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日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。
2019/01/24
階段や坂道で息が苦しくなったり、夜寝ると息苦しくなったり、手足がむくんだりするようになった人から、「心臓が悪くなって病院にかかっている」と、聞いたことはありませんか?
こうした症状で考えられるのは「心不全」です。
病気の名前は聞いたことがあるけれど、よく分からない・・・、高齢になると仕方がない・・・と放置しておくのは「危険です」と警鐘を鳴らす、心臓血管外科部長の江﨑二郎先生に詳しく聞きました。
心不全とは、病名ではなく「心臓の働きが不十分なために、起きた体の状態」をいいます。
心臓の中には4つの部屋があり、それぞれの出口には「弁」と言うドアがついていて、血液が逆流しないように働いています。
それらの弁が硬くなって十分開かなくなり血液が流れにくくなる狭窄症という病気や、弁がしっかり閉じないために血液が逆流する閉鎖不全症という病気を総称して「弁膜症」といい、心不全の原因の1つと考えられています。
弁膜症が悪化すると、心臓に負担がかかり、しっかり血液を全身へ送り出すという働きが弱くなってしまいます。これが「心不全」と呼ばれる状態です。
軽症の弁膜症の場合は薬により治療を行いますが、悪化すると手術が必要になり、弁膜症の手術は年々増えています。
特に、高齢の方で、心臓の出口のドアにあたる「大動脈弁」が硬くなって弁が十分開かなくなる「大動脈弁狭窄症」が増えていて、大動脈弁を人工弁に取り替える手術も多く行っています。
また、心臓から全身に血液を送る左心室から、一つ手前の部屋である左心房に血液が逆流する「僧帽弁閉鎖不全症」も増えています。僧帽弁の場合、人工弁に取り変えるのではなく、いたんだ僧帽弁の修復が可能なことも多いです。
これら弁膜症の手術の場合、2〜4週間ほど入院していただきます。
そして、心臓の手術をした後は、翌日もしくは翌々日からリハビリを開始します。
「手術した後、そんな早くから動くの?」と思われるかもしれませんが、当科では「病気を治すだけでなく、元の生活に戻れることが大事だ」と考えています。そのため、高齢の方でもリハビリを早期から積極的に行うことで、足腰の筋力の低下を抑え、元の生活に早く戻れるように、看護師や理学療法士と協力しながら診療しています。
ほとんどは自宅に退院され、手術2〜3ヵ月後には、「手術前より楽になった」と感じていただけることが多いです。この頃から、自動車の運転や職場復帰も可能です。
心臓の手術というと、怖いというイメージがあるかもしれませんが、最近は手術手技や医療機器の発達により、かなり安全に手術を行えるようになってきていますので、80代の方も含めてご高齢の方の手術も増えています。
糖尿病や足腰の病気などをお持ちの方にも、安心して手術を受けていただけるように、総合病院として他診療科と連携して治療を進めています。
「息があがる、胸が苦しく感じる」などの症状に心当たりがある方は、まずは、かかりつけの先生に相談し、心臓に異常がないか確認していただくとよいかもしれません。また、症状がなくても心配な方は、早期発見・健康管理のために、定期的に健康診断を受けられることをお勧めします。
「Medeical Information すこやかな毎日のために」では、健康に生活するために、お役に立てそうな情報を、随時 発信していきます。お楽しみに!