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脳ユニット


コンセプト・特色

コンセプト

脳神経外科医、放射線治療医、各領域の専門医からなるチームで、脳から発生する原発性脳腫瘍や転移性脳腫瘍について、手術・放射線治療・薬物療法を組み合わせて最新で質の高い医療を行います。

特色

脳腫瘍(原発性・転移性は問いません)について、脳神経外科医、放射線治療医、転移性脳腫瘍の場合は原発巣の担当科医師が一丸となって、患者さんのQOLを優先し、最新の医療機器を駆使して最先端の治療を行います。

外来担当医表については、こちらをご覧ください。脳神経外科放射線治療


対象疾患

対象疾患

  • 脳腫瘍
  • 脳転移

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治療の特色

脳ユニットは、毎週月曜日にがんセンターB内で診察しています。
脳腫瘍あるいは脳腫瘍が疑われる患者さんの初診は、脳神経外科医が担当し、治療方針の決定に重要な組織診断の方法(摘出術か生検術)を検討します。放射線治療医もがんセンター内で診療していますので、適宜、相談しながら確定診断、進行度の評価、患者さんの状態評価、治療方針の決定を行います。治療方針は、ユニットの合同カンファレンスで決定します。通常1週間後に結果を説明しますが、緊急性がある場合は、脳神経外科外来(西館1階)などで結果を説明し、すぐに治療を開始します。

原発性脳腫瘍の場合、多くは組織診断もかねて摘出術が行われることが多く、摘出術の結果で追加の放射線治療が必要か検討します。悪性グリオーマの場合、通常、術後6週間の放射線薬物療法が標準的治療となり、その後も薬物療法が必要です。脳腫瘍の発生場所と周囲への拡がりにより開頭摘出術が行えない場合は、組織診断をつけるため定位的生検術を行い、可能な治療法を検討します。悪性リンパ腫の場合、生検術で確定診断をつけた後、血液ユニットで薬物療法を受けていただきます。

転移性脳腫瘍(脳転移)の場合は、原発巣の担当ユニットと協力して、全身の画像検査(PET-CT、MRI等)によりがんの進行度(病期)や患者さんの全身状態を評価し、脳転移の数と部位、サイズに応じて摘出術あるいは定位放射線治療(SRT)、全脳照射のどれが適切か決定します。患者さんは、各ユニットの治療について一般的な概要をあらかじめ聞くことができます。また、脳転移の治療後、脳神経外科、放射線治療科で定期的にフォローし、再発や新規病変が出現した場合、どの治療が適切か検討します。

いずれの疾患も、ユニットの複数専門医でカンファレンスを行い、エビデンスに基づいた治療法を提示しつつ、患者さんの基礎疾患・社会背景・希望等に応じて最終的な治療方針を決定します。

外科治療

脳神経外科医が、脳腫瘍の診断および外科的摘出術を行っています。当医療センターは、最新式のナビゲーションシステムやハイブリッド手術室を備え、良性・悪性どちらの脳腫瘍も、より正確で安全性の高い摘出術を行っています。

悪性グリオーマが疑われる場合は、手術前に悪性腫瘍に取り込まれる特殊な蛍光物質を投与し、手術中にできるだけ腫瘍の浸潤部位を摘出し、正常脳組織を温存するようにしています。また、悪性グリオーマは、術後に放射線治療科と合同で6週間の放射線薬物療法を行っています。副作用の強い場合や高齢の患者さんの場合には、生活の質を考慮して治療を行っています。

悪性リンパ腫が疑われる場合は、患者さんの症状をできるだけ悪化させない手術で組織診断を行い、血液ユニットで薬物療法を行っています。転移性脳腫瘍では、患者さんの症状、原発巣と他臓器への転移を考慮して推測した生存期間、脳転移の数とサイズ、部位などを検討し、放射線治療科と協力してできるだけ患者さんに有意義な時間を過ごしていただくよう努力しています。急な症状の悪化に対しては夜間、休日でも対応できるように救急医療体制を整えています。

放射線治療

放射線治療科医が、特に転移性脳腫瘍で患者さんの負担の少ない低侵襲の治療を行っています。定位放射線治療は、3㎝未満の小さい腫瘍では、治療の第一選択となり、ご高齢や合併症などにより手術ができない場合も、手術とほぼ同等の腫瘍のコントロール(局所制御率90%)が可能です。また、良性腫瘍の再発や部位、全身状態より摘出術が困難な場合にも定位放射線治療を行う場合があります。また、多数の脳転移があり、摘出術や化学療法が困難な場合には、全脳照射の選択肢も考慮します。

脳ユニットでは、経験豊かな専門医、高度な医療機器を有しており、脳神経外科医、放射線治療科医等が緊密に連携し、最新のエビデンス(根拠)に基づいた質の高い医療を提供していきます。また、十分な説明を心がけ、患者さんの日常生活の質(QOL)を可能な限り維持していくことを目標に努力していきます。