日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。

ONE TEAMで治す心臓の病気④ 心臓リハビリテーションの効果

2021/02/22

2019年、日本で開催されて大きな盛り上がりとなったラグビーワールドカップ。日本代表が掲げたスローガン「ONE TEAM」も流行語大賞に選ばれるほど話題になりました。

 

医療も多職種がチームとなって協議しながら治療方針を決定する連携の形があります。心臓領域では「ハートチーム」と呼ばれ、チーム一丸となって治療にあたっています。

 

前回は、ハートチームの活動の1つである心臓リハビリテーションの内容や受けることの大切さについてお伝えしました。今回は、そのリハビリ効果について心臓血管外科部副部長の平尾慎吾先生に聞きました。

 

 

心臓リハビリテーションの効果

薬や手術と並ぶ治療法として重要視されている心臓リハビリですが、手術前や手術後すぐにリハビリを実施することで、手術後の様々な合併症、あるいは死亡率が軽減されることが報告されています。

 

それにより、最近の日本の心臓手術の治療成績は向上しています。また、身体にやさしい手術方法が出てきており、高齢の患者さんにも手術が可能になってきました。

 

 

はっきりとした数値を出しますと、心筋梗塞や狭心症の患者さんが心臓リハビリを行うと死亡率が26パーセント低下します。また、再入院のリスクも18パーセント低下すると言われています。

 

他にも、心不全の患者さんが心臓リハビリを受けると、行わない場合に比べて心不全による入院が39パーセントも減少することが証明されています。

 

心臓の手術は非常に大きな手術ですが、安静にして回復を待つと筋力が低下したり、調整機能が低下したりして肺炎などの合併症を助長します。特に、高齢の患者さんで早期のリハビリが進まずに歩行ができなかった場合、寝たきりになったり、心不全や肺炎などで死亡したりする可能性がとても高くなりますので、それを防ぐためのリハビリでもあります。

 

退院した後も、外来でリハビリを継続すると、死亡率の低下や再入院の防止につながります。より早期に実施すること、そして、継続することが心臓リハビリの効果を最大に引きだすのです。

 

 

心臓リハビリテーションで毎日が快適に

他にも、心臓リハビリに参加すると、日常生活の中で起こる息切れなど心不全の症状による辛さが軽減します。また、筋肉量が増えるので、楽に動くことができます。

 

 

動脈硬化が進んでいる人は、動脈硬化が小さくなる。高血圧であれば、血管が広がって高血圧が改善する。糖尿病であれば、インスリンの効きが良くなって糖尿病が改善する。不整脈が予防できる。などといった多くの効果があると言われています。

 

また、心臓リハビリを受けた結果により、総合的に家庭生活や社会生活の満足度が高くなるので、QOL(=Quality of life、生活の質)が改善し、より毎日を快適に過ごすことができます。

 

患者さんの日々の快適さ、楽しさに関わるので、心臓リハビリがどれだけ大切か理解いただけると嬉しいです。

 

 

心臓リハビリテーションに向かない病気

さて、様々な効果のある心臓リハビリですが、心臓病を持つ患者さん全員が受けられるわけではありません。

 

安全性がまだ確認できていない病気、特に、非常にきつい大動脈弁の狭窄症、あるいは胸の痛みがよくでるような安定していない狭心症、心不全が非常に強い方、不整脈のある患者さんなどは、積極的な運動療法ができません。

 

運動することによって心不全が悪化したり、急激な血圧の低下、あるいは命に関わるような不整脈が起こったりする可能性があるためです。

 

患者さんの病気の状態や合併疾患、全身の状態によって、可能な運動量は異なるので、心臓リハビリのプログラムを考える医師や看護師、理学療法士などのチームが、一人ひとりの患者さんに適した内容を日々考えています。もし、リハビリ内容で不安があれば、すぐ周囲のスタッフに相談してくださいね。

 

次回は、自宅でできる心臓ケアや食事療法についてお話しします。

 

 

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