日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。

ONE TEAMで治す心臓の病気① ハートチームの活動

2021/01/22

2019年、日本で開催されて大きな盛り上がりとなったラグビーワールドカップ。

日本代表が掲げたスローガン「ONE TEAM」も流行語大賞に選ばれるほど話題になりました。

 

医療も多職種がチームで協議しながら治療方針を決定する連携の形があります。心臓領域では「ハートチーム」と呼ばれ、チーム一丸となって治療にあたっています。

 

実際に「ハートチーム」が、どのような活動をしているのか、心臓血管外科部副部長の平尾慎吾先生に聞きました。

 

 

ハートチームの始まり

この「ハートチーム」という言葉は、2010年にヨーロッパの心臓病学会や心臓外科学会において、共同で提唱した言葉です。

 

一昔前のことですが、心臓病の患者さんの治療方針は内科・外科それぞれで治療方針を決定する傾向にありました。具体的に言えば、薬にするのか、カテーテルの治療にするのかを循環器内科医が決め、それでも効果が得られないとなると、手術を視野に入れて、心臓血管外科医に紹介するという流れです。

 

 

しかし、最近では、循環器内科や心臓血管外科の医師だけでなく、看護師や薬剤師、理学療法士など様々なスタッフが一丸となって患者さんの治療方針を考えたり、サポートしたりすることで、より患者さんに適した治療ができるのではというチーム医療が進みました。2018年の「冠動脈疾患に対する血行再建のガイドライン」にも、ハートチームの重要性が記載されています。

 

 

ハートチームのメンバーとその活動

ハートチームには、手術を行う心臓血管外科医や麻酔科医のほか、薬の処方やカテーテル治療などを行う循環器内科医、患者さんが他に持っている疾患や合併症に関わる医師、地域のかかりつけ医、看護師、薬剤師、検査したり、CT撮影してくれたり、医療機器を操作してくれたりする多くの専門職の技師さんたち、リハビリに関わる理学療法士などが入ります。診療科や職種を超えて力を合わせ、治療方針を協議し、決定、治療します。

 

このとき、方針を決めるためにチェックするのは検査結果だけではありません。患者さんの持っている合併症や全身の状態、社会的な背景、患者さんの人生観、ご家族のご意向なども含め、いろいろな側面から状態を把握します。その上で、薬やカテーテル、手術などといった選択肢の中から、最適な治療を合同で協議していきます。すべては、患者さんの今後の生活がより良いものになるようにするためです。

 

 

協議の頻度ですが、週に1回集まって医療方針や結果についての検討会を行っています。それ以外にもそれぞれの患者さんごとに意見交換をしたり、治療の途中で臨時で集まって話し合ったりしますので、チーム内では非常にコミュニケーションを密に取っているといえます。

 

 

ハートチームによる患者さんへのメリット

このような協議や検討を続けてきたことで、治療の成績は上がってきています。また、その結果は全国の病院から集計されたデータベースに登録されたり、多くの病院が治療実績をホームページなどで公表されたりしているので、それぞれの病院がどのような治療を行っているのか可視化できるようになってきました。総合的に、患者さんはより良い治療が受けられるようになったといえます。

 

患者さんの治療が終わったら、地域のかかりつけ医にも紹介状の返事として情報提供しています。情報を共有することで、カテーテル治療や手術が終わり、地域での生活に戻った後に体調をくずされた場合にも、迅速な対応ができる仕組みができました。ハートチームは、病気の再発予防や再発の早期発見、早期治療にも関わっています。

 

今後は、もっと患者さんの生活の質を向上させることを目指して、地域と密着した連携システムをつくり、地域全体がONE TEAMとなって患者さん一人ひとりのサポートができる体制づくりを目指します。治療だけでなく、リハビリテーションや訪問看護、介護、栄養指導、社会復帰支援など生活に関わるすべてをチーム一丸となって携わっていけるようにしていきたいと思います。

 

 

次回は、ハートチームの取り組みの1つでもある「心臓リハビリテーション」についてお話しします。

 

 

 

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