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感染対策の取り組み


感染管理室

感染管理室(Infection Control Room)
感染管理室は医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、事務職員など専門性の異なる医療スタッフが連携し、患者さんや医療スタッフをはじめ、すべての人を感染から守るために組織横断的に活動しています。
また、近隣の医療施設とも連携を取りながら、感染対策の質の向上に向けて取り組んでいます。


院内感染対策チーム(ICT:Infection Control Team)

感染対策チームは、院内感染等の発生防止および対策等に関して、迅速かつ機動的に活動するチームです。

活動メンバー

2024.9.1現在

医師:3名(感染管理医師)
看護師:2名(感染管理認定看護師、特定行為研修修了者)
薬剤師:5名(抗菌科学療法認定薬剤師、感染制御認定薬剤師)
臨床検査技師:5名(感染制御認定臨床微生物検査技師、認定臨床微生物検査技師を含む)
事務職員:2名

主な活動

・耐性菌等検出時の対応
・環境ラウンドの実施
・医療関連感染に対する調査の実施
・針刺し・粘膜曝露事例の対応
・リンクスタッフ等への教育
・感染対策に関する院内研修会の実施
・感染対策に関する相談対応
・感染対策に関するマニュアルの整備
・感染管理に関する他施設との連携

2023年度活動実績

ラウンド ・全病棟・透析室・内視鏡センター:1回/月
・耐性菌ラウンド:1回/週
・栄養課、リハビリテーション科、手術センター、血液浄化センター、消化器内視鏡センター、CT室、MRI室、XP室、高精度放射線治療センター、各外来:1回/2ヵ月
・ICC院長ラウンド:2回/年
サーベイランス ・耐性菌:全検体
・手術部位感染:大腸、結腸、眼関連手術
・中心静脈カテーテル関連感染:全病棟・ICU 部門・HCU部門
・膀胱留置カテーテル関連感染:全病棟・ICU 部門・HCU部門
・手指消毒剤の使用量:全病棟、外来、リハビリテーション科、放射線治療科・放射線診断科等
・手指衛生実施状況:全病棟(直接観察)
・抗菌薬使用状況
・針刺し切創
職業感染対策 ・新採用対象ワクチン接種
・全職員対象インフルエンザ、新型コロナワクチン接種
教育 ・リンクナースによる手指衛生直接観察開始
・橋本市民病院リンクナース会と交流
院内研修会 ・院内研修:2回/年
・診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、研修医対象研修会開催
他施設と連携 ・加算3施設訪問:4回/年
・加算3施設合同カンファレンス:4回/年
・加算1施設相互チェック:1回/年
・加算1取得3施設、橋本市民病院、保健所合同カンファレンス:1回/年 
その他 ・ICTニュース発行:12部
・感染対策マニュアル全面改訂

抗菌薬の適正な使用の支援

抗菌薬化学療法レジメンサポートチーム(AST:Antimicrobail Stewardship Team)の特色

抗菌化学療法レジメンサポートチーム(AST:Antimicrobial Stewardship Team)は、治療効果の向上、副作用の防止、耐性菌が出現した場合のリスク軽減を目的として抗菌薬の適正な使用を支援しています。

活動メンバー

2024.9.1現在

医師:3名(感染管理医師)
看護師:2名(感染管理認定看護師、特定行為研修修了者)
薬剤師:5名(抗菌科学療法認定薬剤師、感染制御認定薬剤師)
臨床検査技師:5名(感染制御認定臨床微生物検査技師、認定臨床微生物検査技師を含む)
事務職員:2名

主な活動

・血液培養カンファレンス(週5回)、ワーキング(週1回)を開催し、院内における感染症発生状況と対策の情報共有および確認等
・院内感染対策委員会での報告
・ASTコアスタッフとサポートスタッフ(病棟薬剤師)によるASTラウンドの実施
・サーベイランス(抗菌薬使用量等)の実施・集計と報告
 抗菌薬使用量サーベイランス、感受性率サーベイランスおよびアンチバイオグラム作成
・コンサルテーション(院内・院外)
・抗菌化学療法レジメンの管理と啓発(マニュアルの整備、改訂等)


手洗いについて(4分34秒)

手洗い等感染対策について詳しく知りたい方は、日本環境感染学会のホームページを参照ください。


不織布マスクの着用

感染予防のため、入館の際は不織布マスクの着用をお願いします。

※ マスクは、ご持参いただくか、院内でも購入いただけます。

※ マスク販売機は、本館1階「正面玄関入口」「時間外通用口」「南館通用口」「救急外来の待合」「本館3階・南館1階のエレベーター付近」「本館2階 呼吸器内科外来前」に設置しています。

※ 不織布マスクは、感染予防の面から、最も効果が高いと言われています。


バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症に対する感染対策

概要

2020(令和2)年から和歌山市内でのバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の感染報告(届出)急増に対し、2021(令和3)年12月に国立感染症研究所の薬剤耐性感染症の専門家による複数医療機関の訪問調査がありました。
当医療センターも、その調査を受け、感染対策を見直しましたので、お知らせします。

【和歌山市の患者数の推移】

  2021(R3)
(49週まで)
2020(R2) 2019(R1)  2018(H30)  2017(H29)  
全国 118 134 80 80 83
和歌山県 11 13 0 0 0
和歌山市 11 12 0 0 0

※ 令和3年12月27日付和歌山市保健所資料から転載

 

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症とは?

腸球菌は、ヒトや動物の腸内に一般的に存在する細菌で、バンコマイシンという抗菌薬に対し耐性のある腸球菌をVRE(vancomycin-resistant enterococci)と言います。
健康な人の腸内にVREが存在しても、病原性が非常に弱いので感染症を発症させることはなく、一定期間を経て消滅します。しかし、手術後の入院患者さんや重篤な基礎疾患を有する患者さん、免疫低下が著しい患者さんが発症した場合、発熱などの症状がでたり、稀に重症化します。
VREは、感染症法で5類感染症に分類され、医療機関は感染症を引き起こした場合に届け出る必要があります。保菌者の便・尿処理後の不十分な手指消毒や汚染されやすい環境で、直接的・間接的な接触感染で伝播する可能性があり、医療機関では感染管理対象となっています。

当医療センターの発生状況

当医療センターでは、これまでにVREにより治療が必要となったケースは1件で、死亡例はありません。
国立感染症研究所の訪問調査の後、院内の感染状況を把握するため、2021(令和3)年12月14日(火)~24日(金)、入院患者さん630名にスクリーニング検査を実施したところ、8名の患者さんが保菌されていることが分かりました。これらの患者さんは全員無症状で、既に退院・転院されている患者さんもおられます。感染症専門医・感染管理認定看護師・感染制御認定臨床微生物検査技師・感染制御認定薬剤師らを含むICT (Infection Control team:院内感染対策チーム)が中心となって、感染拡大防止に努めています。

実施中・実施予定の対策

1.共有トイレでの感染防止のため、ウォシュレットの使用を停止しています(12月から実施中)
2.清拭など療養中の生活関連物品のディスポーザブル(使い捨て)用品への全面切り替え。ディスポーザブルにできない物品については、患者さんごとに個人専用使用としています(12月から実施中)
3.従前の紙媒体によるマニュアルに加え、オムツ交換、廃液処理、ストマ(人工肛門など)ケアの標準予防策手順動画を作成するとともに、感染管理認定看護師等が職員・部門へ個別指導します(1月から実施予定)
4.他の医療施設への感染拡大防止のため、転院患者さんの退院前スクリーニング検査を実施する(12月から実施済)。また、感染の早期発見を目的に、他医療施設からの入院患者さんへのスクリーニング検査も実施(1月から実施予定)
※ いずれも検査費用は当医療センター負担とし、患者さんの個人負担はありません。
5.第三者による検証を受けることで感染対策の徹底を図るため、外部機関の感染管理専門家による評価の受審を決定し、時期を調整しています(1月から定期的に実施予定)

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE) Q&A

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)とは何ですか?
腸球菌は、人の腸に住み着いている菌(常在菌)です。VREとは、バンコマイシンという抗菌薬に対し耐性を獲得した(効かなくなった)腸球菌です。
VREの国内の状況はどうなっていますか?
我が国では、VRE感染症は感染症発生動向調査において全数把握の対象疾患になっています。ただし、これは症状がある場合に限った届け出となっています。報告数(有症状者)は2019(令和元)年以前、ほぼ年間100例未満で推移していましたが、近年、急性期医療機関からの報告数が増加し、2020(令和2)年には過去最多、134例のVREが報告されました。また、VREが報告された都道府県数は、2013(平成25)年が15都道府県であったのに対して2020(令和2)年では26と、都道府県数が約1.7倍に増加しています。VREが検出された人のほとんどは無症状の保菌者ですので、保菌者を含めるとこれ以上の広がりがあると考えられます。
VREはどうやってうつる(感染する)のですか?
VREを持っている人(保菌者)の便や、菌が付着した物に触れることで感染します。VREが腸管内などで増殖して、さらに他の人へ感染します。VREを保菌している人の咳やくしゃみでは感染しません。
VREに感染するとどうなりますか?
健常人の腸内などにVREがいても、病原性が非常に弱いので、病気(感染症)をおこすことはほとんどありません。しかし、病気や加齢などによって、抵抗力が低下した人に感染症をおこすことがあります。
VREの保菌と感染症は何が違うのですか?
腸内に VRE が存在するだけで、どのような病気も起こしていない状態を「保菌」と いいます。VREが発熱などの症状を引き起こしている状態を「感染症」といいます。
VREの院内感染はどうして注意が必要なのですか?
VREの病原性は強くありません。しかし、外科手術後、熱傷、白血病などによって免疫状態の悪い患者などにVREが感染した場合、重症化する場合があります。VREは特別に検査をしないと検出されにくいため、院内感染状況を把握することが難しく、高齢や手術後などで抵抗力が低下しているような患者さんが入院している病院では注意が必要です。
VREを保菌すると退院できなくなりますか?
入院の原因となった病気が落ち着けば退院できます。他の病院へ転院や、高齢者施設へ退院される場合は、調整に時間がかかることがあります。
VREを保菌した場合、同居する家族にうつりますか?
VREは長期間、保菌者の腸内にとどまる可能性があります。しかし、健康なご家族であればVREによる感染症をおこす可能性はほとんどありません。
家庭内での日常生活でどこに気をつければよいですか?
特別な感染対策は必要ありませんが、食事前、トイレ後には、石鹸を用いてしっかりと手洗いをしてください。
VREを保菌している場合、同居家族も検査をしてもらえますか?
健康な方はVREを保菌しにくく、たとえ感染したとしても無害です。よって、ご家族には基本的に検査は不要です。
今後入院予定ですが、うつらないのでしょうか?
当医療センターでは、職員の手指消毒の徹底、環境清掃の強化等、今まで以上に感染予防対策を実施しています。
外来通院をしていますが、うつらないでしょうか?
外来で感染する可能性は、極めて低いと考えられています。
現在はVREに対してどのような対策をしているのですか?
当医療センターでは、以下の対策を実施しています。 ●標準予防策、接触感染予防策の徹底 ●トイレ、汚物室など汚染されやすい場所の対策強化 ●尿カップ等、汚染の可能性のある物品のディスポーザブル(使い捨て)化 ●保菌者の広がりの把握、早期発見を目的としたスクリーニング検査(保菌調査) ●抗菌薬適正使用の啓発

地域医療機関との連携(感染対策相談)

感染対策や抗菌薬の使用等についての相談は、下記ボタンに問い合わせ方法等を案内しています。

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