がん放射線治療の第一人者であり、高度医療に取り組んできた平岡院長が、がんについてわかりやすく解説します。ティーカップを片手にお気軽にお読みください。

日赤和歌山医療センターの特長と、これから

2018/07/24

平岡先生は京都大学医学部を卒業して放射線科医となり、2007年には京都大学医学部附属病院がんセンターの初代センター長に就任。2015年の退官まで20年以上にわたり京都大学大学院医学研究科の教授としてがん治療に関わり続けてこられてきました。

――日赤 和歌山医療センターの現在の体制や、よいところについて教えてください。

 

和歌山医療センターには2017年の末時点で、36診療科部、52専門外来を設置しています。常勤医は約230人で、各診療科、部門ごとにその道のプロのいる総合病院です。

 

医師だけでなく他の医療スタッフも合わせると、本当に多くの精鋭たちが集まってくれています。これだけの人たちが集まってくれているのは、この病院が明治38年開設という長い歴史を持っていることも理由のひとつでしょう。歴史が後押しとなって、熱心で腕のよい先生がたくさん集まってきてくれていると感じます。

 

また、「断らない」精神が根付いているのもよいところです。24時間365日、救急搬送される患者さんを救命しようとの気持ちで体制を整えています。昭和63年に県下初で開設された救命救急センター(現在は、高度救命救急センターに)での救急医療に加え、ドクターカーの運用もしているので、当センター内にある「常設型和歌山市救急ワークステーション」には救急隊も常駐しています。

 

――専門性の高い医療と、断らずに受け入れる医療は逆のようにも感じられますが?

 

総合力があれば、両立できます。前回(第3回)の話の中にも出てきましたが、県内で医療を完結させなければならないという和歌山の地域性もありますから。当センターにはその2つを両立させる力があります。

 

ただ、人手の問題はあります。現在、どの医師もとてもよく働いてくれています。しかし、負担を考えると、もう少し人材を集める必要があると思っています。

私のこれまでの人脈を使い、和歌山によりよい人材を連れて来ることができるよう努力している最中です。もっと素晴らしい病院にしていきたいですね。

――和歌山の医療のために先生の経験や人脈を使ってくださるのは、とても心強いです。

 

私はこれまで好きな研究をやらせてもらったという感謝があって、医療の世界へ恩返ししたいとの気持ちがあるんです。恩を返していくつもりで、和歌山で精一杯のことをしようと思っています。

 

――最後に、患者さんや和歌山県に住む人へ向けて、メッセージをお願いします。

 

医師や専門スタッフをこれからもどんどん頼ってきてください。困ったことがあったらいつでもきて、積極的に質問してくれたら。

 

また、手術などの治療をして終わりではなく、その後の生活までフォローしていくために、地域へ、かかりつけ医の先生方につないでいきたいと思っています。多くのスタッフや地域で一緒に、治療や健康の側面から伴走させていただきたいと思っています。

 

――ありがとうございました。

 

とても気さくにいろいろと話してくださいました。先生のこと、病院のこと、とてもよくわかりました。病院内で平岡先生に出会ったら、ぜひ「インタビュー読みました」と声をかけてみてください。

 

 

さて、インタビューはこの記事で最終回です。

次回からは、がんについてわかりやすくお伝えしていきます。

 

平岡 眞寛(ひらおか まさひろ)

日本赤十字社和歌山医療センター名誉院長

1995年43才で京都大学 放射線医学講座・腫瘍放射線科学(現:放射線医学講座 放射線腫瘍学・画像応用治療学)教授就任、京都大学初代がんセンター長。日本放射線腫瘍学会理事長、アジア放射線腫瘍学会連合理事長、日本がん治療認定医機構理事長、厚生労働省がん対策推進協議会専門委員などを歴任したがん放射線治療の第一人者。世界初の国産「追尾照射を可能とした次世代型四次元放射線治療装置」を開発し、経済産業大臣賞、文部科学大臣賞、JCA-CHAAO賞等を受賞。2016年4月から2022年3月まで当医療センター院長。2021年1月から、がんセンターで放射線治療(週1回外来診察あり)を担当。

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日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

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