いつ来るか分からない災害。日赤和歌山医療センターは、どんな対策をしているの? どんな概念や指針、ガイドラインで対策しているの?ちょっとマニアックな情報をお届けして いきます。赤十字の病院が行う救護について知っていただけたら幸いです。

CSCATTT トリアージ②

2021/04/15

今回は、トリアージを行う際に使用する「トリアージタグ」についてお話します。

 

トリアージタグとは、災害が発生し、多数傷病者が発生した際に、傷病者の重症度をわかりやすく 表示するために用いられるカード状のものです。上部にはゴム紐が付けられており、傷病者の体に結んで使用します。

 

前回お話ししたとおり、トリアージは、診療や搬送の優先度を決定するためのものです。災害現場で行われる一次トリアージ(START法)では、重症者は「赤」、中等症者は「黄」、軽症者は「緑」、救命困難もしくは死亡者は「黒」の4つのカテゴリーに分類されます。

 

DMAT隊員養成研修資料より抜粋

 

多数の傷病者をトリアージした後に、治療や搬送順位の決定のため、どの傷病者の優先順位が高いのかを瞬時に視認できるようにしなければなりません。そのために、使用されるのがトリアージタグです。

 

トリアージタグは、医療機関や、消防をはじめ様々な機関で使用されていますが、元々は形式が統一されていませんでした。

 

1994年に発生した名古屋空港中華航空機墜落事故で、数種類の異なるトリアージタグが使用され、大きな混乱が生じました。翌1995年、阪神淡路大震災が発生した際にもトリアージが十分になされませんでした。

 

このような事例により、トリアージタグの統一化の必要性が検討され、日本救急医学会が中心となり、1996年にリアージタグが統一され、全国の様々な組織で採用されています。

 

トリアージタグの特色は、

① 視認性

② 経過記録情報

③ 治療情報の共有(場合によってはカルテの代用となる等)

があげられます。

 

①については、トリアージタグ下部にはカテゴリーごとに色がプリントされており、ミシン目が入っています。このミシン目を該当する色を残して切り取ることで、その人のカテゴリーが一目で判別できるようになります。

 

これにより、優先すべき傷病者を把握することができます。

 

②については、傷病者の状況は時間とともに変化し、時間がたつと重症化する傷病者もいることから、トリアージは通常、複数回行われます。

 

再トリアージの際に、すでに記載済みのトリアージタグに追記したり、新たにトリアージタグを傷病者に装着します。それまでのトリアージタグを外さず装着しておくことで、その傷病者の経過を誰が見てもわかるようになります。

 

③については、緊急時の診療記録や傷病者の氏名や性別、連絡先などの識別情報を記録することができます。

 

傷病者は、

災害現場

 ↓

医療機関

 ↓

救急外来(ER)

 ↓

手術室等

に移動し、それぞれの場所で搬送や治療を行います。

 

そのため、それぞれの場所で判別されたタグに記載された情報を参考にすることで、治療のための情報を共有することが可能となります。

 

時には、カルテの代用としても使用されます。

このようにトリアージタグは傷病者の識別票としてだけではなく、様々な情報共有にも非常に有効です。

 

では、実際に、トリアージタグはどのように記載されるのでしょうか?

 

まず、事前に記載可能な部分(通し番号、実施場所、実施機関、実施月日、実施者名)を記載します。

 

DMAT隊員養成研修資料より抜粋

 

次に、傷病者の識別事項(名前、性別、連絡先等)、実施時間を記載し、カテゴリーの判別結果を記載、最後に身体所見(傷病名、受傷部位、処置内容)など、後の診察に参考となる事項を記載します。

 

DMAT隊員養成研修資料より抜粋

 

以上の記載を行った後、傷病者に装着します。装着する身体部位は原則、右手首に装着されます。右手首が負傷している場合には、優先順位として左手首→右足首→左足首→首の順となります。また、紛失を防ぐため、衣服や靴への装着は禁止されています。

 

トリアージタグの表面は3枚複写式になっており、1枚目が災害現場用、2枚目が搬送機関用、3枚目が収容医療機関用となっており、傷病者が通過する場所でそれぞれ保管、集計を行えるようになっています。

 

さらに、タグを記載する上で、いくつか注意すべき点があります。

 

①記載には黒のボールペンを使用する

②複写式のため、筆圧を強く記載

③追加・修正に備えて、スペースを残す(上詰めで少し小さめの字で書く)

④不明の項目は空欄のまま(勝手に記載しない)

⑤トリアージ区分とその根拠となる所見は必ず記載

⑥汚染や破損に注意する

⑦通し番号は他のチームと見分けがつくように記載(例:日赤1、和歌山1など)

 

トリアージには迅速性が求められるため、タグの記載も短時間で行う必要があります。トリアージを判定する人がタグも記載すると、時間がかかってしまうため、原則として、トリアージは2人1組で行います。

 

医師もしくは看護師が判定を行い、事務職員やコメディカル(医療技術職)がタグの記載を行うことで、トリアージの迅速性を確保することができます。

 

このように、トリアージタグの記載には様々なルールが存在します。

 

トリアージタグのルールを理解し、迅速に記載するためは、十分な訓練が必要となります。

 

 

 

≪災害医療救援センター≫

 

詳しくはこちら

日赤和歌山医療センターHP

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