日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。

婦人科治療の進歩④ 放射線治療

2022/05/05

日赤和歌山医療センターには、常勤の産婦人科医が10名以上在籍しており、新しい婦人科医療をどんどん取り入れ、充実した治療体制整備に努めています。

 

最近の婦人科治療について、山西優紀夫副部長に伺っています。

 

 

放射線治療も機器が進化して治療効果も高くなっているので、最近は積極的に受けていただいています。

特に、子宮頸がんの初期治療、がんの再発予防、再発時の治療に非常に有効な治療法です。

 

 

当医療センターでは、県内で放射線治療を得意とする病院として知られ、IMRTという放射線を当てたいところにピンポイントで当てる方法を数多く実施しています。ピンポイントに照射する大きなメリットとして、被爆線量が最小限になるので、放射線による副作用や合併症の緩和が期待できます。

 

 

放射線治療の有効性

放射線は有効なものですが、がんに効くということは他の臓器にも影響があるということを考えなければいけません。全身どこにでも当てられるわけではなく、必要なところに集中して当てていきます。

 

 

手術を受けたことがある患者さんや、体調の面で不安があり手術が難しい患者さんの場合、放射線治療は極めて有効です。特に、身体的に不安のある患者さんにとっては手術より優しい治療だと言えるかもしれません。

 

また、放射線治療は通院で受けることがほとんどなので、入院ほど生活スタイルが変化することがありません。仕事を続けたり、家庭内での役割を果たせるように、相談しながら治療方針を検討しています。遠慮せずにご相談いただきたいです。

 

 

婦人科と放射線治療

子宮頸がんで放射線治療を受けると、照射する部位の周囲に膀胱や直腸など排泄の臓器があるため、どうしても放射線が当たってしまうことがありました。その結果、膀胱や直腸の炎症が起こってしまうこともありました。今は周囲臓器に放射線が当たらないようにする技術(IMRT)が進歩し、患者さんに安心して受けていただけるようになっています。

 

子宮体がん、または卵巣がんで再発した場合、放射線治療を活用しています。卵巣がんは骨盤や副腔内のあちこちに広まるため放射線を当てるのが難しい場合もあるのですが、一部分に留まっている場合には効果が期待できます。

 

 

当医療センターは、放射線治療に非常に力を入れています。

その治療メリットを和歌山県のがん患者さんに提供できるよう、最大限準備しています。手術と放射線治療のどちらの恩恵も受けられる選択肢を用意していますので、気軽にご相談いただければと思います。

 

 

山西 優紀夫(やまにし ゆきお

日本産科婦人科学会産婦人科指導医・専門医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医。

息子のサッカー観戦が、最近の休日の楽しみです。

 

 

 

婦人科治療の進歩① 遺伝医療(2022年03月24日公開)

 

婦人科治療の進歩② 手術療法(2022年04月07日公開)

 

婦人科治療の進歩③ 腹腔鏡・ロボット支援下手術(2022年04月21日公開)

 

婦人科治療の進歩④ 放射線治療(2022年05月05日公開)←今回

 

婦人科治療の進歩⑤ 子宮頸がんワクチン(2022年05月19日公開)

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