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がん放射線治療の第一人者であり、高度医療に取り組んできた平岡院長が、がんについてわかりやすく解説します。ティーカップを片手にお気軽にお読みください。
2018/06/26
コーナーの初回企画は平岡先生のインタビューです。平岡先生の人となりや、医師を志した理由、放射線科を選んだきっかけ、京都大学在籍中の研究実績、この和歌山医療センターで実践していきたいことなどを盛りだくさんで伺っています。4回にわたってお届けします。
――2016年春に京都を離れて和歌山へ来られましたが、和歌山の医療への印象はどういったものでしたか。
まず、和歌山という立地が特長的だなと思いました。京都・大阪とは違って都市圏が遠く、「ちょっと隣に協力要請しよう」というような医療体制を整えることができせん。
特に紀南エリアから大阪へは距離がありますね。ですから、県内で医療を完結させなければいけないという前提があります。
そのためには1つの病院で全てを何とかするというのは難しいですから、地域連携が大切だと改めて思いました。地域の中で、当センターがやらないといけないのは救急医療と、高度な医療の提供です。そこは人員の補強も含めて、精一杯やっていかなければいけません。
――平岡先生の専門分野であるがん治療も、高度医療のひとつですね。
まさしく、がん治療はもっとがんばれると思う領域です。和歌山県のがんによる生存率は他県と比べて低迷していて、強化しなければならないところです。
地域医療の中のがん治療は、総合力が大切です。ただ手術をしてがんを取ることが求められるのではなく、そのあとのケア、生活のサポートまでを含めて医療を考えなければなりません。診断、治療、そのあとのアフターケア、生活へのサポート。すべてが整って、治療が完結します。
つまり、和歌山に必要なのは、ドクターXのようなスーパードクターではなく、チーム医療です。いろいろな分野の医師やコ・メディカル スタッフ(看護師や薬剤師、社会福祉士など医師をサポートする仕事に従事する人たち)の力を合わせたときに生まれる総合力が、和歌山の医療を底上げしてくれるでしょう。
それは病院の底力が問われるところでもあります。日赤和歌山医療センターはこれまでも県内の医療を引き受けてきましたから、広い総合力は備わっていますが、もっと強化できる領域もあるということです。その強化のために、私が和歌山へ来たと言ってもいいかもしれません。これまでの経験や人脈を生かして、よりよい病院にしていきたいと思っています。
――和歌山がよりよくなるような医療の実践を期待しています!
さて、インタビュー最終回は院長先生として、この病院のよいところや特長について教えてください。
平岡 眞寛(ひらおか まさひろ)
日本赤十字社和歌山医療センター名誉院長
1995年43才で京都大学 放射線医学講座・腫瘍放射線科学(現:放射線医学講座 放射線腫瘍学・画像応用治療学)教授就任、京都大学初代がんセンター長。日本放射線腫瘍学会理事長、アジア放射線腫瘍学会連合理事長、日本がん治療認定医機構理事長、厚生労働省がん対策推進協議会専門委員などを歴任したがん放射線治療の第一人者。世界初の国産「追尾照射を可能とした次世代型四次元放射線治療装置」を開発し、経済産業大臣賞、文部科学大臣賞、JCA-CHAAO賞等を受賞。2016年4月から2022年3月まで当医療センター院長。2021年1月から、がんセンターで放射線治療(週1回外来診察あり)を担当。