ホーム > 当センターについて > 特色と取り組み > 災害医療救援センター(国内救護・国際救援)
当医療センターは、和歌山県の総合災害医療センター(災害拠点病院)に指定されていて、災害発生時に県下全域をカバーする医療救護の中枢を担うことを責務としています。また、国際救援においては、日本赤十字社の国際医療救援拠点病院として、海外でも活動できる職員の育成を行い、日本赤十字社を通じた国際赤十字からの派遣要請に基づいて、人道支援活動に従事しています。
近年、国内外において大規模な自然災害や人道危機が頻発しており、今後南海トラフ地震が起こった場合は、県内で深刻な被害が予想されています。このような状況を踏まえて、当医療センターではより高度な災害医療が行える体制づくりやその人材育成を急務とし、国内救護・国際救援の枠組みを超えて総合的な災害対応等を専門とする「災害医療救援センター」を設置しています。
国内救護と国際救援の、それぞれの現場で蓄積された経験と手法を融合し、緊急事態・大規模災害発生時に迅速で柔軟な災害医療を展開できるよう対応能力を強化しています。
活動内容はこちらから。国内救護「救うことを、つづける。」
2024年4月現在
医師
5人
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内) DMAT(災害派遣医療チーム)隊員 | 3人 |
内) 国際医療救援要員 | 4人 | |
看護師
4人
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内) DMAT(災害派遣医療チーム)隊員 | 2人 |
内) 国際医療救援要員 | 1人 | |
薬剤師
2人
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内) DMAT(災害派遣医療チーム)隊員 | 1人 |
内) 国際医療救援要員 | 1人 | |
診療放射線技師
1人
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内) DMAT(災害派遣医療チーム)隊員 | 1人 |
内) 国際医療救援要員 | 0人 | |
理学療法士
1人
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内) DMAT(災害派遣医療チーム)隊員 | 1人 |
内) 国際医療救援要員 | 0人 | |
臨床心理士
1人
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内) DMAT(災害派遣医療チーム)隊員 | 0人 |
内) 国際医療救援要員 | 0人 | |
臨床検査技師
1人
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内) DMAT(災害派遣医療チーム)隊員 | 1人 |
内) 国際医療救援要員 | 0人 | |
事務
4人
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内) DMAT(災害派遣医療チーム)隊員 | 1人 |
内) 国際医療救援要員 | 2人 |
詳細は、国内救護、国際救援をご覧ください。
・災害医療救援に関すること
・常備救護班、DMAT、国際救援要員の派遣対応体制の確立、運営、派遣、訓練等に関すること
・派遣チーム、要員への支援に関すること
・関連機関(県、市、消防、警察、自衛隊、海上保安庁、日赤本社等)との連絡調整に関すること
・院内外の訓練の立案、実施に関すること
・災害対応備蓄品、資機材の管理に関すること
・総合災害対策委員会の運営に関すること
・人材の育成に関すること(教育、研修生の受け入れ、研究等)
・その他災害に関すること
「Circle of International Red Cross Candidates Learning Experiences」の略で、災害医療救援センター主催の月例会の名称です。将来、国内救護や国際救援の場で活動することに興味のある職員や、派遣経験者がお互いの体験や知識を共有することを目的としています。院内外より幅広い参加をお待ちしております。
過去の開催内容
・スフィアプロジェクト勉強会
・海外派遣に携わるための資格や受講必須研修の紹介。
・「海外派遣者の体験共有」として、当センター初の国際救援に携わった看護師のエチオピアでの活動や、ネパールやフィリピンでの災害救援などの報告。
・WHOなど他団体からスピーカーを招いて情報交換や有効的な共働方法の模索。
災害時の医療救護は赤十字の事業の中で最も重要な使命のひとつです。 当医療センターでは医師(班長)1名、看護師長1名、看護師(助産師)3名、薬剤師1名、主事1名の計7名で編成される常備救護班7個班を有し、院内外の様々な訓練・研修に積極的に参加し、個々のスキルアップを行うことで、万一、災害が発生した際は迅速に被災地に向かい、被災者や傷病者を救護する体制を整えています。
常備救護班は年2回の必須研修、近畿ブロック合同訓練、その他各種訓練に参加し、資機材の使用法の習熟、スキルアップに努めています。
DMATは、1995(平成7)年に発生した阪神淡路大震災での初期医療の遅れにより、「避けられた災害死」が多数発生したことを教訓に、厚生労働省主導により、2006(平成18)年に発足しました。医師、看護師、業務調整員で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームです。
当医療センターでは現在19名(医師4名、看護師8名、調整員6名)の隊員が在籍しております。
近年、東日本大震災をはじめ、熊本地震、大阪北部地震、西日本豪雨など毎年のように大きな災害が発生しています。こうした頻発する大災害に備え、災害拠点病院はBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定することが義務付けられました。
BCPとは、災害など不測の事態により被害を受けた時でも、事業を継続していく、あるいは中断しても早期復旧を図るために、事前に対応策を準備しておく事業計画のことです。
当医療センターは和歌山県総合災害医療センターに指定されており、災害が発生した場合には、和歌山県下全域をカバーする医療救護の中心的役割を担う病院として、多数発生する傷病者に対応するため、医療を継続していく責務があります。
そのため、当医療センターでは2018(平成30)年11月にBCPを策定しました。
災害発生時には、病院の被災状況の確認、安全確認、多数傷病者受け入れ準備のため、院内への立ち入りを一時制限する場合があります。
ご理解、ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
日本赤十字社和歌山医療センターの国際活動は、1985(昭和60)年に助産師をエチオピア連邦民主共和国に派遣したのが最初です。その後も顔の見える活動を継続し、2000(平成12)年に日本赤十字社より全国初の「国際医療救援拠点病院」として指定を受けました。
当医療センター職員は、世界43の国と地域へ延180人*が活動しています。これからも国境や宗教、人種を越えて、ひとの命と健康、尊厳を守るため、国際赤十字・赤新月運動の一員として人道支援活動に従事します。
活動内容はこちらから「和歌山から世界へ」
国際医療救援を専門に行う部署として国際医療救援部を設置しています。
国際医療救援部では、日本赤十字社の調整のもと、海外の紛争・災害などに対する救援活動、研修・救援機材開発/整備、国際活動普及などを行っています。
国際医療救援部
部長 古宮 伸洋
スイス人の実業家であったアンリー・デュナンは、1859年6月にイタリア統一戦争の激戦地で目撃した惨劇で、「傷ついた兵士はもはや兵士ではない。敵味方関係なく救護されるべきだ」と地元住民と協力して救護にあたり、これが赤十字発祥のもととなりました。
その後、彼は「ソルフェリーノの思い出」を出版し、その中で以下3点の必要性を訴えました。
1 戦場における負傷者と病人は敵味方なく救護すること
2 そのための救護団体を平時より各国に組織すること
3 この目的のために国際的な条約を締結しておくこと
これに賛同したヨーロッパ16カ国が参加しての国際会議の場において、1863年に赤十字規約が制定されました。さらに1864年にはジュネーブ条約(赤十字条約)も調印されました。
のちに、彼はこの功績が認められ、1901年に第1回のノーベル平和賞を受賞しています。
1877年に日本では、日本赤十字社の前身である「博愛社」が設立されました。さらに同年、日本政府がジュネーブ条約加入したことで、19番目の社として承認され、日本赤十字社と改称しました。なお、博愛社は西南戦争を経て設立された救護団体です。
同社の創立者である佐野常民も、アンリー・デュナン同様の考えに基づいて同社を立ち上げています。
「赤十字マーク」は病院などの医療機関を表すものではありません。赤十字マ-クを使用できるのは赤十字社と自衛隊の衛生部隊などジュネ-ブ条約や日本国内の法律によって使用が認められている組織だけです。
このマ-クが日頃から不適切に使用されると、赤十字に対する理解が誤ることとなり、戦争や紛争時に救護活動を行う軍の衛生部隊・赤十字国際委員会などを適切に保護できなくなってしまいます。戦時以外の使い方も法律などで厳格に定められており、また、赤十字に類似したマ-クも使用が制限されています。
下記の通り赤十字マークは大きく分けて2つの使用方法があります。
●保護の標章
戦争・紛争などで傷ついた人々と、その人たちを救護する軍の衛生部隊や、赤十字・赤新月の救援員・施設などを攻撃から守るために使用されます。紛争地域などでこのマ-クを掲げている病院や救護員などは、中立を示すものとして絶対に攻撃を加えてはならないと国際的に決められています。
●表示の標章
赤十字マークをつけた救護員や施設が赤十字機関に所属していることを表示するために使用するものです。
なお、イスラム圏では赤い三日月が、赤十字マークと同等の意味をなします。さらに、2007(平成19)年には第3の標章として「レッド・クリスタル」がジュネーブ条約第3追加議定書が発効され、承認されました。
いざという時、国民一人ひとりを守るためのマ-クへの正しいご理解をお願いいたします。
国際赤十字はジュネーブ条約と第1・第2追加議定書に基づき、紛争が続いている紛争地、難民、国内避難民、災害などの被災地の医療救援、捕虜・抑留者訪問などの保護活動、紛争が発生していない平時においてもいざ紛争が起きたとしても被害が最小限にとどまるような予防活動、物資の救援などのあらゆる人道支援を行うことです。赤十字基本7原則に基づいて、各国赤十字・赤新月社および紛争救護を目的として設立された赤十字国際委員会(International Committee of the Red Cross)ならびに各国赤十字・赤新月社とその連合体で、国際赤十字・赤新月社連盟(International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies )が相互に協力して活動しています。
派遣前には、医療分野の情報(予防接種、健康管理、医療関係の備品装具、戦傷外科、現地医療情報など)を提供します。また、派遣期間中に必要があれば、現地での国際赤十字の指揮命令系統に違反しない範囲で、医療分野での技術的な助言を行います。
海外の姉妹赤十字社あるいは他団体からの国際医療救援に関する研修生を受け入れます。
We welcome trainiees from sister societies or other relevant organisations regarding international medical activity.
定期的に院内外の方に向けて勉強会を開催しています。
当医療センターを含めた各国際医療救援拠点病院および国際赤十字が主催する研修会など、赤十字内外も含めて派遣職員の能力強化のため各種研修会への参加を推奨しています。
国際医療救援部を開放し、派遣経験者の体験談共有や英語の勉強法についてなど、将来の目標として海外での活動を希望する看護学生など、赤十字の国際救援への扉を開いています。
国際赤十字・赤新月運動の保健活動を行う上で根幹をなす概念であるプライマリーヘルスケア(PHC)の基本活動を実行するにあたり、熱帯医学の知識を習得することにより、
(1)国際赤十字・赤新月社連盟の保健事業における重点項目をより深く理解し、国際活動に寄与できる要員育成に貢献する。
(2)日本赤十字社「基礎保健」ERUのPHC活動の充実を図る。
(3)派遣員自身の健康を管理するための基礎知識であることを認識し、派遣地での安全な保健環境を維持する。
基本的な知識を学習するための総論のみ座学とし、ケーススタディ 、検鏡によるマラリアの診断など、実践的な手法を重視して、実務に有益な情報の習得を目指します。
赤十字の国際医療支援活動に参加するには最低3年の臨床経験を必須条件としていますが、現実的には専攻医終了レベルの臨床能力は必要になります。また、以前は被災地など医療資源の不足した地域でのプライマリ・ケア活動が中心でしたが、近年の支援活動では現地医療者の指導を必要とされる事案も多く、より高い専門性を持った医師が求められています。
専攻医としていずれかの当医療センターの専門医研修プログラムに所属し、専門医取得を目指していただきますが、所属する各プログラムと並行して国際医療救援臨床プログラムも行っていただきます。
日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部
電話 073-422-4171(代)
ファクシミリ 073-426-1168(代)
International Medical Relief Department, Japanese Red Cross Wakayama Medical Center
Phone +81 73 422 4171
Fax +81 73 426 1168
派遣期間:2024(令和6)年1月9日(火)~1月13日(土)
派 遣 先 :石川県輪島市
避難所(体育館)で診察する医師
避難者へのコロナ抗原検査の様子
避難所(体育館)で避難者に体調などを聞きとる看護師
派遣期間:2024(令和6)年1月14日(日)~1月18日(木)
派 遣 先 :石川県輪島市
避難所(体育館)を区切る段ボールのパーテーションを設置する看護師ら
避難所(小学校)に設置された救護所で診察する医師・看護師
感染対策のため、避難所(体育館)を清掃する看護師ら
派遣期間:2024(令和6)年1月17日(水)~1月21日(日)
派 遣 先 :石川県輪島市
避難所での活動前に、現地状況の説明を受ける様子
避難所(体育館)にパーテーションと畳を入れ、区画分けする様子
プライバシーを保つことができるパーテーションが完成
派遣期間:2024(令和6)年1月4日(木)~1月9日(火)
派 遣 先 :石川県輪島市
陥没・隆起などがある悪路を車で石川県へ
日赤救護班の他、DMATなど多くの救護チームを指揮している様子
複数の日赤救護班が集まりミーティングする様子