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生まれる、成長する、学ぶ、悩む、暮らす、産む、寄り添う、過ごす、老いる…。 どんなときも 自分らしく、そして 健康に生活するために、産婦人科医から 身体のこと、体調のこと、病気のこと、予防や対策などをお伝えします。
2024/08/27
思春期から老年期まで全ての女性へ向けて、産婦人科医で女性ヘルスケア専門医の山西恵医師が、女性特有のからだの不調や病気のことを解説します。
毎日の生活をもっと元気に、豊かに! 一緒に学んでいきましょう。
それでは、今回から「月経」をテーマにお話していきます。
女性の体は、女性ホルモンの影響で約1ヵ月に1回、卵巣から卵子を排出します。
それと同時に子宮内膜が厚い状態になり、受精卵が子宮に到達するのを待ちます。排卵卵子が受精しなかった場合、準備した子宮内膜ははがれて体外に排出されます。それが「月経(生理)」です。そして、月経に関連して起こる下腹部や腰の痛みを「月経痛(生理痛)」といい、頭痛や吐き気を伴うこともあります。
通常であれば25~28日間隔で1回の生理があり、その持続期間は3~7日です。1~3日目に経血量が多く、痛みが強くなることが多いです。
「月経困難症」とは
月経に関するトラブルは、周りと比較しづらいため、つらさがあっても我慢して過ごしている人もいます。ただし、日常生活をおびやかすような強い痛みは要注意です。日常生活に支障をあるほどの月経痛は「月経困難症」といわれます。
その月経痛には、子宮内膜症のような病気が隠れているかもしれません。何らかの病気が見つからなくても、痛みを軽減する方法を提案できる場合もあります。一度、婦人科を受診しましょう。
月経困難症は大きく2つに分けられます。
「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」です。
機能性月経困難症とは
強い月経痛があるからといって、必ずしも病気が隠れているというわけではありません。
子宮内膜症や子宮腺筋症といった、月経困難症を起こしやすい疾患もありますが、そういった疾患(器質的疾患)がない場合を「機能性月経困難症」といいます。月経が始まってから1~3年ではじまると言われています。プロスタグランジンというホルモンの影響で、子宮が強く収縮することにより起こります。
また、器質的疾患が見つからなくても、将来、内膜症などが見つかることもあります。月経痛をきっかけに、定期的に婦人科検診を受けることで、将来の自分の健康の維持につながります。機能性月経困難症は若年に多く、婦人科を受診する機会が少なく、我慢している人が多いと思います。月経に関するつらさを感じているのであれば、婦人科で相談してください。
器質性月経困難症とは
器質性月経困難症は、その名の通り、原因となる器質的疾患がある場合のことをいいます。原因としては、子宮内膜症、子宮腺筋症などが挙げられます。子宮内膜症や腺筋症は、お腹の中で炎症や癒着を起こすことがあり、妊娠にも影響を及ぼす可能性があります。
必ずしも治療が必要になるわけではありませんが、将来を見据えて、どのようなことが起こる可能性があるのか、どのような治療があるのかなどをお話し、希望に沿って、今後の計画について一緒に相談させていただきたいと考えています。女性の健康維持のために、早めの診断が大切ですので、一度、婦人科を受診してください。
では、どんな痛みを感じたら受診すればよいのでしょうか?
月経痛での受診タイミング
日常生活が送れないときや、痛みや症状がどんどんひどくなっていると感じたときが受診を考えるタイミングです。具体的な目安は以下のような状況です。
● 月経のために、学校や仕事を休まなければならない
● 月経のたびに、多ければ1日に何度も鎮痛剤を飲む(鎮痛剤が手放せない)
● どんどん痛みが強くなってきている
このようなときは病気が隠れていないかのチェックも含め、一度、婦人科診察を受けることが望ましいと思われます。
月経痛の軽減や内膜症に対して、低用量ピルによる治療があります。低用量ピルには、様々な種類や用法があります。
次回は低用量ピルについて、解説します。
山西 恵(やまにし めぐみ)
日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医。
学生時代はバレーボールを楽しみましたが、現在は育児と肩の痛みで鑑賞専門です。健康管理の大切さを身に沁みて実感しているため、いつかバレーボールを思い切りプレーできる日を夢見て、体力づくりをしていきたいです。
悩める患者さんやご家族のご希望に寄り添った診療を心がけています。すこやかな日常が送れるようサポートしていきたいと考えています。気軽にご相談ください。