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日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。
2022/04/21
日赤和歌山医療センターには、常勤の産婦人科医が10名以上在籍しており、新しい婦人科医療をどんどん取り入れ、充実した治療体制整備に努めています。
最近の婦人科治療について、山西優紀夫副部長に伺っています。
開腹手術が多い婦人科でも、最近は、ずいぶん腹腔鏡手術やロボット支援下手術が導入されてきました。小さな傷口で手術できるので体への負担が少ないのが良いところです。
当医療センターでも技術を習得した医師が実施しています。
子宮体がんの腹腔鏡手術とロボット支援下手術
現在は、初期の子宮体がんに腹腔鏡手術とロボット支援下手術ができるようになっています。健康保険が適用されるには条件がありますが、適用されるケースがとても多いので安心してください。
どのような患者さんが受けられるのかというと、子宮体がんの初期で、さらに子宮の粘膜からがんが浸潤していない場合です。腹腔鏡手術は、開腹手術に比べて少しだけ入院期間が短く、日常生活への復帰も早い傾向があるので、選択できる場合は検討いただければと思います。
婦人科のロボット支援下手術
健康保険が適用されるロボット支援下手術も広がっています。手術ロボットもどんどん進歩していて、できる機能が増えています。
ロボット支援下手術と聞くと、ロボットが手術をするの?というイメージが浮かびますが、術者(手術をする医師)がロボットの鉗子を操作して手術します。
これまでの腹腔鏡手術では、ハサミやマジックハンドのようなものがついた棒状の鉗子をお腹の傷口から入れて、お腹の中をカメラで映しながら操作していました。手術ロボットは、そういった鉗子がロボットの腕と一体化していて、その鉗子にも360度以上回転する関節が付いています。人間の関節より可動域が広いため、人間がするよりも緻密な手技を得意としており、操作もしやすくなってきています。
手術ロボットにはカメラも付いているのですが、腹腔鏡手術では人間が持っていたため、じっとしていても手ブレがありました。ロボットの場合は、その角度や深度を固定できるので、しっかりとした映像が見られます。これは繊細な部分ほど影響が大きいため、ロボット支援下手術が有効だと言われる所以となっています。
腹腔鏡下手術も、ロボット支援下手術も、患者さんの身体負担が少ないとはいえ、実施する医師は経験や知識が必要です。そのため提供できる施設は限られています。
新しい医療を安心して受けていただける体制で提供していますので、治療を受ける施設を選択する際に、参考にしてみてください。
山西 優紀夫(やまにし ゆきお)
産婦人科部副部長。日本産科婦人科学会産婦人科指導医・専門医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医。
息子のサッカー観戦が、最近の休日の楽しみです。
婦人科治療の進歩③ 腹腔鏡・ロボット支援下手術(2022年04月21日公開)←今回
婦人科治療の進歩④ 放射線治療(2022年05月05日公開)