院内で、地域で、色々な活動をしている当センター。 あんなこと、こんなこと、ありました! やりました!!  診察などでご来院いただいているとき、入院治療されているとき、それ以外の時間にも実施したことをご報告していきます。

南海トラフ巨大地震に備えて 院内災害対策訓練を実施

2018/05/15

当地域で地震が発生した場合、当センターは「和歌山県総合災害医療センター」として傷病者を受け入れる使命があります。しかし、休日や夜間の場合、職員自身も自宅など病院外で被災していることから、いつもいつも平日のように大勢の職員が院内にいるとは限りません。

登院できる職員も交通機関の影響や道路状況などにより、少しずつ次第に集まってくるという状況が予想されます。そこで、平成29年度の訓練では、職員の安否・登院状況を把握する一斉メールシステムの作動確認を行い、参集した少ない職員で傷病患者さんの受入れブースを立ち上げ、予想より早い段階で多く集まった患者さんをいかに受け入れるか、活動中に余震が起こった場合にどう対応するか、軽症から重症まで様々な状態の患者さんをスムーズに治療していけるように状態を確認して振り分けるトリアージの訓練を行いました。

災害訓練は毎年1回以上行っていますが、当センター附属の看護学校の学生さんが模擬患者さんになって実際的なトリアージ訓練は数年振り。昨年は、陸上自衛隊八尾駐屯地と合同でヘリコプターでの広域搬送訓練を行いました。それ以外にも、病院の被災状況やどのくらいの患者さんを受け入れられるかの情報をパソコンに迅速に入力していく机上訓練、院内の指示伝達や指揮命令系統が円滑に行えるか検証する本部機能訓練などなど、様々な訓練を定期的に行っています。

 

和歌山市のど真ん中にある当センターとしては、地域で負傷したり、救急受け入れが必要な患者さんがたくさん来られることが予想されるため、準備段階から職員は真剣です。

 

しかも今回の訓練では、訓練参加職員に地震の規模・病院の被災状況を伝えるだけで、どんな患者さんがどのくらい来られるのか、どんな症状や状態なのか知らせないブラインド式で実施しました。その場の状況から、各自、各チームで判断し、患者さんを救命していきました。

 

患者さん役の学生さんたちは、普段勉強している医療や看護の知識を総動員して、患者さんになりきります。「痛いよー」「早く、診てよ!」と身振り手振りで訴える方、こちらから問診しても実は日本語が分からない外国人の方、「大丈夫、大丈夫」と健気に痛みをこらえられるご高齢の方、途中で容体が急変したり、帝王切開が必要な妊婦さんや緊急手術が必要な状態の方まで、傷病メイクと呼ばれる血のりをつけ迫真の演技で職員を翻弄してくれました。

一方、職員も数多くの訓練に参加したり、東日本大震災や熊本地震で実際に救護に当たった経験のある人も多く、2時間を想定していた訓練内容を1時間30分で終了。年々、その手際の良さ、充実度が増しています。


課題も見えてきました。

患者さんの対応や、物品の活用は上手くなってきていますが、情報の伝達・共有という部分に新たな課題が出てきました。トランシーバー、院内携帯電話(PHS)、院内放送、メガホン、地声、様々なツールの使い分け、一度に様々な音声が重なったときの優先度が状況によって変わってくるため、マニュアルどおりにはいかないことが確認できました。

 

今後は、この訓練での検証を「院内災害対策マニュアル」に速やかに反映させ、全職員が対応できる体制の維持・向上に努めていきます。

 

活動レポートでは、様々な活動のご報告、裏話などをお届けします。次回も、お楽しみに!

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日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

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