日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。

健康で長生きするために 〜フレイルの予防① 運動とお肉〜

2019/12/12

超高齢化社会といわれる日本では、平均寿命が伸びてきています。同時に、人の手を借りずに生活ができる時期をいう「健康寿命」も年々伸びてきています。

 

しかし逆に、和歌山県では男性の健康寿命が短くなっており、女性の健康寿命も全国平均に比べて長いとはいえません。

 

なぜ、健康寿命が短くなってしまうのでしょうか?

 

糖尿病をはじめとする生活習慣病に詳しい 井上 元 糖尿病・内分泌内科部長に聞きました。

 

人というのは、オギャーと生まれて成長し、20代が体の最盛期となります。30代になるとだんだん体が歳を取って、年々弱ってきます。誰しもそうなので仕方がないことですが、歳を重ねるとともに生きるための能力が下がり、最終的には自分で生きることができなくなって介護生活に入ります。

 

胸を張って「健康だ。一人で自立して生活できる」といえる健康寿命が終わり、介護認定を受けて、要支援から介護生活に入ってしまうころには、人の体は非常に弱っていて、一度悪くなるともう元に戻りません。自力で生活できないわけですから、不満や諦めも増えてきて、人生の満足度も低くなってしまいます。できれば、介護生活に入らないようにして、自力でアクティブに暮らしていきたいですね。

 

そこで重要になるのが、予防です。

「なんとか元気に生きられないか」と考え、対策をすること。

 

これから3回にわたって、この「介護生活の予防」についてお話ししていきます。

 

 

健康と介護生活の間は、何という?

さて、この「健康な生活と介護生活の間」の時期は、専門的な言葉で「フレイル」といいます。

 

フレイルは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、体が弱っていて何かのタイミング(例えば、病気、転倒、事故など)ですぐに介護生活となってしまう状態を指しています。「介護の一歩手前」です。

 

健康で長生きしたいのであれば、まずフレイルの時期に入らないようにすること。そして、もしフレイルの時期に入ってしまったとしても、手立てをして悪くならないように踏ん張ること。将来を見据えた行動により、健康で生きられる期間が長くなります。

 

 

身体的な予防には、運動とお肉が効果的

体が弱らないようにするには、まず、筋肉を保つことが大切です。

そのためにどうするかというと、良質なタンパク質を食べて、適度に運動することです。

 

 

フレイルは、どんな体の状態かというと、骨が弱くなって、関節にも異常が出て、筋力も低下しているような状態です。それによって体重、筋肉も減り、疲れやすいと感じてしまう。余計に動かなくなるので、筋肉がもっと落ちる。動かないから食欲も出ず、痩せてしまう。負のスパイラルです。

 

そこで踏ん張るために、運動とタンパク質が必要になります。

筋肉を保つ、場合によっては増やさないといけないわけですから、お肉の中でもできれば「脂の少ない赤身のお肉」を食べて、運動をすることです。

 

もし、食べるのが大変なら、アミノ酸のサプリメントでも代用できます。高齢の方でも、サプリメントで筋力がアップすることがわかっています。ついつい、口当たりの良い果物や菓子、食べやすい加工品で空腹を満たすこともあると思います。しかし、それは、あくまで一時的なものに留めましょう。しっかり食事を摂って、栄養を体に補給して、自分の体を労っていきましょう。

 

そして、疲れやすいからといって家でじっとしているのではなく、少しでも動いて、積極的に過ごすこと。そうすると、悪いサイクルから一歩外へ踏み出すことができます。

 

運動は、自分ができる「ちょうどよい運動」を続けること。量の目安は人それぞれで簡単に言えないのですが、無理をしなくて自分ができる範囲の運動を続けていくことです。自宅の近くを散歩するだけでもいいし、立ち上がって自宅の中を歩く回数を増やすだけでもいいです。楽だからと、寝転がったり、じっと座っている時間を少なくしていきましょう。ただし、ケガや転倒で介護生活がスタートしてしまうのを避けるため、無理は禁物ですよ。

 

 

この運動と食事で筋力を保つのが、フレイル予防の基本中の基本です。

介護生活の手前で踏ん張りたい、そこまで体が弱らないようになんとかしたいという方は、今日からでも実践しましょう。

 

次回(1月9日公開予定)は、生活習慣病を予防することの大切さについてお話しします。

 

 

Medeical Information すこやかな毎日のために」では、健康に生活するために、お役に立てそうな情報を、随時 発信していきます。お楽しみに!

 

 

 

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日赤和歌山医療センターHP

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