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原発不明ユニット


コンセプト・特色

コンセプト

腫瘍内科医、放射線治療医、放射線診断医、各領域の専門医が緊密に連携し、原発不明がんの原発巣の推定を試み、患者さんとともに治療方針を決定しています。

特色

がんの1~5%に、原発不明がんが存在します。近年の医療技術の向上により、原発巣の推定がこれまで以上に可能となっている一方で、「原発不明がん」という新たなカテゴリーでの治療開発も進んでいます。
原発不明がんと診断されるのは、その臓器に通常存在しえない組織型のがんがみつかるためです。したがって、がんの組織を診断する病理診断が極めて重要になるため、病理診断科と密な連携をとりながら診療を行います。
原発推定や新たな治療法探索のために遺伝子パネル検査も積極的に行っていきます。

 外来担当医表については、腫瘍内科をご覧ください。

対象疾患

対象疾患

  • 原発不明がんまたはその疑い

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治療の特色

原発不明がんの診断

がんの治療はそのがんが発生した臓器に基づいて行われます。精密検査(画像診断や病理診断)が十分に行われてもなお、成人固形がんの1%~5%に、原発が分からないがん=原発不明がんが存在します。原発が分からないということは、原発不明がんは基本的に遠隔転移のあるⅥ期であり、治療の主体は化学療法になります。

原発不明がんと診断されるのは、その臓器に通常存在しえない組織型のがんが存在しているからと言えます。したがって、病理診断が極めて重要な情報となりますので、免疫染色などの情報を加味して原発の推定を行います。さらに腫瘍マーカーを含む血液生化学検査や尿検査、超音波(エコー)、胸腹部骨盤CTやMRIなどの画像検査、必要に応じて耳鼻咽喉科、乳腺外科、産婦人科、泌尿器科領域の診察や肛門付近の診察(直腸診)、内視鏡検査(上部消化管内視鏡や下部消化管内視鏡)、FDG-PETやCT検査などの画像診断を行い、原発の見逃しがないか、もしくは腫瘍の広がりから原発を推定していきます。

原発不明がんの治療

さまざまな検査から得られた情報を組み合わせて、治療を検討します。原発不明がんの中には、特徴的な病変の分布や組織型の組み合わせをもつ病態があり、特定の原発巣のあるがんと非常に近い病態である可能性が報告されています。これらに対しては、類似する原発がんに基づく治療を行います。

一方で、極端な未分化がんのように原発を類推することが困難な狭義の原発不明がんがあります。これらに対しては、2種類の抗悪性腫瘍剤(カルボプラチンとパクリタキセル)の併用療法をみなし標準治療として行います。

がんゲノム医療

特定の治療法が存在しない原発不明がんに対しては、治療法を探索するために「がん遺伝子パネル検査」による網羅的な遺伝子解析を保険診療で実施できます。当医療センターは「がんゲノム医療連携病院」であり、積極的に検査を行い、治験を含めて次の治療へ結びつけられるよう努力しています。