日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。

ONE TEAMで治す心臓の病気② 心臓リハビリの内容とチーム体制

2021/02/02

2019年、日本で開催されて大きな盛り上がりとなったラグビーワールドカップ。日本代表が掲げたスローガン「ONE TEAM」も流行語大賞に選ばれるほど話題になりました。

 

医療も、多職種がチームで協議しながら治療方針を決定する連携の形があります。心臓領域では「ハートチーム」と呼ばれ、チーム一丸となって治療にあたっています。

 

前回は、ハートチームの具体的な活動についてお伝えしました。今回は、ハートチームの取り組みの1つである「心臓リハビリテーション」の内容やチーム体制について、心臓血管外科部副部長の平尾慎吾先生に聞きました。

 

 

心臓リハビリテーションとは

心臓リハビリテーション(以下、心臓リハビリ)は、最近、病気を治すための手術や薬と並んで効果的な治療の1つであると言われるようになってきました。心臓病の患者さんが体力を回復したり、再発や再発での入院を予防したりするための総合的な活動プログラムのことです。

 

心臓リハビリは医療保険の対象ですので、実施施設として認定されている病院やクリニックで受けることができます。心筋梗塞や心臓病、心臓の手術の後、大動脈の解離や大動脈瘤などの血管疾患、あるいは慢性の心不全、足の動脈が狭くなっているような末梢動脈閉塞性疾患などが対象です。

 

 

心臓リハビリテーションの内容

リハビリと呼ばれているので、運動療法だけだと思われがちですが、心臓リハビリには、栄養指導や禁煙指導、生活指導なども含まれます。

 

 

運動療法は、手術後に体力を回復して自信を取り戻し、社会生活を快適に過ごしていくために非常に役に立ちます。主に、自転車こぎなどの有酸素運動や筋力を増強する運動を行います。もちろん体に負担のない安全な範囲での運動です。実施時は心臓リハビリテーション指導士の資格を持つ理学療法士や看護師などが付き添い、辛い症状が出ないか、心電図に変化がないかといった患者さんの体調や状態を把握しながら行っていきます。

 

心不全や心筋梗塞など、心臓の手術後の患者さんというのは、心臓の働きが大幅に低下しています。さらに術前術後に安静を続けたことにより、運動能力や調節機能がさらに低下します。そのため、退院してすぐには負担の多い活動はできませんし、どの程度なら活動しても大丈夫なのかわからない不安もあります。

 

患者さんの気持ちとしては安静に過ごしたいかもしれませんが、心臓リハビリはそのような手術後の体の状態の回復に非常に役立ちます。栄養指導や禁煙指導、生活指導などは、心臓病の進行を予防したり、再発を予防したり、体を良い状態で維持するために行います。

 

 

心臓リハビリテーションの実施チーム

このような心臓リハビリプログラムは、患者さん一人ひとりの状態や検査結果に応じて、ハートチームの一員である専門的な知識をもつ医師や、理学療法士、看護師、薬剤師など多くの専門職が集まってプログラムを提案し、実施します。

 

当医療センターのICU

 

ICUの中で行うICUリハビリテーション(内容については、次回に詳しくお伝えします)では、心臓血管外科医だけではなく、循環器内科医、集中治療医、ICUの看護師、理学療法士などでICUリハビリチームが結成されます。そのチームが毎朝患者さんの状態を把握して、その日のリハビリの運動量を決めます。特に、呼吸状態が悪くて、人工呼吸器が長い間必要な患者さんでも、呼吸練習であるとか、筋力維持のための運動をすることで、より早い回復が見込まれています。

 

当医療センターでは、医師、看護師、理学療法士で計7人の心臓リハビリテーション指導士が在籍しています。また、様々なスタッフが月に2回集まってより良いリハビリ内容を目指して勉強会を行い、チーム内の知識の共有やコミュニケーションに努めています。このような積み重ねで、患者さん一人ひとりに対して、しっかりと対応した心臓リハビリが実施できます。不安に思われずに、取り組んでいただければと思います。

 

次回は、「心臓リハビリテーション」の実施時期と期間についてお話しします。

 

 

Medeical Information すこやかな毎日のために」では、健康に生活するために、お役に立てそうな情報を、随時 発信していきます。お楽しみに!

 

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日赤和歌山医療センターHP

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