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2022/02/10
心臓病としてよく耳にするのは心筋梗塞や不整脈ですが、心臓弁膜症も進行性で怖い病気です。心臓の弁に異常が生じる病気で、加齢に伴って進行すると命に関わる場合もあるので、早めに適切な診断と治療が必要です。
高齢化が進む中、心臓弁膜症の患者さんが増加しています。そもそも高齢者はゆっくりとした動作など無理をしない行動をしているため、日常生活では息切れなどの症状に気づきづらく、知らないうちに進行してしまうことが多いです。どんな病気なのか、何が怖いのか、心臓血管外科の阪口仁寿 副部長にお聞きしました。
心臓弁膜症とは
心臓弁膜症は、心臓の中にある4つの弁に障害がおきて本来の役割ができなくなってしまった状態です。弁が正常に動いていないことで全身を流れる血液に酸素が不足した状態になります。
ご存知のとおり、心臓は広がったり縮んだりして、血液に溶け込んだ酸素を全身に送るポンプの役目を果たしています。1日約10万回も動き、全身の隅々に酸素を届けてくれています。心臓は4つの部屋に分かれていて、弁の働きによって血液が一方通行で流れています。弁は、開いたり閉じたりして血液が逆流しないように絶え間なく動いています。
その弁が役割を果たさず、うまく閉じない状態になってしまうと血液が逆流してしまいます。全身に行き渡る血液量が不足して酸素も十分に届けられなくなるため、運動すると息が上がってしまったり、失神したりするなど、心不全の症状が出てきます。この4つの弁は非常に重要な働きをしているのです。
心臓弁膜症が心配になったら
心臓弁膜症は必ずと言ってよいほど進行性で、加齢とともに次第に悪化してしまいます。少し息が上がったとしても「歳のせいかな」と考える人が多いため、心臓弁膜症を患っていることに気づかず過ごしている人も多いと思います。
時に、血液が頭へ行かなくなり、気を失って脳梗塞か…?と、脳神経内科や脳神経外科を受診して心臓弁膜症が見つかることもありますし、慌てふためいて救急受診される人もいます。全身に酸素が行き届かなくなるのは非常に怖いことです。
70歳以上の人に多くみられるので、不安がある人は、心臓超音波検査などの検査を受けられても良いでしょう。心臓弁膜症は心電図ではわからないため、確定診断をするには超音波検査が必要です。
かかりつけ医の先生にまず相談していただき、その病院で検査ができない場合は検査のできる大きな病院の循環器内科宛に「弁膜症の疑いがある」という内容の紹介状をもらって受診してください。
心臓超音波検査は、外来で受けることができ、痛みも全くない低侵襲な検査です。検査を受けていただければ、弁の開きがどのくらい悪いのか、血液の逆流があるかどうかが簡単にわかります。心配がある場合は、是非、かかりつけ医に相談するか、循環器内科を標榜する医療機関を受診してください。
阪口 仁寿(さかぐち ひとし)
日本外科学会外科専門医、心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医、日本経カテーテル心臓弁治療学会経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)指導医。
趣味は、サイクリング。特に、海辺で風を感じながらペダルを漕ぐのが好きです。
心臓治療の最前線① 増えている心臓弁膜症(2022年02月10日公開)←今回
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