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日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。
2022/05/19
日赤和歌山医療センターには、常勤の産婦人科医が10名以上在籍しており、新しい婦人科医療をどんどん取り入れ、充実した治療体制整備に努めています。
最近の婦人科治療について、山西優紀夫副部長に伺っています。
最近は、新型コロナウイルスの感染予防にワクチンが有用だと、多くの人にワクチンの効果が認知されてきたと感じています。
婦人科でワクチンというと、子宮頸がんのワクチンが再び注目されています。
近年では、子宮頸がんの95%以上の原因が、ヒトパピローマウイルスだということが分かってきました。子宮頸がんは、ほとんどの場合、ウイルス感染が原因といえるのです。そして、子宮頸がんは20代~40代という非常に若い年代で発症することが多いです。進行すると、命に関わる疾患のため、何とかウイルス感染を予防できないかが課題でした。
世界中から、ワクチンで子宮頸がんは予防できるとの声が上がっています。
日本では、厚生労働省が重篤な副作用の可能性があると接種の勧奨を差し控える状態がしばらく続いていましたが、その後の詳しい検査・専門家による検討により、副反応は0.5%未満であることが分かりました。
2021年、厚生労働省の専門部会で勧奨再開が了承されましたので、全国的に接種できるようになります。現在のところ、子宮頸がんワクチンは小学校6年生から高校1年生相当の女の子が、公費によって無料で接種を受けられます。
子宮頸がんワクチンを打つ時期
ワクチンの推奨が止まっていた時期も長かったため、高校生以上の女性で、未接種だから打っておきたいという人も多いと思うのですが、基本的には性交渉前のワクチン接種が推奨されています。そして、無料接種の対象年齢以上の場合は、自費になると思われますが、接種自体は可能です。現在も、自費で打ってくれるクリニックがありますので、少し費用がかかりますが、心配な人は相談してみてください。
ワクチンを打っていない場合の対処法
では、未接種のままの場合どうすれば?と質問されることも多くあります。
その場合は、検診が非常に重要です。検診で早期のがんが見つかったり、がん化する前の段階で見つかることもあるので、ぜひ検診を受けていただきたいと思います。検査自体は非常に簡単なものです。市町村などから健診の案内があったり、健康診断などの機会にオプションで追加できるような機会があれば、ぜひ受けるようにしてください。産婦人科クリニックの診察時に受けられても良いでしょう。
子宮頸がんは、ウイルスを予防すれば、がんにならない可能性が高いと言えます。若い世代の発症が急増していて、初期の段階では自覚症状がない場合が多いので、ワクチン接種もしくは検診はとても大切です。ワクチンを受けられる世代の場合は、ぜひ検討いただきたいと思います。
5回にわたり、婦人科の診療についてお読みいただき、ありがとうございました。
山西 優紀夫(やまにし ゆきお)
産婦人科部副部長。日本産科婦人科学会産婦人科指導医・専門医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医。
息子のサッカー観戦が、最近の休日の楽しみです。
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