユニットは、呼吸器内科医、呼吸器外科医、放射線治療医からなるチームで治療方針を検討し、患者さんに常に寄り添いながら、最新で質の高い医療を提供します。

特色

主に呼吸器内科医が治療方針の決定に重要な組織診断と進行度の評価を行い、呼吸器外科医、放射線治療医と緊密に連携し、治療方針を決定します。初診時から呼吸器外科医や放射線治療医から治療の説明を聞くこともできます。

外来担当医表については、こちらをご覧ください。呼吸器内科呼吸器外科放射線治療

対象疾患

対象疾患

  • 肺がん・転移性肺腫瘍またはその疑い
  • 縦隔・胸壁・胸膜腫瘍

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治療の特色

初診時から患者さんの希望に応じて呼吸器内科医、呼吸器外科医、放射線治療医から一般的な治療法の概要について説明を聞くことができます。多角的な検討が垣根なく、かつ、迅速に行える環境で集学的治療を実施します。

内科的治療

呼吸器内科医は、主に進行肺がんの薬物療法を行っています。近年、がんの発生・増殖に関わる遺伝子をターゲットとした個別化治療が行われるようになり、また、がん免疫療法として免疫チェックポイント阻害剤も登場し、さらに治療成績が向上しています。抗がん剤の点滴治療は年間2,500件ほど行っており、半数以上が薬物療法センターで通院にて受けていただいています。夜間、休日に急な体調悪化があっても対応できるように救急医療体制を整えています。
2020年よりゲノム医療(がんの発症に関連した遺伝子を調べ治療や診断に役立てる医療)として遺伝子パネル検査が行えるようになっています。標準治療で効果が得られなくなった場合、患者さんの希望により遺伝子パネル検査を行い、新たな治療方法がないかの検索も行い始めています。また、患者さんのメリットを最優先に、今後臨床試験への参加も積極的に検討したいと考えています。

外科的治療

当医療センターは、和歌山及び泉南・阪南地域における肺がんの外科的診断・治療の中心的役割を担っています。手術は、低侵襲の胸腔鏡下手術が基本となっており、入院期間も短縮傾向にあります。肺がんは、手術前に診断がついていない場合も多いため、確定診断を得ることも手術の重要な役割です。さらに、肺がん診療の基本である組織型分類や病期診断のための組織採取を縦隔鏡・胸腔鏡を使って行っています。
手術を行った方の約半数に術後補助薬物療法が必要になるため、副作用も考慮した適切な薬剤選択を行うことでよりよい治療を目指しています。
最近は、小型肺がんや多発肺がんが非常に多いため、ハイブリッド手術室でのCT下マーキングや術中ICG静注などを用いて、できる限り機能を温存する高精度な縮小手術を実現しています。一方、進行肺がんについては呼吸器外科・呼吸器内科・放射線治療科・心臓血管外科が協力し、手術・放射線治療前に薬物療法を行う導入療法やがんとその周囲を大きく切除して再発や転移を予防する拡大切除を行っています。硬性気管支鏡下でのレーザー治療やステント等を用いた気道狭窄・腫瘍の治療にも対応できるよう準備しています。

放射線治療

放射線治療は、肺がんのすべての病期で欠かすことのできない治療手段となっており、根治から緩和まで、幅広い役割を担います。照射技術の発達により、病巣に放射線を集中させ、周囲正常組織への副作用を少なくすることがさらに可能になってきています。早期肺がんでは、手術と放射線治療が選択肢です。手術とほぼ同等の根治性も示されています。年齢や合併症などにより手術のリスクが高い場合には、手術よりもむしろ定位放射線治療が第1選択に挙げられます。局所進行肺がんでは、手術の根治性を高めるための術前導入療法、薬物療法との併用による根治治療としても用いられます。特に、Ⅲ期肺がんにおいては、化学放射線療法後に免疫チェックポイント阻害剤を追加するのが現在の標準治療(実績のある最善の治療)で、従来より治療成績が大きく改善しました。遠隔転移がある患者さんに対しても、骨転移や脳転移などの緩和照射、あるいは転移の個数が少ない場合には、準根治を目指す治療法としても用いられます。

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