日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。

人工関節① 人工関節の手術

2024/05/16

日赤和歌山医療センター整形外科は、2023年4月に人工関節手術を行う「人工関節センター」を設立しました。人口の約30%が65歳以上の高齢者となっている日本では、今後も人工関節を必要とする高齢者の増加が予想されています。

 

人工関節の情報発信の拠点や相談窓口を担い、地域の方々に一貫した治療やより良い環境での人工関節の手術(人工関節置換術)を提供していきます。

 

今回から4回にわたり、整形外科部副部長の古川 剛先生に人工関節の手術やその目的、入院から退院までの流れ、手術のメリット・デメリットなどについて伺います。まず、人工関節と手術について話を聞きました。

 

 

人工関節が力を発揮するのは、ご自身の関節が病気や加齢、外傷によって変形し、痛みや歩きづらさが出たときです。関節を手術によって人工関節物(金属や強化プラスチックなど)に置き換えることで生活に支障がなくなり、暮らしやすくなります。

 

人工関節は、大きく分けて膝関節と股関節があり、数は少ないですが、肩や指、足首などもあります。それぞれに専門とする医師がいて、当整形外科では膝関節と股関節を主にしています。

 

 

20年ほど前は、例えば、変形性関節症や関節リウマチなどの病気が原因で、関節が変形してしまった患者さんに手術することが多かったですが、今は膝関節・股関節が加齢などで痛んでしまった患者さんに対する手術が増え、手術件数は2倍以上に増加しています。特別な手術ではなくなり、健康寿命を支える1つの選択肢になったといえます。

 

 

この連載では、人工関節の手術の方法だけでなく、入院中の生活、手術のメリット・デメリットなどもお話していきます。膝や股関節の痛みや違和感に悩んでいる方に、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。

 

 

人工関節への置き換え

人工関節は、患者さん一人ひとりに合わせて金属や強化プラスチックなどを使って形成します。医療の進歩で人工関節の寿命も長くなり、だいたい20年30年は持つようになりました。手術ではご自身の関節を切り取り、人工関節に置き換えます。今までスムーズに動かなかった関節が、ツルツルと動くようになり、痛みや歩きづらさが軽減される効果があります。

 

つまり、人工関節にするには、人工の関節に置き換える手術を受ける必要があります。少し怖いと思われるかもしれませんが、麻酔の技術や手術技術も向上しているので、痛みや出血の少ない低侵襲な手術ができるようになってきました。また、術中の感染対策や全身管理、術後のリハビリも含めて適切な対応を心がけていますので、体力によっては早期回復が可能です。

 

 

人工関節の手術

人工関節は、患者さんに適合したものを設置する必要があるため、手術だけでなく術前計画も重要です。当医療センターでは、長年、蓄積してきた経験や知識を用いるとともに、コンピューターも使って正確な計画を立てています。

 

 

手術中の感染症を予防するため、徹底したクリーンな手術ができる環境を整えています。その他、正確に関節を設置できるようナビゲーションシステム装置を臨床工学技士が操作・管理し、精度の高い手術を行っています。

 

また、既往歴があったり、生活習慣病など内科疾患をお持ちでも、当医療センターでは多くの診療科と連携しているので、手厚いバックアップ体制で治療が受けられます。例えば、他の病気を先に治療したほうが安心して手術を行える、術後の回復も早くなるなどが判明すれば、その治療を終えてから手術を実施しています。和歌山県では、そのような体制がある病院が数少ないので、病院選びの際には、参考にしてみてください。

 

私たち整形外科のメンバーも多くの経験を持ち、技術を磨いています。一人ひとりに合わせた環境を整えていますので、必要以上に不安を抱かず、診察や手術を受けに来てください。

 

 

手術を受ける年齢

人工関節の寿命を考えると、65歳以上の患者さんが主となります。だいたい85歳くらいまでの患者さんが多いですが、筋力があり体調も問題なければ、90歳でも手術は可能です。

 

 

また、もっと若い年齢でも生活に支障が出ているのであれば、手術を行っています。過去には40年近く股関節が痛くてずっと我慢していたという患者さんもおられました。人工関節の手術で痛さ・辛さが解決できるのであれば、年齢に関わらず手術を選択しても良いかもしれません。まずは、地域の整形外科クリニックなどを受診し、ご自身の体の状態について相談してみてください。

 

次回は、人工関節の手術のメリットとデメリットについてお話します。

 

古川 剛(ふるかわ たけし)

日本整形外科学会整形外科専門医・指導医、日本人工関節学会認定医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医。

 

趣味は、ジムでのトレーニング、ランニング、散歩、食べ歩きなど。

好きな散策スポットは、和歌山城、雑賀崎、和歌浦方面。体力・筋力の維持に散歩をされる方に、おすすめです。

 

 

人工関節① 人工関節の手術(2024年5月16日公開)←今回
人工関節② 人工関節手術のメリット・デメリット(2024年6月20日公開予定)
人工関節③ 術前検査から入院、退院までの流れ(2024年7月18日公開予定)
人工関節④ 女性に多い膝関節の痛み(2024年8月15日公開予定)

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